漢方医学・鍼灸学 による独特な痛みを解消するペイン治療
不妊症と鍼灸治療
Q&A
A:前回、子宮内膜症の鍼灸治療についてお話ししましたが、今度、不妊症の鍼灸治療についてご紹介します。
Q:不妊って、どれくらいの時間を経って子どもができないと不妊と言われますか?
A:不妊とは一般的に、子どもを欲しいと思う男女が正常な性生活を行なって、避妊期間を除いた二年以上妊娠しないことをいい、不妊症となる可能性は約10%とされています。
Q:不妊の原因は何ですか?
A:不妊症の原因として無排卵症、卵管閉塞、卵子の輸送障害、子宮内膜の炎症、子宮筋腫、子宮頚管ポリープ、子宮後傾などがあげられます。また、ホルモン のバランスが悪くてよい卵子が育たない、子宮内膜症が原因で着床ができない、生理不順、或いは男性側の問題である精子の数が少ないことや、精子の運動率が 悪い(器質性不妊)などと様々、原因のはっきりしているものもあるし、メンタルな問題を含め、男女どちらにも身体的
な異常が無いのに妊娠ができないもの(機能性不妊)も少なくなりません。
Q:それについて、どんな治療を行われていますか?
A:西洋医学では、排卵誘発剤を用いたホルモン療法や卵管閉塞の通気・手術などの手段による閉塞開通療法、さらに、高度生殖医療の体外受精-胚移植など様 々ありますが、それらの治療を受けても、妊娠ができなくて困っている方がいます。今注目されているのは、自然妊娠を促すや高度不妊医療の補完療法としての 鍼灸治療です。しかも、高度不妊医療を行う専門病院の中でも鍼灸治療を取り入れる病院ができてくるようになります。鍼灸により妊娠率が大幅に向上するとい う記事や研究結果は中国がもちろん、日本、海外の多くの研究チームによって報告されています。とくに、高度生殖医療における胚移植前後に鍼灸を受けるだけ で、着床率が向上するデータが多く見られています。
Q:なぜ鍼灸治療は効果がありますか?
A:不妊症の鍼灸治療の歴史は長いです。中国医学においては、原因を臓器(子宮、卵巣、卵管など)のみにあると考えません。子宮や卵巣を取り巻く身体全体 の状態を併せて治療してゆきます。すなわち、鍼灸治療と生活習慣の見直しを併用することで、自然妊娠しやすいからだをつくることです。つまり、お灸で不妊 症の経穴に温熱作用を与えて、鍼で体調を調整することによって、卵巣、子宮など骨盤内器官の機能が改善され、妊娠しやすい体質を作ることができるわけで す。
Q:具体的に妊娠しやすい体質って、どのようにできますか?
A: 中国医学では、不妊を4タイプの体質にまとめて、つまり、冷え症など見られる生殖機能の弱っている腎虚タイプ、ストレスにより肝気(西洋医学で言う肝臓も 含め自律神経、ホルモン系の調整機能、血の貯蔵、精神機能などを有し、これらの機能を総称して肝気といい、全身へ気を良く巡らせる働きをします)の流れが 滞る肝うつタイプ、飲食の不摂生で肥満・水たまり体質の痰湿タイプ、及び種々の原因による血行障害の瘀血タイプと分類し、それぞれの体質に応じて経穴に刺 鍼、或いはお灸を行います。不妊と直接関係が無くても、抱えておられる様々な不調を軽減することにより高次中枢の視床下部へのストレスが減ったり、ホルモ ンバランスを改善したりすることによって、体調を整え、自然排卵を促します。それに、不妊治療の経穴を加え、子宮の血流を改善させ、着床しやすい子宮内膜 をつくり、受精卵の着床を助け、自然妊娠を促します。この効果は、高度生殖医療にも用い、補完療法として大きく働きます。なお、排卵誘発剤などの使いすぎ で低下した卵巣機能も回復させることが臨床データで明白的になりました。
Q:まさに体が本来持っている自然治癒力を高めるいい方法ですね。男性にも有効ですか?
A:鍼灸による男性不妊治療は、中国ではかなり長い歴史が持っています、たくさん臨床報告やデータがあります。日本でも実際治療により、精子の数や運動率の向上が得られた報告が見られつつあります。
すでに、世界保健機関(WHO)や米国国立衛生研究所(NIH)や国立相補代替医療センター(NCCAM)は鍼灸の不妊治療の有効性に関する声明が発出されているし、世界一、二の研究機関が「鍼灸は不妊に対して一定の効果を有する」事も認めています。
Q:エビデンスもありますね。先生も不妊治療の経験がありますか?
A:もちろんです。臨床効果が明確ですので、ぜひ、「自然妊娠を望んでいる方」、「原因不明の不妊症といわれた方」、「何回も人工授精・体外受精を受けて いるのに妊娠できない方」、また、生理不順・生理痛・子宮内膜症・無月経など婦人科疾患を持っている方、或は、体の色々不調のある方が、気軽に当院にたず ねていらっしゃってください。
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