伝蔵荘日誌

【伝蔵荘日誌】 2021年3月5日 Ak君とのバイデン論争 T.G

 会社同期のゴルフ仲間と年に2,3回ゴルフをする。サクの会と名付け、互いに連絡を取り合うための同報メールリストがある。そのやりとりの中で、仲間の一人のAk君とたびたび議論を交わす。なかなかの論客で、いつも話が弾む。ほかのメンバーはまったく興味を示さない。昨年もハーウエイがらみの5G通信事業についてやりとりをした。1月末にバイデン新大統領について伝蔵荘日誌を書いたら、彼から下記のようなメールが送られてきて、バイデン大統領の対中政策に関する議論が始まった。

 T.Gさん、Akです。
 日誌一読しました。中々厳しい見方ですね。高齢のバイデン自身は期待薄ですがチームバイデン(取り巻き)に少し期待してます。中道派主体ですし、経験もマアマア。同盟国重視でEU、イギリス、インド太平洋同盟諸国と上手くやって欲しいと思ってます。中国に関してはトランプ政策の継承の様ですが差当たり「台湾」をお互い如何するか?見ものです。中国は経済力が向上すれば何をやり出すか判りません。広い意味での中国経済を停滞させ、自滅させる事もキーの一つでしょう。何れにしろ、今後4年の成果が次期大統領選のキーですが、米国の内情は良く判りませんが問題が多く、多難な様ですね。

 Akさん、T.G.です
 日誌を読んだ伝蔵荘仲間から、おまえはトランプが好きだね、あんな下品な大統領のどこがいいのと嘲笑されました。アメリカの大統領の品の悪さなんてどうでもいい。日本にとって都合のよい大統領なら誰でもかまわないと言っておきました。歴代民主党の大統領はそういう意味で全員ろくでもなかった。ルーズベルトもクリントンもオバマも日本に意地悪ばかりした。おそらくバイデンもそうなるでしょう。何せオバマの副大統領ですから。嫌がる安倍に無理やり慰安婦合意を取り結ばせたのは彼です。安倍が靖国参拝したら、大いに失望と脅しをかけてきたのも彼です。チームバイデンはいいですが、対中国戦略はチームでは出来ない。チームには必ず親中派が混じっていますから。そのくらい中国の対外戦略は浸透しています。日本だと二階ね。中国押さえ込みは、トランプのように乱暴なトップダウンでしか出来ません。中国が覇権を握る将来は悪夢ですが、僕らがくよくよしても仕方がないですね。どうせ我々が死んだ後の話ですから。

 T.Gさん、Akです。
 かなりの共和党支持者ですね。実態は良く判りませんが世の中、色んな見方があるので成り行きを見るしかありません。ウイルス名称、孔子学院等はさて置き、ハイテク産業への圧力は継続、強化をして欲しいところです。同盟国間でのサプライチェーンの再構築の検討が始まっている様ですが実効ある施策を打ち出し、実施して欲しいものです。
 こんな記事もご参考に。 バイデン政権に求められる米国版“一帯一路戦略”

 Akさん、T.G.です。
 この記事は小生も読みました。トランプのようなハチャメチャではなく、きちんと戦略を立て、同じ土俵に立って中国の一帯一路と正しい競争しろと。そのためには同盟が重要だと。この場合の競争とは経済競争でしょう。もう中国との覇権争いはその域を超えています。中国は安全保障(軍事力)を含めて世界の覇権を握ろうとしているのです。経済競争ではどちらか一方が(アメリカかが)他方(中国)を完全にやっつけることにはなりません。アメリカ側と中国側の経済領土が分かれるだけです。これは中国にとっては願ったり叶ったり。おそらく中国の最終目標です。

 中国のGDPはすでにアメリカの7割を超えている。もう潰すことは出来ない経済規模です。トランプはやり方はともかく経済、安全保障両面で中国を屈服させようとしました。バイデンがやろうとしていること(この記事が言っていること)は同じ土俵の上での経済競争に過ぎません。こういうお公家さん的戦略は中国にとって痛くも痒くもない。何の脅威にもなりません。ソ連は経済力が低かったので同じやり方で潰せましたが、今の成金中国は潰せません。もうアメリカにはその力(経済力)がない。覇権争いは競争ではなく、ルーズベルトが理屈抜きでドイツと日本をやっつけたように、拳を振り上げて叩き潰すしかありません。トランプはそれをやろうとしましたが、バイデンは経済競争でお茶を濁そうとしている。それではかって習近平が望んだ、太平洋の東西二分割(G2)に終わるでしょう。当然日本は西太平洋側に組み込まれます。それを心配しています。

 T.G.さん、Akです。
 かなり過激な意見ですね。トランプはアメリカ第一主義で、すべて「損得勘定」がベースで「票稼ぎ」が主体です。従って、戦略も無く、同盟国は行動を図りがたく、協力の仕方が判りませんでした。中国封じ込めは詰め将棋と同じで、攻撃出来ず、且つ、逃げ道が無くなる様、あらゆる方向(経済、軍事力、科学&先進技術、人権、スポーツ、文化等々で、全ての駒(同盟国)を使って封じ込める事です。一国(アメリカ)に期待する事は余りにも危険です。記事はトランプが見落としていた失政の”一つ”を指摘しているに過ぎません。アメリカの役目は単独で中国を封じ込めるのではなく(今はその力さえ無い)、同盟国の中心になって、多様な方向(経済・・・)で戦略を示し、指導力を発揮し、先頭に立って、実施、調整、 支援する事がアメリカの役目ではありませんか。現在自由主義国より、共産主義国(独裁政治)の国の数が多いので、国連等は全く当てにはなりません。バイデンが何処まで出来るかは疑問ですが、大統領になったのは現実ですから頑張って欲しいものです。

 Akさん、T.G.です。
 もう普通のやり方では中国の封じ込めは無理です。図体が大きくなりすぎた。オバマが8年間何もしなかった付けです。ルールベースの詰め将棋は法治主義、民主主義の優等生がやること。法治も民主もない中国は平気でルール破りしますが、同じことをアメリカは出来ない。WTOもWHOも中国はルール破りのやりたい放題ですが、それを誰も咎められない。アメリカも中国と同じルール無視の土俵に立たねば勝負になりません。何でもありのプロレスです。トランプはそれをやろうとしたが、インテリバイデンはやる気がない。詰め将棋では、せいぜい中国の覇権を地球の半分にとどめることしか出来ません。それが習近平中国の狙いです。中国は丸ごと世界覇権を目指しているわけではありません。アメリカと半分ずっこすること(G2)が狙いです。そうなった暁には、日本は中国側の半分(G)に組み込まれるでしょう。地政学的にそうなるしかない。20年後ぐらいかな。考えたくもない悪夢です。

 T.G.さん、Akです。
 絶望的ですか?  中国自身も問題を多く抱えています。国営企業の不良債権問題、一人っ子政策による、近未来の少子化問題、などなど。決してバラ色ではありません。 同盟国が団結して、自国が出来る事をしっかり実施する事が問題解決には重要と思いますが、こういう記事は如何でしょうか。  「国際法を無視する中国の傍若無人、その根拠と対策」JBpress

 Akさん、T.G.です。
 絶望とまでは言わずとも、かなり悲観的ではあります。かなりバイオレントなことをやらないと、もはや中国の膨張は止められません。トランプの理屈度外視のバイオレンスに一瞬期待しましたが、それも消えてなくなりました。

 貴君が言われる通り、中国が自壊する可能性は十分あります。少子高齢化と人口減少が始まっていますし、共産党支配下の経済運営の矛盾も大きい。アリババの事実上の国有化を見ていると、自由主義経済は中国には無理です。「中所得国の罠」と言う説があります。発展途上国の一人あたりの所得が1万ドルを超えると経済成長が止まると言う意味です。今の中国はやっと1万ドルを超えたところ。ここで頭打ちになれば、中国の覇権はありません。大いに期待しますが、バイデンが何もやらないことの免罪符にはなりません。中所得国の罠に陥ったことに気づけば、習近平はさらに無法なことをやり始めるでしょう。そうしなければ中国がもたないからです。何せ共産党一党独裁の国ですから何でもありです。それに対してこちらがルールを守っていては勝負になりません。ルール通りの詰め将棋では駄目です。香港を見れば分かりますが、なにせ歩で玉をとるような無法を臆面もなく犯す国です。その無法に対して、より強大な力で応じなければ中国は抑えられません。

 今のところ議論はここで止まっているが、いったいこの先の米中関係と世界情勢はどうなって行くのだろうか。コロナ、総務省接待、オリンピックなど、チマチマした問題に明け暮れている日本ではほとんど議論にならないが。

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