Collinsの1960年代の名機URG-1は、Reciverの651F-1とExiciterの310V-1、それに3種のリニアアンプ群、1KW出力の548-L4、3KW出力の208U-3,10KW出力の208U-10から構成されている。今回、リペアを行ったのはこのURG-1シリーズのExiterの310V-1です。
この310V-1は、618Z-4のRF Translatorと789T-1のIF Translatorそれに、Controlがマウントされたトレーの3個のユニットにて構成されている。

789T-1のIF Translatorは100KHZkのブローバー製のクリスタルフィルターにてSSBを発生している。 このブローバー製のフィルターのみを使用してSSBを発生しているOMは沢山おられる。この後、100HzステップのOSCとMIXし、500KHzの出力となっており、このTranslatorはすべてトランジスターにて構成されておる。

この500KHzの出力が618-Z4のRF Translatorに入力される。このユニットはほとんど真空管で構成されファイナルが5763のパラレル接続で、約2Wの出力を得ているが、前記のリニアアンプとのコンビネーションで0.2Wの出力に制御される。 ちなみにドライバー段は6DC6のパラレル接続。この時代の機械の特徴として、Mixer段以降がCollins得意のスラグチューン機構を使ったオートチューン機構となっているので、昨今のワイドバンドアンプに比べ格段にスプリアス特性は良い。また、ローカルOSCはシンセサィザー方式を採用しているが、現在使われている方式と違って、アナログシンセサィザーと私は呼んでいる。
618Z-4には、PTOと真空管の自励発信が2つで計3つのOSCがあり、現在のVCOの役目をし、各々Stabilizerと称する回路にてロックをかけている。今回修理したのもこのStabilizer回路のロックはずれが原因であった。

このStabilizerの回路を簡単に説明すると、基準発信を歪ませて高調波を多く発生させ、自励発信回路とMIXして必要周波数をクリスタルフィルターにて取り出すという動作をさせている。こうしたことからロックの範囲が非常に狭く、この機械のように1960年代に製造されたものは、部品の経年変化が激しく今回も部品交換が主な仕事になった。特にディプドマイカの容量変化が多く、ロック範囲から外れる現象が多かった。なんとなくロックが甘いと感じられる方はC78.81.84.87を交換してみてください。
ところが、この部品交換が写真でも分かるように狭いところに縦横に部品がついているため、指は入らず半田こては入らずで、 相当苦労する。思わず、誰だアメリカ人は不器用で日本人は器用だといったのは・・・・とボヤキがはいる有様だ。
しかし、Collinsの軍用機をいじっているといつも感心するのだが、この限られたスペースに巧みに配置された素晴らしいパーツ類、このあたりにCollinsに取り付かれた人が多いのもうなづける。(個人的にSラインとかのアマチュア用には興味がない)
本文へジャンプ


以前修理完了した310V-1が再び調子が悪くなり始めた、何せ50年位経った機械なので仕方がないかと思いつつ再びオーバーホールに取り掛かった。
調子が悪くなったのは、17.5MhzのOSCとHF OSCのロックはずれであった。このアナログPLLには過去何度も泣かされてきた。今回は思い切ってVCO回路のC76-C87までのディップドマイカを全て取り外し、容量計とにらめっこしながらチェックしていき容量のおかしいものを新品に取り替えた。
前回のときも書いたが、バリキャップVC1とVC2と直列に入っているC81とC87がマニュアルにあるとおり18PF-36PFの間でセレクトし、ダストコアで発信周波数を可変しほぼ中心で希望の周波数になるよう細かく調整した。これは現代のVCOにも言えることであるが古くなると尚更だ。結果的には17.5MHzのC81は18PF、HF OSCのC87は32PFで落ち着いた。
大幅な改造を行ったのはMHz StabilizerのA2 unitだ。ここは、618Tシリーズも同じ構成だがPLLの位相比較回路が基準発信の高調波とMIXし、1MHzの信号を作りUJTを使った弛緩発信回路でスィープ信号を作り、17.5MHzとHFOSCのVCOのコントロール電圧を作り出しているが、今回は17.5MHzの部分のみTC9122とTC5081を使ったPLLに同サイズの基板を作成し乗せ変えた。と簡単に記述したが、実際には2つのPLL回路のコントロール信号と発信出力が、互いに兆重されている為、レベルとか高調波とかでかなり手こずった。
しかし、苦労した甲斐があって改造後は、きわめて安定にロックしている。

改造したMHz StabilizerのA2  上段が17.5MHzのPLL





さて、それまで好調に動いていたのでPLL回路がOKになったから、もうこれで電波が出ると思ったがソウは行かなかった。
出力が出ないので調べてみると、500KhzのIF信号と3.5MHzのPTOとMIXするV2の出力が出ていないではないか。おそらくPLLをいじっている間にこのあたりの部品が劣化したのであろう。
何せ50歳の老体だから・・・・・                    
                                          つづく

1960年代のCollinsの名機といわれるURG-1 SystemのHF Exciter310V-1は0.2W出力の100Hz stepで2MHz-30MHzカバーし出力はLSB LLSB.USB UUSBの4CHである。
この機械もよる年波に勝てず、2−3年前から故障していたが、最近オーバーホールを始めどうにか動作し始めた。写真の左側が789T-1 IF Translatorで100KHz SSBを発生し500kHzの出力にアップコンバートしている。中央が618Z-4 RF TranslatorでオールバンドMIXとファイナルアンプまで、それにシステムの電源部が内蔵されている。

310V−1のオーバーホール追補記  (2007.10.15追加)

618Z-4 RF TUNER

618Z-4 RF TUNER REAR 中央がオールバンドのターレット式コイル群

618Z-4 RF TUNER AUTO TUNE GEAR ASSEMBLY
Collins 得意の2つのDCモーターによる100HzステップのAUTO TUNE機構

618Z-4 UP
中央がすべての電源部、左右のボックスがStabilizerとFrequency Divider

618Z-4
PTOと左側の真空管6AH6 2本がVCO相当の自励発信機で、ロックの状態を見ている。
左側に見えている2つのコネクターは、メンテナンス用のケーブル

Collins 310V-1 Exciter
HOME Receiver Transmitter Preselector My Blogs Link