第2話 Keyの悩ましい話
JAZZをかじり始めた当初は「Key of Bb」とか遭遇するたびに「変なキーだな〜」と思っていました。
これは、管楽器のチューニングというものに全く知識がなかった為で、社会人になって初めてトランペッターの方にお会いして(私の恩師なのですが、)やっと謎が解けました。
ピアノが「C(ド)」と弾いたら、トランペットはそれを「D(レ)」としてチューニングするとの事で、トランペットが普通に「C」と吹くと実音としては1音低い「Bb」なのですね。(故に、ピアノの楽譜でトランペットが演奏してしまうと、一音低くなるのでトランペット用の楽譜というものが存在します。このあたり、ブラスバンド出身の人には当たり前の話でしょうけど。)
つまり、ピアノやギターなどが「key of Bb」で弾いてあげると、トランペットは「key of C」の譜面で演奏すればよいので、とても楽な訳です。(ちなみにテナー・サックスもBbの楽器です。)
その他に「key of Eb」なんてのもJAZZでよく演奏されるキーですが、実はアルト・サックスがEbの楽器なのです。う〜ん、なるほど。
以下、JAZZでよく使われる管楽器のキーを書いてみました。
アルト・サックス
バリトン・サックス・・・Eb
ソプラノ・サックス
テナー・サックス
トランペット
クラリネット ・・・・Bb
トロンボーン
フルート ・・・・C
ちなみにピアノなど我々が普通に使うKeyをコンサート・キーと言い「コンサート・キーは「F」だから、アルト・サックスのキーは「D」で」なんて使われ方をします。
ピアノ(C楽器)、トランペット(Bb楽器)、アルト・サックス(Eb楽器)等が合奏する場合は大変そうですが、これは実際に話を聞いてみると、コンサート・キーは大体、F、C、Bb、Ebくらいまではあまり違和感なく使われているそうです。(初心者などは「F」が演奏し易いようです)
ギターやマンドリンなどの場合、トランペットやサックスのようにkeyの置き換えがありませんし、移調があってもフォームをズラだけなので(普段、ポジション・マークに頼りきっていると間違えることもありますが)まあ、楽な楽器と言えそうです。
ピアノなんかはどうなんでしょう?ギターみたいに視覚的にキーを押さえるパターンはありそうですが、移調の場合はギターみたい単純にズラすことはできないので、やはり弾きやすい・弾きにくいキーは出てきそうですが、どうでしょう?
ベストセラー「絶対音感」の中でJAZZピアニストの大西順子さんがインタビューに答えてこう言ってます(ちなみに大西さんは絶対音感があるそうです。)
「私は非常に幸運なことに、アメリカにいた頃、歌の伴奏もやっていました。歌の人は、今日は声が出ないからちょっと半音下げようなどとよくいいます。バックはそれに合わせるように鍛えられましたので、今はそんなに難しくないです。慣れと訓練ですから。」
アルト・サックスの巨人、チャーリー・パーカーなんか「どんなキーも問題ではなかった」なんていわれてますし、「プロ」であればキーなど問題にはしてられないのですね。納得。
。。。それにしても歌伴はキツそうですね。。。
文:
クリフォード・伊藤
ジャイアント・ステップス / ジョン・コルトレーン (AMCY-1001)
☆アルバムのタイトル曲「ジャイアント・ステップス」は難曲として知られている。なにしろ2拍(または1小節)ごとに転調していくとても忙しい曲。
インストの曲が後から歌詞をつけられて歌われる事があるが(「'Round midnight」なんかがそうです)、この曲はさすがに歌詞をつける人はいない。第一、「今日は声の調子が〜」と言われてこの曲のキーを変えるなどと、考えただけでも恐ろしい。
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