米軍佐世保基地 節水効果43%の怪

 佐世保市では2年半ぶりの渇水で昨年11月23日から節水効果18%を目標に減圧給水が実施されています。12月15日からは減圧給水を強化しましたが、節水効果が思うように上がっていないのが現状です。しかしその後のまとまった雨で貯水量は節水対策前の60%に回復し、当初予定されてた「時間給水」は延期されています。

 このような中、米海軍佐世保基地も節水に取り組み、なんと12月は対策前の10月に比べ43%の節水効果をあげたとティルマン・ペイン司令官が公表しました(1月10日)。朝長・佐世保市長はペイン司令官に「渇水対策についてのお礼」と「費用をかけて海水淡水化装置を搬送していただき申し訳ない」と述べています。

 米海軍佐世保基地の水道水使用量は06年度実績で89・6万立方メートルで、佐世保市全体の3・37%を占めています。しかし立入制限や技術上の問題で強制的な給水制限の対象外となっているため、佐世保市は節水計画書の提出を依頼し、「自主的な節水」を求めるに留めています。

 佐世保基地は計画書を提出して節水に務める一方で、軍事作戦用の「海水淡水化装置」10基を運び込みました。6基は沖縄から4基は岩国からで、8基を針尾住宅地区に(うち2基は予備)、2基をメインベースに設置しました。システムの設置、運転、保守管理のために沖縄の第3海兵遠征軍と岩国の第171海兵航空支援飛行隊の海兵隊員25人ほどが呼び寄せられました。このシステムは1時間あたり約5・7トンの淡水をつくり出す能力を持っているといいますが、結局一度も稼働することなく、2月からは別の使用計画があるために1月中に撤去されることになりました。

 このような状況で43%の節水効果をあげたというのですから驚きです。しかし具体的な数値は公表されていません。市水道局は把握しているはずですが「年間総量しか公表していない」として月別の使用量を示していません。佐世保基地も「基地には公表する権限がない」(長崎新聞)として43%の裏付けを明らかにしていません。

 また「43%の節水効果」は明らかに異常です。これが真実であれば、逆に日常的な無駄遣いを証明しているようなものです。根底には在日米軍基地の光熱水料を地位協定に違反して日本政府が肩代わりしている実態があります。05年度の佐世保基地の水道料金は2億500万円、これが米軍にとってはタダなのですから、日常的に節水など心がけるはずもありません。

 すでに国の「借金」は837兆円(07年9月末現在)にも達している中で、米軍への「思いやり」などやめるべきです。

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(2008年1月12日)