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ガリア帝国とパルミラの独立割拠


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概略

皇帝ヴァレリアヌスがペルシアの捕虜となる、というローマ帝国史上、前代未聞の事件が起きる。 北方蛮族の侵入が活発化し、弱体化したローマ帝国の中で、パルミラとガリア帝国という2つの勢力が独立割拠することとなる。3世紀、ローマ帝国は急速に衰退しはじめる。しかし、アウレリアヌス帝はこれらの問題を一挙に解決した。


ガリア帝国とパルミラの割拠
259年 ペルシア王シャープール、ローマ帝国を侵略、アンティオキアを占領する。
ヴァレリアヌス帝、ペルシアと戦うためローマを出発
ガリエヌス、パンノニアにおける僭帝インゲヌウスの反乱(258〜)を鎮圧
ディオニシウス1世、ローマ司教となる
260年 ヴァレリアヌス帝、シャープール1世に敗れ、ペルシア軍に捕らえられる。
ヴァレリアヌス帝の息子で共同皇帝のガリエヌス、父の後を継ぐ。(〜268)
遠ゲルマニア属州総督ポストゥムス、ガリア帝国創設を宣言し、皇帝に即位する。
マクリアヌスとクィエトゥス、東方で軍隊に擁立される(帝位僭称者続出。30人僭主時代)
ガリエヌスのキリスト教寛容令により迫害終わる
ガリエヌス帝、パルミラの貴族オデナトゥスを東方担当司令官に任命する
261年 ガリエヌス、元老院と軍隊を分離する法律を制定(元老院の弱体化が進むことになる)
マクリアヌス、トラキアで騎兵隊長アウレオルスに敗死
クィエトゥス、エメサでパルミラ王オダエナトゥスに処刑される
262年 パルミラ王オダエナトゥス(〜266)、パルミラ・ローマ軍を率いてペルシア軍を殲滅
ローマ領メソポタミアを奪還
ローマにガリエヌスの凱旋門完成
264年 ガリエヌス、ガリアの僭帝ポストゥムと戦う
265年 パルミラ王オダエナトゥスに戦功により、インペラトールの称号を与える
267年 オデナトゥス、甥に殺され、妻ゼノビアが東方の支配権を握り、パルミラ独立割拠
ゴート族とヘルリ族、小アジアへ第3回遠征
ゴート族・ヘルリ族、トラキア・ギリシアに大進撃;アテネ・コリントなどのギリシア諸都市を略奪
ガリエヌス帝、ゴート族・ヘルリ族を大破したが、略奪続く
ミラノで騎兵隊長アウレオルス、反乱を起こし皇帝を僭称
アレマンニ族、ラエティアを占領
268年 ガリエヌス帝、僭帝アウレオルスを攻囲中、騎兵隊長たちのクーデターにより殺される。クーデターの首謀者クラウディウス、皇帝に即位
クラウディウス帝、北イタリアを侵略していたゴート族を撃破し、「ゴティクス」と呼ばれる。
サモサタ出身のアンティオキア司教パウルス、アンティオキア公会議で異端とされ、司教座を追われる
クラウディウス帝、ペナクス湖でアレマンニ族を破る
アウレオルス、クラウディウスに降り処刑される
269年 クラウディウス・ゴティクス、バルカン半島を侵略したゴート族をふたたび撃破。
270年 クラウディウス・ゴティクス、属州パンノニアで疫病のため死去
元老院、クラウディウスの弟クインティルスを皇帝に指名。
クラウディウス帝の遺言でもあり、将兵たちが騎兵隊司令官アウレリアヌスを皇帝に推挙。クインティルスは自殺。
ヴァンダル族、イタリア中部に侵入。アウレリアヌス、これを撃退。
アレマンニ族・ユトゥンギ族、イタリアまで侵寇、略奪;アウレリアヌスをプラケンティアで破る
新プラトン派の哲学者プロティノス没(ca.〜250)主著『エンネアデス』


 
資料  塩野七生『ローマ人の物語XII 迷走する帝国』
 石橋秀雄他 『世界史大年表』