米軍の戦争支援の自衛隊派兵に抗議
佐世保から補給艦おうみ出航

 1月11日に衆議院で自公政権が、民意に背く虚構の多数による再議決を強行し、米軍の戦争支援のための「新テロ特措法」を成立させてわずか2週間、自衛隊のインド洋戦時派遣が再開されました。
 1月25日11時20分、海自佐世保基地から補給艦「おうみ」(乗員151名)が出航し、インド洋へ向かいました。前日に横須賀基地を出航した護衛艦「むらさめ」とともに現地に向かい、2月中旬にもアフガン攻撃などの支援活動を再開することになります。

 この日、干尽町の前畑岸壁では佐世保原水協・平和委員会の呼びかけによる抗議集会が開かれ、参加者は「補給艦おうみはインド洋に出て行くな」「アメリカの報復戦争支援反対」「九条を守れ」などとシュプレヒコールを繰り返しました。

 集会では主催者を代表して山下千秋・佐世保原水協理事長が報告を行ないました。

  • テロと闘う国際的責任を果たすためにというが、この6年間のテロ報復戦争が示す実態は、いっそうテロを拡散し、軍事力では解決できないことを明白にした。アフガンのカルザイ政権ですらタリバンを含む武装勢力との和解と交渉の道を望んでいる。同盟国のイギリス、オーストラリアの首脳らも、「力でねじ伏せるやり方は限界」だとして軍事一辺倒だった方針の転換を訴えるまでになっている。こうした国際的流れに逆行して、アメリカ言いなりに戦争支援の給油活動を再開することは、アメリカとともに日本が国際的に孤立を深めるだけだ。9条を持つ日本こそ、アメリカに「戦争止めよ」というべきだ。
  • 佐世保は、01年11月海外派兵の突破口の役割を担った。今回の再開の突破口も佐世保となった。また、この6年間63隻の海自艦船がインド洋に派遣されたがその36%は佐世保からで、文字通り海外派兵の中心的役割を押し付けられてきたという事実を直視しよう。
  • 20日、佐世保を訪れ「おうみ」乗組員に訓示した石波防衛大臣は「国益、国民生活守る大事な活動」などと述べた。実際はアフガン・イラクの人々の殺傷と悲劇を拡大するためにアメリカに給油するというもの。国民生活守るというなら、原油高騰で苦しんでいる国民にこそ給油すべき。アメリカ言いなりの政治やめよの世論はこの佐世保から広げていこう。

 参加者からも「自衛隊の派遣には正義も道理もない」「米軍より家庭に給油を」など次々と怒りの発言がありました。


出航する補給艦おうみ

 「おうみ」出航に先立つ1月20日、視察に訪れた石破防衛大臣は「わが国は石油資源の9割を中東地域に頼っている。仮にそのシーレーンがダメージを受ければ、わが国の国民生活はたちどころに厳しい状況に陥る」と乗組員に訓示し、「新テロ特措法」から逸脱した派遣の「意義」をも強調しています。
 また記者会見では、補給燃料について「(使途を)事前にきちんと文書で確認し、転用の懸念が生じないように万全を尽くす」と述べましたが、その日のマスコミでは「日本政府が要求した使途の検証の明文化を米政府が拒み、給油に関する取り決め文書である日米の交換公文に盛り込まれないことが19日、分かった。米側は『作戦行動に影響を及ぼし、現場の負担になる。決して受け入れられない』とはねつけた。」という報道がなされました。イラク戦争に燃料が転用されない保証は全くないことが明確になっています。

 3月末までの経費は予備費でまかなわれ、1月17日の閣議で約12億円が措置されました。また4月1日から実施計画の期限である6月30日までの経費、約22億円が08年度予算案としてすでに計上されています。
 「テロ根絶のため」「国際貢献」は米軍の戦争支援と自衛隊の海外派兵のための口実に過ぎません。せっかく動き始めたアフガンの和平の流れを妨害するために国民の税金が使われるのはゴメンです。

【関連資料】
戦時派遣の加担実績(07年11月)

(2008年1月25日)