日本側経費で佐世保基地の機能強化へ 12月19日、「佐世保地区における在日米軍施設・区域の整理等に関する第2回施設調整部会」が開かれ、前畑弾薬庫の移転・返還問題について具体的な「基本構想」を決めました。 それは「前畑弾薬庫の全ての運用機能が完全に維持」されるよう、針尾島弾薬集積所に隣接する水域を埋め立てて確保する。その際、針尾島弾薬集積所の全ての運用機能は完全に維持されること。(新聞報道では、埋立は安久ノ浦と牛ノ浦の両方の湾あるいは安久ノ浦とする案が出ている。また両湾をへだてる岬を掘削してトンネル式弾薬倉庫を新設することも検討されているという。)不足する家族住宅は針尾住宅地区や隣接地で解消する(新たに400戸提供)というもので、事実上、針尾島弾薬集積所の近代化や米軍家族住宅の不足解消を条件に、前畑弾薬庫を返還するというものです。 国は佐世保市の意見を考慮した上で06年中に住民説明会を開き、地元の同意を取りつけ、日米合同委員会で正式決定を目論んでいます。 前畑弾薬庫周辺は新興住宅地域として開発が進み、一番近い民家との距離はわずか70mしかない危険な状況になっています。それゆえ佐世保市は71年以降、返還を求めてきました。周辺住民も弾薬庫「撤去返還」を要求しました。しかし佐世保市長は「市内移転反対」をひるがえして針尾への移転集約へ動き出します。今回の「基本構想」に対しても市長は「誠に喜びに堪えません」とのコメントを出しています。押し付けられる針尾の人たちの意向は全く無視されています。 しかも報道では、埋め立て地に新型の保管施設を建設することや大型弾薬補給艦が接岸可能な岸壁の造成が検討されているといいます。これは「前畑弾薬庫の全ての運用機能が完全に維持」どころではなく、格段に使い勝手のよい近代化弾薬庫の新設に他なりません。しかもその費用は日本側負担でなされ、報道でも数百億から一千億円という金額が出ています。 さらに弾薬庫とは無関係な住宅の建設をこの時ばかりと「パッケージ」として要求しています。そもそも米軍兵士と家族の滞在は米軍の運用上の都合で行なっているもの。必要ならば自らで確保すべきです。 前畑弾薬庫が返還されても、近代的な設備を整えての集約移転は永久に弾薬庫をおくことになります。その危険さは前畑弾薬庫と変わりはないのです。「撤去・返還」しか道はありません。 この「基本構想」の構図は沖縄の負担軽減を口実に米軍の基地機能を本土に分散・移転強化させようとする「在日米軍再編」と瓜二つです。むしろ佐世保ではすでに「先取り的に」進められてきたものです。民間岸壁との競合を避けるために米軍専用岸壁の建設、騒音解消のためにLCAC新駐機場の建設−−すでに「思いやり予算」を投入して工事が始まっています。 【関連記事】 (お知らせ) 佐世保地区における在日米軍施設・区域の整理等 平成17年12月19日 佐世保地区における在日米軍施設・区域の整理等に関する第2回会合が下記のとおり開催されましたのでお知らせします。 記 1 年月日:平成17年12月19日 以上 別紙 佐世保地区における在日米軍施設・区域の整理等
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