愛と哀しみのボレロ
 ―LES UNS ET LES AUTRES―
 81年 仏

監督・脚本…クロード・ルルーシュ
ジョルジュ・ドン/ダニエル・オリブリフスキー/ジェラルデン・チャップリン/ジェームスカーン

 戦争を通して平和を願う心が、ヌレエフ(モスクワ)、ピアフ(パリ)、カラヤン(ベルリン)、グレン・ミラー(ニューヨーク)をモデルにして描かれています。モーリス・ベジャール振り付けのボレロが、ラストでジョルジュ・ドンによって踊られますが感動的です。ラスト20分弱のボレロのシーンが忘れられずDVDソフトを購入してしまいました。
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ウエルカム・トゥ・サラエボ
 ―Welcome To Sarajevo―
 97年 英

監督…マイケル・ウインターボトム 脚本…フランク・コトレル・ボイス
スチイーブン・ディレーン/ウディ・ハレルソン/マリサ・トメイ/エミラ・ヌシュヴイッチ/ケリー・フォックス

 イギリス人ジャーナリストMichael Hendersonは、ボスニア戦争初期のサラエボで取材活動を通して 一般市民が戦闘の巻き添えになつている現実を知っていきます。そして、前線に取り残された孤児院があることを知り、 子供たちの救出を訴え続け、孤児たちを国外に脱出させることになりますが、その孤児の中の一人Emiraは 引取り人がいないと国外に出せない年齢に達していたため、Michael は自分が引取り手となって助けようとする…… という実話に基づいた作品です。ボスニア戦争初期とはいっても戦火の元、内戦独特の市民が犠牲になっていく、 悲惨さが伝わってきます。

 アメリカ人ジャーナリストのFlynnがMichael に「英国の生みだした良いものは2つ、一つはアメリカ、 もうひとつはビートルズだ」と言ったときにMichael が「ビートルズはイングランドのものじゃない。 彼らはリバプール出身だから」と言う場面があります。これはリバプールがアイルランド移民の多く住む町で、 アイルランド人が時折、差別を受けることと、民族紛争ともいえるボスニア戦争、しかも人々が銃を向けあい戦うのではなく、 一般市民までが狙撃や砲弾の犠牲になる戦をかけあわせたかのように思えました。民族紛争の根底には民族間の差別意識が大きく 影響していると思われるからです。

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ウォーターシップタウンのうさぎたち ―WATERSHIP DOWN― 79年 英
監督・脚本…マーティン・ローゼン
原作…リチャード・アダムズ

平和に暮らしていたうさぎたち、そこに巨大なブルドーザーがやってくる。 乱開発の中で行き場をさぐるうさぎたち。ディズニーアニメのようなかわいいウサギたちではないけど、 うさぎたちの表情から感情までよみとれる作品。
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カーテンコール ―ALIVE AND KICKING― 96年 英
監督…ナンシー・メックラー 脚本… マーティン・シャーマン
ジェイソン・フレミング/アントニー・シャー/ドロシー・テューティング/アンソニー・ヒギンズ

マーティン・シャーマンの書き下ろしの脚本を映像化した作品。
 ロンドンのダンスカンパニーが、そのカンパニーの元トップダンサーだったラモンがエイズで死亡したことをきっかけに、 ラモンの代表作であった伝説の名舞台”インディアンサマー”をHIVポジティブのハンデを抱えながらも ダンスに情熱をかたむける、トニオを主役(ラモンの役)に上演するまでの話です。

 このトニオはゲイ&レズビアンの集うディスコで、ラモンのセラピストだったジャックと知りあい、 互いに惹かれあい恋人同士になっていきます。
 ちょっと、Storyを聞くと、なんだ、ゲイの映画かと思うのですか、そこがイギリス映画の良さというか、 細やかな感情のぶつかり合いとか、心の触れ合いが随所に表現されていて、いやらしくないのです。 トニオの考え方や生きていく情熱や姿勢にも心を熱くさせられましたまた。トニオとジャックの愛の形も素敵です。 またトニオがレズのダンス仲間とベッドインするシーンは少し切なくなります。

 トニオを演じるジェイソン・フレミングのダンス(手の振りの優雅さや表情の切なさ)も見ごたえがありました。
この、ジェイソン・フレミングはスコットランドを舞台にした映画”ロブ・ロイ”では リーアム・ニーソン演じるロブ・ロイと行動を共にしている青年Gregor役をしていました。 最近では”レッド・バイオリン”のFrederick Pope役(ポスターの人です)や ”ロック・ストック&スモーキング・バレルズ”のTom役、”グリード”ではクリードに頭から食べられてしまう Mulligan役を演じています。

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カプリコン1 ―CAPRICORN ONE― 77年 英
監督・脚本…ピーター・ハイアムズ
ジェームズ・ブローリン/エリオット・グールド/ブレンダ・バッカロ

イギリスが作ったNASAものってところがいい。 意思をもつヘリコプターの存在感をベトナム戦争物以外でかんじました。 ちょっとブラックなテイストなところも、心地いいです。










カルラの歌 ―CARLA'S SONG― 96年 英
監督…ケン・ローチ 脚本…ポール・ラバティ
ロバート・カーライル/オヤンカ・カベサス/スコット・グレン

 Paul Lavertyのニカラグアでの体験を元にした脚本を、イギリスの代表的監督Kenneth Loachが映画化した作品です。
 グラスゴーのバスの運転手だったGeorgeは無賃乗車した外国人Carlaを助けたことから、 次第にCarlaと関わりを持っていき、そして惹かれていき、そしてCarlaの心を蝕んでいる ニカラグア内戦の事を知り、彼女の心の解放を願い、Carlaと共に内戦下のニカラグアに旅立つまでの前半と、 後半のニカラグアでの悲惨な体験で構成されています。
 ニカラグア内戦とは左翼ゲリラ組織サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)が1979年に 独裁者ソモサを追放し1984年にオルテガが大統領選に当選したのをきっかけに、アメリカが 反・革命派右翼ゲリラ・コントラを支持しCIAが武器や情報、技術面で協力し、FSLNを迫害し 中南米情勢が混乱していったものです。
 最後に流れるCarlaの歌が哀しいまでに心に響いてきました。
 心やさしいGeorgeをロバート・カーライルが好演しています。 また、Carlaを演じるオヤンカ・カベサスのダンスシーンは素敵です。
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キリングフィールド ―THE KILLING FIELDS― 84年 英・米
監督…ローランド・ジョフィ 脚本…ブルース・ロビンソン
アカデミー助演男優賞、撮影賞、編集賞
サム・ウォーターストン/ハイン・S・ニョール/ジョン・マルコビッチ

 NY・タイムズ・マガジンに載ったシドニー・シャンバーグの手記「ディス・プランの死と生」 (ピュリッツァー賞、受賞の実体験)をデビィット・パットナムガ映画化した作品です。
 70年代に起こったカンボジア内戦(カンボジア政府と反政府ゲリラ”赤いクメール”の戦)を舞台に NYタイムズのジャーナリストのシドニー・シャンバーグとカンボジア人ガイドのディス・プランの取材にかける情熱と、 友情、戦争の残虐性、悲壮さが息をつく間もなく描かれています。
 ラストに流れるジョン・レノンの”イマジン”が忘れられない曲の一つになります。
 アカデミー賞の助演男優賞を得たプラン役のハイン・S・ニョールはカンボジアの軍関係の病院の医師で ’75年プノンペン陥落の際に赤いクメールにとらわれ、4年間の強制労働を就かされ、妻や子供を失い、 タイへ脱出したという経験の持ち主で、この作品をさらにいつわりのないものに導いているような気がします。 ’96年に自宅前でストリートギャングの少年たちの手によって銃殺されたのが残念です。 私が戦争と言うものを本気で考え出した作品の一つです。

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地雷を踏んだらサヨウナラから見る激動のインドシナ情勢と戦場カメラマン
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ケス ―Kes― 69年 英

監督…ケン・ローチ
脚本…バリー・ハインズ、ケン・ローチ
ディビット・ブラッドレー/コリン・ウェランド/リン・ベリー

 ケン・ローチ監督の初期(’69)の作品。1960年代後半のヨークシャー地方の炭鉱町が舞台です。 ケスというのは主人公のビリー少年がヒナのときから餌付けを試みて育てたハヤブサの名前です。
 ”ハヤブサは飼いならせない。人に服従しないから好きなんだ”というビリーとケスとの心の交流が、 ビリーの心のよりどころとなっていく様子が、結末を考えると哀しいです。
 教師による、生徒への体罰の様子も描かれているところが多く、ちょっと心が痛みました。
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シャイン ―SHINE― 95年 豪
監督…スコット・ヒックス 脚本…ジャン・サルディ
アカデミー主演男優賞
ジェフリー・ラッシュ/ノア・テイラー/アレックス・ラファロウィッツ

オーストラリアの天才ピアニスト、デビット・ヘルブコットの半生をモデルに描いた作品。
自分の夢を息子に託し息子の人生と自分の人生の区別がつかなくなってしまった父親と、 その父親の期待にこたえようとしながらも、自分の人生を考え始め可能性に向かって進んでいこうとする場面が印象的でした。
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世界でいちばん好きな人 ―DIS-MOI OUI...― 95年 仏 制作・監督・脚本…アレクサンドル・アルカディ
脚本…オリヴィエ・ダザ/アントワーヌ・ラコンブレ
ジャン・ユーグ・アングラード/ジュリア・マラヴァル/ナディア・ファレス/クロード・リッシュ/ヴァレリ ー・カプリスキー/アヌーク・エーメ

 脳の難病に冒された12歳の少女エヴァが、6歳の時親切にしてもらった医師ステファンに、思いをよせて、 家出をしてくるところから、話が始まるのですが、エヴァに振り回されながらも、彼女を病から助けようと必死になっていく、 ステファン役のジャン・ユーグ・アングラードが、とても良かったです。(キリング・ゾーイという銀行強盗の映画の エリック役と同一人物には思えない)
 ジャン・ユーグ・アングラードは”ベティ・ブルー”や”ニキータ”などのように、女性に振り回されながらも、 やさしさで包み込むような役が似合いますね。見ていて恥ずかしくなるような、あまい愛情表現もすんなり、 してしまうところがいいのかもしれないです。
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卵の番人 ―EGGS― 95年 ノルウェー
監督・脚本…ベント・ハーメル
スヴェレ・ハンセン/ヒェル・ストルモーン
レイフ・アンドレ/ユーニ・ダール/ウルフ・ヴェンガール

ノルウェーの深い森の中で静かで単調な暮らしを過ごしている年老いた兄弟、モーとファー。 その生活がファーの隠し子のコンラードが同居することになって崩れていく。 クリスマスツリーを飾るシーンからクリスマス、そして片づけのシーンはとても面白い。 ラジオから流れる音楽、ニュースもよく聴くといろんな発見が。










ディファレント・フォー・ガールズ ―Different For Girls― 97年 英
第20回モントリオール国際映画祭グランプリ
監督…リチャード・スペンス

 トランス・セクシャルした同級生キム(スティーブン・マッキントッシュ)と偶然出会った時から人生が変わってしまい、 そして、いい関係になっていくという、なんとなく見終わった後、ウフフとなってしまう(楽しいですよ)映画です。 監督リチャード・スペンス、第20回モントリオール国際映画祭グランプリ。
 トランス・セクシャルしたキムを演じたのは、このごろ、随分、名前をみかけるスティーブン・マッキントッシュ (なんだか、とっても、うつくしい)。この人は’90年の”メンフィス・ベル”で”mother&country号”に、 乗り組む新兵の役で出ていた人なのですね。他にも”グロテスク”ではスティングに誘惑される役をやったり、 最近では”ロック・ストック・・・”や”スカートの翼広げて”にも出演しています。
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ネバーエンディングストーリー ―THE NEVERENDING STORY― 84年 西独
監督…ウォルフガング・ペーターゼン
原作…ミヒャエル・エンデ
脚本…ヘアマン・ヴァイゲル
ノア・ハザウェイ、バレット・オリヴァー、タミー・ストロナッハ

ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」の映画化作品。この作品はSFXで作られた たくさんのクリーチャーたちも印象的だけど、ジョルジオ・モルダーのテーマ曲(歌・リマール)や 静かな流れの曲と、胸躍るような、クラウス・ドルティンガーの力強い音楽が好きです。 特にクラウス・ドルティンガー(U−ボートの音楽担当)の「喜びの飛行 HAPPY FLIGHT」は大好きです。 いじめられっ子だった経験もあるわたしは、最後のシーンは夢の中で描いたファンタジー溢れる表現で好きです。










ネバーエンディングストーリー3  ―THE NEVERENDING STORY 3―  94年 米・独
監督…ピーター・マクドナルド
原作…ミヒャエル・エンデ
脚本…ジェフ・リーベルマン
ジェイソン・ジェームズ・リクター、メロディ・ケイ、ジャック・ブラック、 フレディ・ジョーンズ、ジュリー・コックス、トニー・ロビンソン

 ネバーエンディングストーリーは1〜3まで観ていますが、2だけは他の2作に比べて あまり好きではありません。ロックバイダーとジュニアが買物に出かけるシーンでかかる 「イージーライダー」の曲がなんともいい感じです。 SFX製作に携わったのは「セサミ・ストリート」のマペットをつくりだしたジム・ヘンソン(90年に急逝)の 設立したジム・ヘンソン・クリーチャー・ショップ(アニマトロニクスSFX製作)で、あたたかみのある クリーチャーたちが魅力的です。










パーフェクトサークル 戦場の子供たち
―LE CERCLE PARFAIT―
 97年 ボスニア・仏
監督…アデミル・ケノヴィッチ 脚本…アデミル・ケノヴィッチ、アブドィラフ・シドラン
第10回東京国際映画祭グランプリ、監督賞、カンヌジュニア賞
パリ国際映画祭審査員特別賞、エルサレム映画祭ヴァン・リール賞他
ムスタファ・ナダレヴィッチ/アルメディン・レレタ/アルミル・ポドゴリッツア/ヨシプ・ベヤコヴィッチ

 ボスニア戦争も勢いを増し、市街が安心して住むことの出来ない場所になってからの話です。
 映画は、幼い二人の兄弟がベッドで目を覚ました時から始まるのですが、窓の外では兵士たちが住民達を無差別に撃ち殺していく姿が……なんとか難を逃れて、サラエボ市内に住む叔母を訪ねてサラエボへ行くのですがそこで、自殺願望のある詩人の男と出会い、一緒に生活をしていくのですが、次第に心を通わせるようになり、ほのぼのとした話もいくつか出てきます。しかし、戦闘も激しさを増してきて、何とか少年たちをサラエボから脱出させたいと考えるようになるというものです。ボスニア戦争の特徴とも言える狙撃手の存在、市街地ということもあり、紛争の最中でも、買物に出たり、友人と会ったり、水の配給を受けるため外に出た時に、街に潜む狙撃手の手で狙撃され、一瞬のうちに命を落とす様が伝わってきました。「危険な通りを渡る時は3人目を避けろ」と言う場面があります。「狙撃手は1人目で発見し、2人目で狙いをつけ、3人目で撃つ」と言われるからだそうです。
 ボスニア戦争を意識させられた作品でした。
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フェアリー・ティル ―FAIRYTALE-A TRUE STORY―  97年 英
監督…チャールズ・スターリッジ
原作・脚本…アーニー・コントレラス
原作…アルバート・アッシュ、トム・マクローリン
フロレンス・ハース、エリザベス・アール、ピーター・オトゥール、ハーヴェイ・カイテル

 1917年の”コティングリー妖精事件”をもとにした作品。とにかく美しい映像の作品です。 誰の心の中にも妖精は住んでいます。ただ、その妖精の存在を必要とするか、その存在を信じるかの 違いだと思います。この作品を観たら、きっと自分の信じる妖精に出会えるんじゃないかと思います。 メル・ギブソンがカメオ出演をしています。










フェイス ―FACE― 97年 英
監督…アントニア・バード 脚本…ローナン・ベネット
ロバート・カーライル/レイ・ウィンストン/スティーブン・ウォディントン/フィリップ・ディビス/デーモ ン・アルバーン/レナ・ヘディ/ピーター・ヴォーン/スージョンストン

 数々の賞を受賞した”司祭”のアントニア・バード監督作品です。
 レイ(Ray)をリーダーとする5人の武装強盗団(FACE)が造幣局を襲撃しますが、予定通に計画が進まず、 皆の取り分が大幅に少なかったことから、思わぬ事態に進んでいくという話です。猜疑心や裏切り、裏切りの陰にある事情 、レイの母親や恋人が行う社会主義コミュニスト運動や、犯罪者、体制側の汚点、仲間、愛情、友情、と数々のテーマをレイ役の ロバート・カーライルがクールにそして哀しく演じています。この作品を見てロバート・カーライルのファンになった人も 多いのではないかと思います。わたしもそのひとりです。最後のシーンはレイの涙に誘われ本当に感動します。

 最初のシーンでレイたちが押し入った先の麻薬の売人(Vince)を74年にロンドン郊外でおきた爆弾テロ 「ギルフォード・フォー事件」を扱った”父の祈りに”の原作者ジェリー・コンロン(Gerry Conlon)が演じています。
 最後にキレまくっていたJulianを演じていたフィリップ・デイビスは’79の”さらば青春の光”にも出演していました。 この2作を続けてみたのですが20年近くたっても少し太ってお腹が出た以外イメージがあまり変わらないので驚きました。
 強盗仲間のソニー(Peter Vauglas)の代理で仲間に入ったソニーの甥Jason役はイギリスのロックバンド 「ブラー(Blur)」のデーモン・アルバーンが演じています。
 レイの恋人Connie役のレナ・ヘディはスティング主演の”グロテスク”では教授の娘の役をやっていましたね。
 レイの部屋の壁がカメラの長回しによって貼ってある写真やポスターを映しだすシーンがあるのですが、思わぬ発見が出来るかもしれません。


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ブラス! ―BRASSED OFF― 96年 英
監督・脚本…マーク・ハーマン
東京国際映画祭審査員特別賞
ピート・ボスルスウエイト/ユアン・マクレガー/タラ・フィッツジェラルド/スティーブン・トンプソン

 ヨークシャー・グリムリ炭坑の坑夫たちによって編成された歴史あるブラスバンド  Grimethorpe Colliery Band の実話をもとにしています。
 保守党の石炭産業に対する冷遇で140もの炭坑が閉鎖に追い込まれ、 125万人もの坑夫たちが失業した事実から、当時の炭坑閉鎖の経緯や失業などの社会問題も描かれています。 (サッチャー首相のことも批判しています)
 炭坑の仕事で肺を病におかされながらも音楽に情熱を傾ける指揮者ダニーと息子フィルのドラマ、 グロリアとアンディ(ユアン・マクレガー)の恋愛ドラマや労働者と経営者の戦などがかみあいながら、 楽団がヨークシャーの小さな村から、ロンドンのロイヤル・アルバートホールのステージまで勝ち上がっていきます。
 病院に入院したダニーの病室の窓の外でバンドのメンバーが”ダニー・ボーイ”を演奏するシーン (アンディは楽器を売ってしまったため口笛を吹いている)では、涙が出てしまいます。 ”ダニー・ボーイ”という曲の素晴らしさに、またひとつ気付いてしまいました。 (映画の中でダニー・ボーイが流れる作品は以外に多いのです、わたしはメンフィス・ベルのダニー・ボーイを聴いて この曲が大好きになりました。)
<2000.4>3月31日、メンフィス・ベルでファンになったハリー・コニック・Jrのコンサートに行きました。 コンサートではこの映画(メンフィス・ベル)のことを話しながら、ダニー・ボーイを歌ってくれました。
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ブラヴォー・ツー・ゼロ ―BRAVO TWO ZERO― 98年 英
監督…トム・クレッグ
ショーン・ビーン/ジャミー・バートレット/ケビン・コリンズ

 英特殊空挺部隊SASの兵士だったアンディ・マクナブ軍曹の実際の体験手記から作られた湾岸戦争を題材にした作品です。 砂漠の真ん中にあるイラク軍のスカッドミサイルの基地を爆破するという、任務をおった分隊ブラヴォー・ツー・ゼロの 作戦開始から捕虜生活、そして生還までが描かれています。
 湾岸戦争と扱ったものとして、アメリカ映画とはまた違った視点をもっています。 仲間意識や友情などイギリス映画独特の表現も多いです。
この作品には思い入れも多くブラヴォー・ツー・ゼロの原作アンディ・マクナブ著の 「ブラヴォー・ツー・ゼロSAS兵士が語る壮絶な湾岸戦記」と クリス・ライアン著の「ブラヴォー・ツー・ゼロ孤独の脱出行」(劇中、緑のキャンディがキライと 言っていた人)を購入しました。
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ボスニア ―LEPA SELA LEPO GORE― 96年 セルビア
監督・脚本…スルジャン・ドラゴエヴィッチ 脚本…ワーニャ・ブリッチ
96年サンパウロ国際映画祭グランプリ、ストックホルム国際映画祭グランプリ
フォート・ローデルダール国際映画祭最優秀外国映画賞、テサロニキ国際映画祭観客賞
ドラガン・ピエロヴルリッチ/ニコラ・コーヨ/ニコラ・ペヤコヴィッチ/ドラガン・マクシモヴィッチ

 ボスニア戦争中の事件を実話に基づいて描いたセルビア作品。
 ムスリム軍の攻撃を受けたセルビア軍の生き残りの兵士と、軍のジープに潜んでいたアメリカ人の女性ジャーナリストが廃虚となったトンネル内にたてこもり、食糧や援軍のないなかで、トンネルの外のムスリム軍からの攻撃を受け、そして脱出をはかる話です。ボスニア戦争の背景にある、セルビア人とムスリム人の歴史が、昨日まで友人だった人々や、義兄弟などを敵同士にしてしまう悲惨さが伝わってきます。
 主人公のミランが言った”美しい村は美しく燃える”と言った言葉が印象的でした。
 トンネル内で、ジャンキーだった兵士がいつもヘッドホーンで音楽を聴いていたのですが、攻撃を受けて撃たれたとき、”ロクサーヌ”と歌を口ずさみながら倒れていきます。これを見たとき、私は彼がポリス(スティング)の「ロクサーヌ」を聴いていたんだ、と思いましたが果たして・・・。
 インタビューに答えて、セルビア兵士が言った「600年前のドイツ人やイギリス人が手づかみでブタ肉を食べていた頃、セルビア人は堂々とフォークを使っていた」という 言葉と、結末がとても印象的でした。
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フル・モンティ ―THE FULL MONTY―  97年 米
アカデミーオリジナル作曲賞
監督…ピーター・カッタネオ 脚本…サイモン・ボーフォイ
ロバート・カーライル/トム・ウイルキンソン/マーク・アディ/レスリー・シャープ/エミリー・ウーフ/ヒューゴ・スピーア

 鉄鋼産業で栄えたヨークシャー地方シェフィールドも長引く不況で工場も潰れて、失業者があふれているような状況の中で、町にやってきた有名な男性ストリップ・チーム「チッペンデールズ」のショーが女性達を熱狂させているのを見たGaz(ロバート・カーライル)は子供の養育費を稼ぐため一獲千金をと考え自分たちもストリップショーをやろうと考えるという、なんとも安易なところから始まるのですが(素人集団なのでgo the Full Monty でいこうとう)集まった人たちの人間模様がとてもおもしろいのです。
 職業安定所で並んでいるときに、音楽に合わせて、リズムをとる面々、ついには踊りだしてしまうシーンがたまらなく素敵、その感じ、わかるわかる、という感じで好きです。
 自殺しそこなったLomperとnice bodyのGuyがとても親しくなってしまうところが、イギリス風??というか、なんだかほのぼのと。
 音楽もドナ・サマーの「ホット・スタッフ」、「フラッシュダンス」、ショーに使ったトム・ジョーンズの「You can leave your hat on」などとても素敵です。大好きなサントラの一枚です。
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Uボート ―DAS BOOT― 81年 西独
監督・脚本…ウォルフガング・ペーターゼン
ユルゲン・プロホノフ/ヘルベルト・グレーネマイヤー/クラウス・ベンネマン/アーウィン・レダー

 1941年秋にナチスドイツ占領下のフランスのラ・ロシェル軍港から43人を乗せて出航したU96の辿った過酷な航行と、極限状態においての人間模様を描いた作品です。
 今年5月に”Uボート ディレクターズ・カット版”を劇場に見に行きました。あたかも、自分がU96の乗組員にでもなってしまったかのような錯覚に襲われるような映画でした。どうしても、完全版が観たくなり、6時間以上の完全版も観てしまいました。完全版を観ると、U96の艦長の人間性が見えてきて、Uボートという作品がより身近なものになります。
 音楽のクラウス・ドルディンガーはドイツで作られた”ネバーエンディングストーリー”(1作目)でも音楽を担当しています(お正月恒例の駅伝競争のテーマソングは聴いたことのある人が多いと思います)
 監督のウォルフガング・ペーターゼンは”ネバーエンディングストーリー”のあと、ハリウッドで”ザ・シークレット・サービス” ”アウトブレイク”そして、艦長役だったユルゲン・プロホノフが出演した”エアフォース・ワン”などの作品を手がけています。

<CROSS OF IRON に送ったレビューより>
『DasBoot』を観て、私の戦争映画に対する観点がまた少し変わったような気がします。 Uボートと英軍との戦いではなく、自分がUー96の44人目のクルーとなって、生き延びていくような感覚におそわれました。 時代も1941年秋ということで、Uボートの脅威も30年代後半のものとは随分違っていたのだと思います。

映画館で『DasBoot ディレクターズカット版』の予告を見たとき、SPRの予告編を見たと きとおなじような心のざわめきみたいなものを感じました。よし、絶対に見に行くぞと心 にきめたまではよかったのですが、単館上映ということで、有楽町まで行かなければなら ないし、行ってみたら凄い混雑で1時間半待ちました。しかも待っている人の8割はは3 0代以上の男のひとばかり、困ったと思いながらも、心のざわめきを信じて並びました。 でも、頑張って観にいって良かったです。『DasBoot』を観て、私の戦争映画に対する観点 がまた少し変わったような気がします。Uボートと英軍との戦いではなく、自分がUー9 6の44人目のクルーとなって、生き延びていくような感覚におそわれました。時代も1 941年秋ということで、Uボートの脅威も30年代後半のものとは随分違っていたのだ と思います。アスディック・ソナー・エコーの”ピコーン・・ピコーン・・”という音を 聞くたびになんとなく、頭上を見上げてしまう自分がおかしかったです。あれほど意気 揚々を生き生き仕事をしていたヨハンの狂気がUボート艦内の狂気の全てを象徴していた ような気がします。この作品の素晴らしさは、Uボート内でのクルーの生活、心理、見え ない敵との戦いはもちろんですが、クラウス・ドルディンガーの音楽が凄かったです。こ の作品を見てドイツ軍びいきになってしまいまいた。英国びいきのわたしですが『Das Boot』の最後をみたときほど、英軍が憎く思ったことはありませんでした。
この作品で、あの最後のシーンだけが嫌いです。 でも、あのシーンに敗戦国ドイツが作りだしたメッセージがこめられているような気もします。
完全版も観たのですが、完全版をみて、さらに人々の心にふれた気がしました。

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