漢方医学・鍼灸学 による独特な痛みを解消するペイン治療
春
季と養生
最近、鍼療院に来られている方々には、よく「今の季節で体がどのように変わりますか」、「何を食べれば体調が整えられますか」などが聞かれました。
春節が過ぎて3月4月になると、大地に春が訪れて、万物は蘇る季節となり、百花も美を競い色とりどり美しく咲き乱れ始まりますが、体調が崩れやすい、新 病・持病が発生・再発しやすい季節でもよく知られています。季節の三寒四温の影響や、入学・就職・人事異動などのプレッシャーやストレスなどにより、免疫 力の低下や、精神的不安定などに及ぼして、風邪はもちろん、花粉症やアトピー皮膚炎などアレルギー疾患や顔面神経麻痺、三叉神経痛、後頭神経痛など体の表 の神経が襲われた疾病も多発、うつ病や子供のチック病、注意欠陥多動症など精神疾患もひどくなったりしています。持病も、特に高血圧や骨・関節の疾患や脳 血管の疾患などもひどくなったり再発したりすることが多くなります。
中医学の考えで言えば、春は木に属し、昇発(上昇・発生)の特徴を持ち、五臓の肝に関連する季節で、体の内部環境もそれのように変化し、のぼせやうつなど 肝に関連する症状が出やすくなります。中医学の肝は、西洋医学の肝臓を含め、人体の大切な気(機能)・血(栄養)にも重要な役割を果たしているので、精神 状態や消化機能にはもちろん、それに関連する神経や血圧の異常、血管障害などにも大きく影響しています。
肝の保養には、酸味の多いものがよく知られていて、果物やお酢で調理した春の料理などが挙げられますが、大豆とその製品、白いキクラゲもチョイスされま す。最も有名なのは、クコの実(枸杞)という漢方薬で、赤いドライフルーツのようなもので、毎日のお茶やスープの中に入れて熱いお湯で戻して食べるか、お 湯で戻してサラダにいれて食に色鮮やかオーナメントして食べることもできます、一日20、30粒くらいで食べればいいです。
また、肝に関連する臓器は腎と脾があります。中医学の腎も腎臓以外に体の精気・元気(体の原動力)の生成、骨の成長・健康などに関連。黒いものが腎を養 い、黒豆、黒胡麻、シナモン粉などがあげられます。特にシナモンパウダー入れのコーヒーが美味しいです。そして、脾は栄養分・水分の消化・吸収・代謝など に関連。今の季節で長芋や蓮根などがよく使われます。肝と腎は「精血同源・肝腎同源」の関係で、それに「見肝之病、当先実脾」という治療の名言もありま す。つまり肝の病気が見れば、先に脾を実すべし(強くする)という意味。なので、春には腎・脾の養生も同時に進めればなお一層効果的です。
それに、体力や気力を高めて体全体を元気にする万能のツボとしては、湧泉と足三里があり、特に腎と脾胃を強くする部位で知られています。湧泉は、足底土踏 まずのやや上の中央、足の指を曲げて人字の交点でへこんだ所にあります。足三里は両下腿の脛骨(真中の太い骨)の外側を沿って下から上に手指を移動して突 き当りのところにあります。お風呂のときやテレビを鑑賞しているときには指で押さえマッサージして、相乗効果が得られます。
こうしますと、春には肝・腎・脾三臓を強くして、内部から体調を整え、健やかで過ごすことができるのではないでしょうか。
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