ウォルフガング・ペーターゼン監督
 Wolfgang Petersen


  1941年3月14日、ドイツのエムデン(Emden Germany )生まれ。
10歳の時に見た西部劇がきっかけで脚本を書くようになる。
60年にハンブルグのエルンスト・ドイツ・シアターで初の自作自演の舞台を創作します。
63年からはベルリン、ハンブルグで演劇を学び、
66年からはベルリン・フィルム&テレビアカデミーに通います。
70年から監督としても活動をはじめ’72年の『スモッグ(Smog)』で 75年のベルリン・フトゥラ賞を受賞。
73年には『我々二人の内一人(Vam Der Valk und Reichen )』で ドイツ・ナショナル・フイルム賞最優秀新人監督賞を受賞。
77年のドラマ作品『The Consequence』で国際的に注目を集めます。

81年の『Uボート(Das Boot)』はドイツ映画としては史上空前の世界的ヒットを記録し、 1982年アカデミー賞にウォルフガング・ペーターゼン監督は監督賞、 オリジナル脚本でノミネートされ、『Uボート(Das Boot)』はこの他、 撮影賞(ヨスト・ヴァカーノ)、音響賞、編集賞、音響効果編集賞と 6部門でノミネートされます。

84年には2700万ドルを費やした『ネバーエンディングストーリー (The NeverEnding Story )』(ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」が原作)が 大ヒットし、その後ハリウッドに拠点をうつします。
「ネバーエンディング・ストーリー」は「はてしない物語」に何を見たのか
91年『プラスティク・ナイトメア/仮面の情事(Shattered)』を監督・脚本。
93年にはクリント・イーストウッド主演の『ザ・シークレットサービス(In the Line of Fire)』、 95年にはダスティン・ホフマン主演の『アウトブレイク(Outbreak)』、97年には 『Uボート』で艦長役を演じたユルゲン・プロホノフを迎えて、ハリソン・フォード主演の 『エアフォース・ワン(Air Force One)』を撮っています。
99年には『ハーモニーベイの夜明け (Instinct )』、 『アンドリューNDR114 (Bicentennial Man )』と製作に 携わっていますが、久々の監督作品となる今年の夏に公開される予定の 『パーフェクトストーム(The Perfect Storm)』が話題になっています。

わたしがウォルフガング・ペーターゼン監督のファンになったのは昨年春に ディレクターズカット版として再編成された『U・ボート(Das Boot)』を観てからです。
それ以前にも『ネバーエンディングストーリー(The NeverEnding Story )』が 大好きな作品だったのですが、この作品を観てこの2作が監督ウォルフガング・ペーターゼン、 音楽クラウス・ドルディンガー(ネバーエンディングストーリーの音楽は クラウス・ドルディンガーとジョルジオ・モルダー)撮影ヨスト・ヴァカーノという トリオだということがわかりさらに好きな作品のひとつになりました。

ベトナム戦争の経験もあるという大統領役をハリソン・フォードが演じた 『エアフォース・ワン(Air Force One)』にはユルゲン・プロホノフが 出演しているということでわくわくして見ました。
ユルゲン・プロホノフはドイツ時代ウォルフガング・ペーターゼン監督作品には、 73年に『Einer von uns beiden 』、TV作品『Tatort - Jagdrevier』と 2本の作品に出演して以来、76年『Hans im Gl?ck』(TV作品)、 77年『Konsequenz, Die』、81年大ヒットした『Das Boot』と主演をつとめています。
『エアフォース・ワン』では、同じくハリウッドに拠点を移した二人の 親交のあつさがうかがわれるような登場の仕方でした。

『U・ボート(Das Boot)』はわたしにとって、もっとも好きな映画のひとつです。
夏に公開される『パーフェクトストーム(The Perfect Storm)』は、 ウォルフガング・ペーターゼン監督の海ものということで、 自分の中でも自然と期待がたかまっています。公開前には セバスチャン・ユンガーの原作本も合わせて読みたいと思っています。

作品紹介
2000年夏公開予定
パーフェクトストーム ―The Perfect Storm―
製作・監督…ウォルフガング・ペーターゼン
原作…セバスチャン・ユンガー
脚本…ビル・ウィツトリフ、ボー・ゴールドマン
CAST…ジョージ・クルーニ、マーク・ウォールバーグ、ダイアン・レイン
ウィリアム・フィッチナー、カレン・アレン、ボブ・ガンドン

<メモ>
原作はセバスチャン・ユンガーによる『パーフェクト・ストーム  史上最悪の暴風に消えた漁船の運命』( 訳=佐宗鈴夫 ISBN4-08-773318-1  C0098 定価1,995円(税込み)集英社刊)
舞台は1991年秋、アメリカ東海岸を襲った米国史上最悪の暴風に遭難した 漁船の悲劇を描いたノンフィクション作品。全米で大ベストセラーとなりました。
この原作をもとにウォルフガング・ペーターゼンが荒れ狂う海を舞台に 人間模様を描く作品として期待しています。(配給 ワーナー・ブラザース)


1999年
ハーモニーベイの夜明け ―Instinct ―
監督…ジョン・タートルトーブ
製作総指揮…ウォルフガング・ペーターゼン
脚本…ジェラルド・ディペーゴ
CAST…アンソニー・ホプキンス、キューバ・グッテイングJr.、ドナルド・ザザーランド、
モーラ・ティアニー、ジョージ・ズンザ、ジョン・アシュトン、ジョン・アイルワード

<メモ>
2000年4月に東宝洋画系で公開された『ハーモニーベイの夜明け』の原案となったのは、 テッド・ターナー賞を受賞したダニエル・クインの小説「イシュマエル」 (小林加奈子訳 ISBN4-900550-34-5 定価 1,796円+税 ヴォイス刊)です。 本の後書きにはイシュマエルとは旧約聖書からとったものであると書かれています。 原題のInstinctというのは動物的直感をさしているそうです。

アンドリューNDR114 ―Bicentennial Man ―
監督;…クリス・コロンバス
製作…ウォルフガング・ペーターゼン、ゲイル・カッツ、ローレンス・マーク、ニール・ミラー、
クリス・コロンバス、マーク・ラドクリフ、マイケル・バーナサン
脚本…ニコラス・カザン
CAST…ロビン・ウィリアムス、サム・ニール、エンベス・デイビッツ、ウェンディ・クルーソン

<メモ>
2000年5月公開作品。原作はアイザック・アシモフ著 『Bicentennial Man(バイセンテニアル・マン)』。


1998年
Uボート・ディレクターズカット版 ―Das Boot―
監督・脚色…ヴォルフガング・ペーターゼン
原作…ロタール・ギュンター・ブッフハイム
ディレクターズカットプロデューサー…オートウィン・フレイヤマス
CAST…ユルゲン・プロホノフ、ヘルベルト・グリューネマイヤー、クラウス・ヴェンネマン、
マルティン・ゼメルロッゲ、べルント・タウバー、マルティン・マイ/エルウィン・レーダー、
クロード・オリヴァー・ルドルフ

<メモ>
1982年年、敗戦国ドイツは4年の歳月と3000万ドイツマルク(約30億円)をかけて、 『Uボート』(元Uボート潜水艦の従軍記者ロタール=ギュンター・ブーフハイムの小説が原作)を 作り上げました。17年の歳月を経てウォルフガング・ペーターゼン監督自らの手によって 現在の最高のデジタルサウンドを駆使し、編集をしなおして1999年春公開されました。
17年の歳月を経ても色あせない、人間ドラマと再編成されたデジタルサウンドによって、 あたかも、自分がU-96の 44人目のクルーになったような臨場感に襲われ、 水深230メートルの水圧でボルトが飛んでくるシーンでは思わず、それをよけようとしている自分、 アスディック・ソナー・エコーの”ピコーン・・ピコーン・・”という音を聞きながら、 頭上が気になる自分、駆逐艦からの攻撃をただひたすら耐えている艦内との一体感、 どれもがすばらしく、汗だくになっている自分を感じました。
クラウス・ドルディンガーの素晴らしい音楽がU-96に躍動感を与え、U-96がまるで 意思をもったかのように感じられました。『Uボート』のサウンドトラック盤の最後には 約20分間、艦内での緊張したやりとりのセリフが収録されています。 また衣裳を担当したモニカ・バウアートは『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』でも衣裳、 装置の担当をしています。

<COIに送ったUボートのレビュー>
映画館で『DasBoot ディレクターズカット版』の予告を見たとき、SPRの予告編を見たときとおなじような心のざわめきみたいなものを感じました。
よし、絶対に見に行くぞと心にきめたまではよかったのですが、単館上映ということで、有楽町まで行かなければならないし、行ってみたら凄い混雑で1時間半待ちました。しかも待っている人の8割はは30代以上の男のひとばかり、困ったと思いながらも、心のざわめきを信じて並びました。でも、頑張って観にいって良かったです。『DasBoot』を観て、私の戦争映画に対する観点がまた少し変わったような気がします。
Uボートと英軍との戦いではなく、自分がUー96の44人目のクルーとなって、生き延びていくような感覚におそわれました。時代も1941年秋ということで、Uボートの脅威も30年代後半のものとは随分違っていたのだと思います。アスディック・ソナー・エコーの”ピコーン・・ピコーン・・”という音を聞くたびになんとなく、頭上を見上げてしまう自分がおかしかったです。あれほど意気揚々を生き生き仕事をしていたヨハンの狂気がUボート艦内の狂気の全てを象徴していたような気がします。
この作品の素晴らしさは、Uボート内でのクルーの生活、心理、見えない敵との戦いはもちろんですが、クラウス・ドルディンガーの音楽が凄かったです。この作品を見てドイツ軍びいきになってしまいまいた。英国びいきのわたしですが『Das Boot』の最後をみたときほど、英軍が憎く思ったことはありませんでした。
この作品で、あの最後のシーンだけが嫌いです。でも、あのシーンに敗戦国ドイツが作りだしたメッセージがこめられているような気もします。
完全版も観たのですが、完全版をみて、さらに人々の心にふれた気がしました。


2000年夏にはジョナサン・モストウ監督の『U-571』が公開される予定です。

Uボートの事が知りたいと思う方にお薦めのサイトです。
U-倶楽部
http://member.nifty.ne.jp/history/

1997年
エアフォース・ワン ―Air Force One―
製作・監督…ウォルフガング・ペーターゼン
脚本…アンドリュー・W・マーロー
CAST…ハリソン・フォード、ゲイリー・オールドマン、グレン・クローズ、
ウエンディ・クルーソン、リーゼル・マシューズ、ウイリアム・H・メイシー、
ユルゲン・プロホノフ

<メモ>
逮捕された旧ソ連のカザフスタン共和国の独裁者ラデク将軍役で ユルゲン・プロホノフが友情出演しています。

レッド・コーナー/北京のふたり ―Red Corner ―
監督…ジョン・アブネット
製作総指揮…ウォルフガング・ペーターゼン
脚本…ロバート・キング
CAST…リチャード・ギア、バイ・リン、ブラッドリーホィットフォード、
バイロン・マン、ピーター・ドナット、ロバート・スタントン

1995年
アウトブレイク ―Outbreak―
製作・監督…ウォルフガング・ペーターゼン
脚本…ローレンス・ドゥレット、ロバート・ロイ・プール
CAST…ダスティン・ホフマン、レネ・ルッソ、モーガン・フリーマン、
キューバ・グッテイングJr、ドナルド・サザーランド、ケヴィン・スペイシー

<メモ>
この作品の公開時にはザイールでエボラ出血熱が出現して映画はヒットしたそうです。

この作品を見ながらウイルスの新しい株の出現や、宿主を探さなければならないわけ。
エボラウィルスをはじめとして、最近さわがれている人獣共通感染症などを もっと知りたいと思うかたに、日本獣医学会サイトのレポートを読むことをお薦めします。
日本獣医学会
http://wwwsoc.nacsis.ac.jp/jsvs/index.html


1993年
ザ・シークレットサービス ―In the Line of Fire―
製作総指揮・監督…ウォルフガング・ペーターゼン
脚本…ジェフ・マグワイヤー
CAST…クリント・イーストウッド、ジョン・マルコビッチ、レネ・ルッソ、
ディラン・マクダーモット、ゲイリー・コール、フレット・ダルトン・トンプソン


1991年
プラスティク・ナイトメア/仮面の情事 ―Shattered―
製作・監督・脚本…ウォルフガング・ペーターゼン
原作…リチャード・ニーリー
CAST…トム・ベレンジャー、グレタ・スカッキ、ボブ・ホスキンス、
ジョアン・ウォーリー・キルマー、コービン・パーンセン


1985年
第五惑星 ―Enemy Mine―
監督…ウォルフガング・ペーターゼン
脚本…エドワード・クマーラ
原作…バリー・ロングイヤー
CAST…デニス・クエイド、ルイス・ゴセットJr.、リチャード・マーカス


以下ドイツ時代の作品

1984年
ネバーエンディングストーリー ―The NeverEnding Story―
監督…ウォルフガング・ペーターゼン
脚本…ヘアマン・ヴァイゲル
原作…ミヒャエル・エンデ
CAST…ノア・ハザウェイ、パレット・オリヴァー、タミー・ストロナッハ
「ネバーエンディング・ストーリー」は「はてしない物語」に何を見たのか

<メモ>
原作はミヒャエル・エンデ著『はてしない物語』 (上田真而子 佐藤真理子訳 ISBN-00-110981-6 定価2860)
音楽は『昼と夜のような白と黒』、『Uボート』についでクラウス・ドルディンガーが ジョルジオ・モルダーと共に担当しています。
撮影監督は『Uボート』でアカデミー撮影賞にノミネートされたヨスト・ヴァカーノが 担当しています。ヨスト・ヴァカーノはこの後ハリウッドに拠点をうつし 『ロボコップ』『トータル・リコール』『ショーガール』『スターシップ・トゥルーパーズ』など ポール・バーホーベン監督作品の撮影を担当しています。

1981年
Uボート ―Das Boot―
監督・脚色…ヴォルフガング・ペーターゼン
原作―ロタール・ギュンター・ブッフハイム
CAST…ユルゲン・プロホノフ、ヘルベルト・グリューネマイヤー、
クラウス・ヴェンネマン、マルティン・ゼメルロッゲ、べルント・タウバー、
マルティン・マイ、エルウィン・レーダー、クロード・オリヴァー・ルドルフ

<メモ>
TV Series を収録した6時間以上の完全版も見ごたえがあります。
1999年春に『ディレクターズカット版』も公開されました。
原作者のロタール・ギュンター・ブッフハイムは海軍で掃海艇、駆逐艦、 Uボートに乗込んだ経験があり、この体験をもとに小説『Uボート』を発表しています。
この撮影に使われているUボートは同じ時期に撮影されていたスティーブン・スピルバーグ監督の 『レイダース/失われたアーク』の撮影にも貸し出されたというエピソードもあります。

1978年
昼と夜のような白と黒 ―Black and White Like Day and Night ―
監督…ウォルフガング・ペーターゼン
脚本…ヨッフェン・ベーデゲルトナー、カール・ハインツ・ビルシュライ
CAST…ブルーノ・ガンツ、リューバ・タディック、ギラ・フォン・バイターハウゼン

<メモ>
音楽のクラウス・ドルディンガーはこの後の『Das Boot』『The NeverEnding Story』でも 音楽を担当しています。

1977年
Konsequenz, Die
(ユルゲン・プロホノフ主演)
The Consequence
For Your Love Only (TV作品)
Plan?bung (TV作品)

1976年
Vier gegen die Bank (TV作品)
Hans im Gl?ck (TV作品)
(ユルゲン・プロホノフ主演)

1975年
"Stadt im Tal, Die"( TV Series )
Kurzschlu? (TV作品)
Stellenweise Glatteis(TV作品)

1974年
Aufs Kreuz gelegt (TV作品)
Tatort - Nachtfrost (TV作品)

1973年
Tatort - Jagdrevier (TV作品)
(ユルゲン・プロホノフ出演)
One or the Other of Us
Smog (TV作品)
Van der Valk und die Reichen (TV作品)
Einer von uns beiden
(ユルゲン・プロホノフ出演)

1972年
Anna und Toto (TV作品)
Tatort - Strandgut (TV作品)

1971年
Tatort - Blechschaden (TV作品)
I Will Kill You, Wolf

1969年
Ich nicht
Eine - der Andere, Der


The internet Movie Database
http://us.imdb.com/
ぴあシネマクラブ2000-2001
映画プログラム
DVDソフトの特典資料
映画チラシ
などを参考にさせていただきました。

2000.6.1 ADU

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