佐世保市で原子力防災訓練
米海軍には参加要請せず

 11月22日、佐世保市は米海軍の原潜の放射能漏れ事故を想定した「原子力艦原子力防災訓練」を行ないました。国や自衛隊、海上保安部、県、県警など23機関と、潜水の停泊する赤崎岸壁近くの住民ら計約300人が参加しました。

 訓練は今年で5回目で、前回までと同様に米海軍の原潜が赤崎岸壁に停泊中、市内の放射線監視装置が平常値を大幅に上回る数値を示したとの想定です。今回初めて訓練に盛り込まれた「図上シミュレーション」では、県警、消防、自衛隊などが住民の避難誘導、交通整理などの活動状況について本部に報告、本部は地図上で配置を確認し、活動の全体像をリアルタイムで把握するというものになりました。

 佐世保市は一昨年と昨年、米海軍に参加を要請しましたが、米側は「原子力艦からの放射能漏れはあり得ない」として参加を拒んできました。今回はその要請をも見送っています。原子力空母「ジョージ・ワシントン」配備が2年後に予定されているのを受けて横須賀市が同様の訓練への参加を米海軍に求め、外務省を交えて協議を進めているため、その動向を見守るということです。

 訓練終了後に光武市長は「米海軍が参加しなければ訓練の目的は果たせない。協議を見守り、今後の対応を考えたい」と話していますが、「訓練の目的を果た」すためには毅然とした態度を米海軍に対して示すべきでしょう。

 横須賀市の原子力防災訓練は放射能漏れの原因が米原子力艦ではないという、全くありえない想定で行われているため、米海軍がオブザーバーとして参加しています。原子力空母は安全だから受け入れろという米海軍の要求を鵜呑みにすれば逆に訓練への本格参加はありえないでしょう。しかし過去にも米原子力艦艇の事故は何件も起きています。最近でも9月下旬に横須賀に寄港した米原潜「ホノルル」付近で放射性物質が検出され、文部科学省の専門家委員会は「原潜ホノルル由来のものである可能性は否定できない」としています。04年7月、佐世保に寄港していた原潜「ラ・ホーヤ」のケーブル火災事故の原因も解明も行われていません。

昨年の訓練の様子