米海軍の軍事拠点強化を許すな
かねてより危惧されていた「原子力空母の佐世保準母港化」がいよいよ現実味を帯びてきました。マスコミ報道によれば、米原子力空母ニミッツが2月11日から5日間、佐世保に寄港するといいます。米海軍ホームページでは横須賀を母港とする空母キティーホークが定期修理にはいるため、その代替として西太平洋に配備されたと掲載されています。 04年以降、佐世保への空母の寄港はほぼ1年に1回のペースになっています。寄港のたびに物資の調達、船舶や車両の手配などが繰り返され、日米が「ノウハウ」を蓄積してきました。当面の目的は佐世保を「西太平洋で乗員が1,2週間程度休息できる基地」=準母港に仕立て上げることではないでしょうか?
一方、ニミッツの随伴艦であるミサイル巡洋艦プリンストンは博多港(2月11日〜15日)、キティホークの随伴艦のミサイル駆逐艦マッキャンベルが鹿児島港(13日〜17日)、同ミサイル巡洋艦シャイローが長崎港(16日〜20日)に寄港すると報道されました。シャイローは「ミサイル防衛」用のSM3搭載艦です。
長崎港へのイージス艦の寄港は3年連続、しかも2月〜3月にかけての時期で、明らかに目的を持った計画的な寄港です。06年のステザムはその後SM3搭載艦に改造、07年のマスティンは弾道ミサイル監視・追尾艦に改造、そして今回のシャイローもSM3搭載艦で、いずれも横須賀基地を母港としています。 三菱長崎造船所では現在、2隻目となる「ミサイル防衛」用改造工事が「イージス艦ちょうかい」に施されています。昨年8月には、米国が日本に共有させる「秘密軍事情報」の保護措置を米国基準と同等にする「日米軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」が締結されました。これによって日米の軍事一体化が加速されると同時に、日本の軍需産業にとっては秘密保護基準が日米同一基準となることで、米イージス艦の日本国内での修理等で新たな利益拡大への道が開かれました。 横須賀配備の米イージス艦の長崎への定期寄港は、核トマホーク疑惑の「露払い」と、三菱長崎造船所での将来の修理・点検を見越したものかもしれません。 長崎県は22日に副知事が外務省を訪れて「被爆地の市民感情には複雑なものがある」と知事名の文書で入港回避を要請、23日には県防災危機管理監が在福岡米国領事館に同様の申し入れを行なっています。しかし問題は核兵器だけにとどまりません。佐世保も長崎も米海軍の西太平洋における軍事拠点として強化が狙われています。広く市民の中にこの危険な動きを知らせていきましょう。 (2008年1月26日) |
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