主なCollins製Preselector

635V-1とAM-4823/U

このタイプのプリセレクターは、同一の3ポールフィルターと称する同一の同調機構が使用されている。 まず、635U-2は718U-4シリーズ用のプリセレクターで、レシバーエキサィターより、パラレルまたはMODULO TWOというシリアルでコントロールされている。

888B-1

このユニットはURG-2のシステム内に組み込まれ3ポールのアッセンブリーが受信あるいは送信用のトップフィルターとして機能している。

HF-8060

HF-80シリーズのプリセレクターで、これも前記の3ポールフイルターアッセンブリーを使用している 8060は受信の場合はトップフィルターとしてBCDの周波数情報でコントロールされ、送信はこのシリーズのエキサィターの出力のフィルターとして3次高調波の抑制を行っている
ただこのシリーズまではサーボモーターによるコントロールを行っているため、チューニングタイムが約10秒ちょっとかかるので、新しいシステムである周波数ホッピング等のシステムには対応できない。この新しいシステム用に開発されたのがHF-8064である。



635V-1は、諸OMがかなり以前から仕様等に関して紹介されているが、この機器の最大の特徴はフィルターユニットに使用されているコイルの大きさと連動れた
バリコンの素晴らしさであろう。635V-1は、914B-3のコントローラーにてリモートコントロールされ、PartNumberにより、電源入力AC115V400Hzと DC28Vに分けられ、F-1039A/UというモデルはAC110V 60Hz入力となる。基本的には内部のサーボモーター・ブロワー等は400Hzで動作しており、サーボAMPはチョッパーを使用している。したがって、電源の400Hzインバーター・400Hzのブロワー・チョッパー等から発生する騒音が大きくリモートコントロールにより本体を離して使わざるを得ない。私の場合はDC24Vの静かなブロワーに交換しているが、チューン時のチョッパーの唸り音(約15Secでチョッパーは停止する)には閉口している。
使用真空管は、サブミニチュア管のMedium-MuTwinTriode6111WAを2本、其々カスコードのAMPとカソードフロアとして使用している。このプリセレは、KWT-6等システムと同等の受信システム用に開発されたものと思われるが、詳細は不明。
F−508/Uは、海軍仕様通信システムのAN/TSC-15用で、このF635R-1に、サーボモーターを組み込みリモートコントロールが可能となったものだが、受信システムとは連動しておらず専用のコントローラーを使用する。構造上のアッセンブリーは共通のものを使用している。
このプリセレクターは、写真1及び2を見ると、大きなターレット式のコイルユニットが2個(入出力用)で構成され、1Mhz分割で29バンドを巧妙なカウンターギアダイアルとギアアッセンブリで切り替えており、入出力のコイルユニットはタイミングベルトで連動させている。
また、1Mhz以下の周波数に関してはCollins得意のスラグチューン機構にカウンターギアダイアルを連動したギアアセンブリで1Khzステップにてチューンを取っている。
この時代は富めるアメリカを反映して、使用部品、構造は見る人を魅入らせる物がある。
このプリセレは、タイミングベルトの破損、真空管のエミ減、抵抗コンデンサーの劣化が激しい状態での入荷と、資料不足で悩まされたが現在は写真3及び4のような2信号特性とバンド巾特性を出している。

635R-1の2Tone

635V-1の2Tone

635U-2・888B-1・ HF-8060

なお、左写真の635V-1は、本来のコントロールが2OUT5になっているが自作のインターフェイスを追加し、新しいタイプの受信機と連動で動くようにしたものです。

635R-1とF-508/U

COLLINS軍用プリセレクターの変遷と実態

いまだに根強いファンを持つCollins製品、ジャンル的にはいわゆるSラインと称するハム用製品と、Collinsの名を知らしめた軍用機器とに分けられるが、その中から軍用プリセレクターの60年代から90年代の製品で、たまたま入手しメンテナンスがすんだ物に関し、自分なりにまとめてみた。軍用プリセレクターは、もともと艦船等が戦闘中に各々が10KWクラスの送信機を使っての通信に支障が無い様に開発された物で、今回紹介する5種類の機器のスペックは、ほぼ次のようになっている。
可能周波数 2Mhzから30Mhzで、目的周波数におけるパスバンドが+−10%(−50db) GAINはフィルターの損失補償がなされ 0db出力となっている(あるいは+6db出力)。したがって我々ハムが目的とするものとは若干趣が異なるが、7Mhzなどの大電力の放送がひしめく所では、Mixer段への負担は軽減される。
手元にあるプリセレクターを年代別に整理すると表1のようになる。こうして見ると、60年代から70年代にかけては、双3極管を使ったカスコード接続のゲイン補償のAMPとカーソードフロアのインピーダンス変換で構成され、入出力に2ポールのスタガー同調が挿入されている。70年代後期以降の機種に関しては、フィルターユニットは3ポールの同一ユニットを、使用機種にあわせて組み込まれており、機種によりGAIN補償AMPが有る物はバイポーラトランジスターによるカスケードAMPで出力が0dbまたは6dbとなっている。80年代以降になってくると、通信方式の変化に伴いこうしたプリセレクターの同調時間が問題になってきて、従来のサ
ーボモーターとギア機構を使ったチュウニングでは時間がかかるため(約3 Sec) 高圧バリキャップ等を使った電子同調に変わってくる。
なお、ここに紹介する2信号特性のスペアナの写真は、スペアナがHP3585A信号源がHP8640Bで、コンバイナーの出力は写真のとおりです。
年代 型式 同調機構 同調方法 コントロール 使用デバイス システム 備考
60年代初期 635R−1 ターレットタイミングベルト切り替え 手動 6111カスコード KWT−6
F−508/U サーボターレットバンド切り替え 自動 2OUT5コード 6111カスコード AN/TSC−15 635R−1の自動化
60年代後期 635V−1 サーボモーターバンド切り替え 自動 2OUT5コード 5687カスコード URG−1
AM4823/U サーボモーターバンド切り替え 自動 2OUT5コード 635V-1を半導体化した物
70年代 635U−2 3ポール同調サーボバンド切り替え 自動 シリアル アンプ無し 718U
888B−1 同上 自動 シリアル アンプ無し URG−2 トランスレーター組み込み
HF−8060 同上 自動 BCDパラレル U−352カスコード HF−80
80年代 HF−8064 ヘリカルコイルバリキャップ同調 自動 BCDパラレル HF−80 ホッピング対応高速型
この718Uシリーズも用途により各種作られております。ちなみに718U-4Aでは、レシバーエキサィターの671U-4A プリセレクター635U-2 400WリニアAMPである 548T-1A これは4CX600JXシングルだが、本体の厚さが球の直径よりわずかに広いだけのスペースしかない。DC28V入力のリニア用電源636X-2 それにリモートコントロールの514A-7で構成されている。

   RF2Toneの波形

Collins Preselector
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