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2018年4月30日： 南北首脳会談を見て Ｔ．Ｇ． 
時々のぞく二階堂ドットコムというブログに、“韓国の某大学学長”とやらの手になる文章が引用されている。韓国の文在寅大統領の出自経歴を解説した後に、次のような記述が出てくる。 「日本の韓国併合に抗議する前に韓国人自身が考えなければならないことがある。日本の韓国併合に対してアメリカもイギリスも誰も抗議しなかった。世界は当然のような顔をして受止めていた。それはなぜか。日清戦争のとき、清国軍がソウルを占領しても韓国人は戦わなかった。だから日本が戦って清国を追い払った。ロシアが入ってきた時もわれわれは戦わなかった。日本軍が血を流して戦い、朝鮮からロシアを追い出した。だから日本はこれ以上トラブルは嫌だと朝鮮を併合してしまった。韓国は自ら亡んだのだ。責任を日本に押し付ける前に、われわれは戦わなかったから亡びたことを知らねばならない。」 
言い得て妙である。いみじくもこの文章が指摘しているように、昔から朝鮮の人たちは自らの境遇を変えるために自らが動き、取るべき道を選んだことがない。いつも周りの国、昔であれば日本や支那、ロシアなどの他国に下駄を預けてきた。今はアメリカである。今回鳴り物入りで行われた南北首脳会談を見ていると、この国の悪弊がいまだに治っていないことが分かる。テレビのライブ中継用に派手な演出をしているが（経済評論家の吉崎達彦氏はこれを韓流ドラマと形容している）、板門店宣言は中身が空っぽで、肝心の非核化をアメリカのトランプに丸投げしている。トランプに下駄を預けて、金正恩も文大統領も自ら手を下す気はさらさらない。自分の核やミサイルなのだから、その気になれば自分で出来ることはいくらもあるはずなのに。これでは廃棄する気がないと言っているのと同じである。 核は相手がある国家安全保障の問題だからまあ良しとして、板門店宣言にはもう一つ大事なテーマがある。南北統一である。非核化のトランプ丸投げはさておき、南北統一は自分達の問題で、他国の与り知らぬことだ。韓国と北朝鮮が自らの意思で行動に移さなければ何も動かない。それなのに宣言に書かれているのは南北米３者、または南北米中４者会談などとまるで他人事のようである。要するに当事者意識に欠け、その気も準備もまるで出来ていないのだ。某学長の文章の通りで、これでは統一など出来ない。 
朝鮮と同じように東西冷戦で分断された国はほかにもある。ドイツとベトナムである。いずれも統一は朝鮮以上に困難な作業だったが、両国とも自らの意思で行動し、統一に導いた。ベトナムは超大国アメリカの巨大な軍事力をはねのけて統一した。アメリカとの10年戦争を戦い抜いた苛烈さは朝鮮戦争の比ではない。軍事力の面でソ連の力は借りたが、北朝鮮のようにソ連中国の傀儡にはならなかった。自らの意思と行動力でアメリカを追い払った。北朝鮮や韓国との最大の違いは、優れた国家指導者の存在と国民の団結力である。そのいずれもが両国には欠けている。李承晩は朝鮮戦争で旗色が悪くなると、国民を置き去りにして真っ先にアメリカへ逃げた。国連軍に鴨緑江まで追い詰められた金日成は、スターリンに泣きついて中国に参戦してもらった。ベトナム戦争を指導したホーチミンは独裁者ではなく愛国者で、国民の信頼が厚かった。核ではなく国民の団結力でアメリカに対抗した。南北朝鮮にはいまだにホーチミンは出ず、統一への民族の団結もない。 
韓国と北朝鮮は政治体制と経済力がまったく違う。片方は民主主義で、もう一方は専制独裁である。経済格差は50倍もある。民主主義と独裁体制は両立しない。足して2で割ることも出来ない。統一にはどちらかがもう一方に歩み寄る必要がある。東ドイツはそれまでの政治体制を完全放棄して西ドイツに合わせた。経済格差は西ドイツの経済力で埋めた。要するに西ドイツに吸収合併されたのだ。そんなことを総軍様が承知するはずがない。さりとて北が南を飲み込むことも出来ない。それゆえドイツと同じことが韓国と北朝鮮には出来ない。やる気もないし知恵もない。やる気があれば、板門店宣言に美辞麗句だけを書き並べない。もう少し具体性を盛り込むはずだ。韓国が人口2000万人、経済力50分の一の北朝鮮を合併したら、ただでさえ脆弱な韓国経済は崩壊する。再び途上国に舞い戻る。高い生活水準に慣れた韓国民はそれを我慢できないだろう。 
もう一つ難点がある。東西ドイツはお互い一度も戦争をしていないが、韓国、北朝鮮は60年前の戦争で互いの国民を百万人単位で殺し合った過去がある。親戚や親兄弟を殺された国民がまだたくさん生き残っている。その恨みや怨念を解消するのは容易なことではない。無理に統一させたら国民の不満が鬱積し、暴動や社会不安が絶えないだろう。そのあたりを韓国の人たちはどう考えているのだろう。韓流ドラマのように派手に演出されたライブ映像を見たソウルの人たちは、南北首脳会談をどう受け止めているのだろう。率直な感想である。 もう一つの率直な感想。韓国のGDPは東京都とほぼ同じで、北朝鮮のGDPはさらにその50分の1である。経済力が東京都の50分の1しかない国が大威張りで核ミサイルを持てる。実に安い兵器である。これでは誰でも持ちたがるはずだ。その御利益をいちばん良く知っているのが金正恩だろう。さて大口を叩いたトランプが将軍様をどう追い詰めるのか、大いに見物である。トランプがしくじったら、日本も核ミサイルを持とう。ほかに打つ手はない。隣に核で恫喝する反日国があるのに、核廃絶などときれい事は言っておれない。 |