スーパーバイザー挨拶

 令和2年風薫る5月、美しい新緑と薔薇の花々と水色の空が調和する一年で最も過ごしやすい季節になりました。皆様、2020年の新しい年をどのように迎えられましたか?
  例年通り、千葉のT 研を開催するにあたって書き始めるはず…でした。ところが、千葉のTEACCH研究会が発足してちょうど19年目のこの年に、私たちは今までに経験したことのないような苦しい日々を迎えています。残念なことに、皆さまには、今年の開催を中止し、今年度1年をお休みにすることを報告させていただきたいと思います。
 申し遅れましたが、私は、職場は横浜市なのですが、千葉県に住んでいることもあり、T研立ち上げ前の準備の年から、関わらせていただいています。
 現在、私たちは、新型コロナウイルス(COVID-19)の正体はよくわからず、ワクチンや新薬も開発途中にあり、先行きもよく見えないままの状態にあります。専門家によってはワクチンの可能性は1〜2 年かかるとの見方もあり、決して楽観視は出来ないようです。
 それを考えると長期戦になっていく可能性があり、このウイルスとどのように共生していくのか、私たちの生活様式を変えることが求められています。社会的な距離、テレワーク、時差出勤、 リモート飲み会など、すでに新しい生活様式が入ってきていますね。
 ストレスや不安を感じることが多いこの時期に、ASD の人たちに助けとなるようにT研のホームぺージに、「不確実な時に自閉症の人たちを支援するということ」の資料をアップさせていただきました。これは、ノースカロライナ大学教育学部の自閉症チームのカラ・ヒューム先生がチームのメンバーと書いているもので、川崎医療福祉大学の諏訪先生のチームが翻訳をされています。(カ ラ・ヒューム先生は、この 2 月に京都で行われた全国 TEACCH 研究会で講演をされました。)7つのサポートの戦略には、理解についてのサポート、表現の機会の提供、対処と落ち着くためのスキルの優先などがあるのですが、いずれも、支援は、普段から行っていることが基本になるでしょう。 スケジュールや視覚支援、ルーティンをうまく使ったやり方、子どもから発信できるようにその伝え方を教えていく、余暇スキルの開発など、今まで私たちの研究会で学んできたことが土台になり ます。
 特に家庭生活では、どのように過ごすのかスケジュールの設定、一人で行える余暇などのレパートリー、リラックスの仕方も必要となるでしょう。また、家の中での役割、お手伝いを持っている子どもは、家の中に明確にやることがあるでしょう。現在は、児童発達支援や放デイを利用している子どもも多く、家族で過ごす時間が少なくなっており心配されます。家の中での役割の大切さについては、故佐々木先生もよくおっしゃっていましたが、将来の暮らしや適応状態とも関係してき ます。
 日本は自然災害大国、私たちは、ウイルスだけではなく、地震や大雨、台風などにも備えなくてはなりません。特にこれからの季節が重要です。
 私たちの健康や暮らしを守って下さっている医療従事者、介護・保育・支援者、宅配、郵便、運 輸、ゴミ収集、食料品などに関わるエッセンシャルワーカーに心から感謝ですね。
 皆さま、健康に留意され、新しい情報を得て、日々の暮らしを大切に!

                    千葉県TEACCHプログラム研究会  スーパーバイザー 安倍 陽子