Title9-3.GIF (2758 バイト) Europe106年   

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五賢帝時代はじまる~ネルヴァ、トラヤヌス

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概略

96年皇帝ドミティアヌスは皇妃ドミティアに暗殺された。元老院議員のネルヴァが即位、在位は短かったが、貧農のための土地分配法・穀物分配制度・救貧制度・水道整備など実施し善政を敷き、五賢帝時代へと続く。ダキア王デケバルスは、89年いったんローマ帝国と講和を締結するが、105年再度モエシアに侵入。これに対し、初の属州出身皇帝となったトラヤヌスが自ら戦った(第二ダキア戦争)。翌106年ローマがデケパルスを破り、ダキアを征服した。106年には、エジプトの東隣のナバテア王国を併合し、属州アラビアとした。


五賢帝時代はじまる~ネルヴァ、トラヤヌス
85年 ドミティアヌス、終身ケンソルに就任
ダキアのデケバルス王(~106)、モエシア軍団を破りダキアを統一。ダキア人、ローマ領モエシアに侵入し戦う(~89)
86年  ドミティアヌス、「主にして神」と称し、専制君主化。
モエシアを東西属州に分割
88年 ドミティアヌス、タパエでダキアを破る
「世紀の祭典」挙行される
89年 ドミティアヌス、ダキア王デケパルスと講和し属王と認める
ドミティアヌス、ローマに凱旋
ゲルマニア総督サトゥルニウス、1月モグンティアクムで皇帝を宣したが敗死
90年 属州上下ゲルマニア、設立される
属州ユダヤのヤブネにおいて、ユダヤ教正典結集会議開催
91年 トラヤヌス、コンスルに就任
 92年 ドミティアヌス、属州のブドウ栽培を制限
ca.パラティヌスの丘にドミティアヌスの宮殿完成
93年 アグリコラ没
94年 キリスト教徒、ローマで迫害される(~95)
エピクテトスらの哲学者、イタリアから追放される
95年 元コンスルのクレメンスとグラブリオ、処刑される(国家反逆罪、あるいはキリスト教信仰による)
96年 ドミティアヌス、皇妃ドミティアに暗殺される
元老院議員ネルヴァ、皇帝に即位(~98);養子皇帝制始まる;五賢帝時代始まる(~180)(*1)
97年 ネルヴァ、貧農のための土地分配法・穀物分配制度・救貧制度・水道整備など実施
親衛隊の謀反起こる
フロンティヌス(ca.30~104)水道長官となり、『ローマ市の水道書』を著す
98年 ネルヴァ没(96~)。養子のスペイン生まれの上ゲルマニア総督トラヤヌス即位(~117);最初の属州出身皇帝
99年 ca.歴史家タキトゥス(ca.55~ca.120)、『ゲルマニア』を表す
100年 トラヤヌス、即位後初めてローマに到着
トラヤヌス、北アフリカに植民地タムガディを建設
ca.プルタルコス『列伝』を著す
ca.1C末;『マタイ福音書』『ルカ福音書』『ヨハネ福音書』成立
101年 トラヤヌス、アリメンタ(救貧)制度を拡充
第一ダキア戦争(~102);トラヤヌス、ダキアに遠征
102年 トラヤヌス、ダキア王デケバルスを降し、和約締結;ダキア王、ローマに服従
105年 第二ダキア戦争(~106);トラヤヌス、モエシアに侵入したダキアと戦う
106年 アラビア=ペトラエアのナバテア王国(*2)を併合し、属州アラビアとする
ローマ、ダキアの根拠地サルミゼゲトゥサを占領。デケバルス自殺、ダキア降伏。属州ダキア設立される。
パンノニア、東西2属州に分割される
ダマスコスのアポロドロス、ドナウ川ドロベタに石橋を架ける

*1 五賢帝時代;ギボンはもし「歴史上で人類がもっとも幸せでもっとも繫栄していた」時代を選ばなければならないとしたら、96年のドミティアヌスの死から、180年のマルクス・アウレリウスの死までの時代(五賢帝時代)を選ぶだろうと。マルクス・アウレリウスが死んだとき、「われわれの歴史は今、黄金の帝国から鉄とさびの王国への没落している」とあるローマ人(カッシウス・ディオ)が言った。 
*2 ナバテア王国;紀元前168年に建国され、キャラバン貿易の商隊路に沿う形で領土を広げていった。紀元前63年にハスモン朝イスラエルの内戦に介入するが、共和政ローマ介入によって最終的にローマ軍にペトラ目前まで攻め込まれ、ローマの属国となった。その後、アラビア半島西を通る交易ルートは紅海を通る海上ルートが主流になっていったためペトラの商業都市としての重要性が低下し、その衰退の勢いを止めることができないまま、106年にローマのアラビア・ペトラエア属州に組み込まれて消滅した。(Wikipedia)

資料 塩野七生 『ローマ人の物語XIV キリスト教の勝利』
石橋秀雄他 『世界史大年表』
サイモン・ジェンキンス 『ヨーロッパ全史』