巨大軍需企業の実態に驚きの声
ながさき平和委員会12月例会

 12月2日、ながさき平和委員会の例会が開かれました。長崎港シリーズの第2回目、テーマは「軍需産業の職場から」で、錦戸淑宏さん(全造船機械三菱長船分会執行委員)を講師に招き学習しました。

 まず三菱長崎造船所と労働組合の歴史について説明がありました。今年創業148年目になる長船では、戦前戦後とも魚雷や軍艦をつくっていたこと。戦後は昭和27年の株主総会で早くも兵器産業の再開を決めて生産を始めたこと。その成長の過程で労働組合が分裂させられ、職場支配と思想攻撃が強められたと振り返りました。今はすさまじい人減らしが直接生産にかかわっている人々を中心にすすめられ、いわゆる管理職だけが増えているという矛盾(75年の1万6千人体制時に4・9%だった管理職・特別専門職比率が、30年たった05年には6千人体制に激減したうえ、同比率が21・3%)。このような間違った人減らしが生産現場の技術の低下を生み、自衛隊員からもその技術をいぶかる声も多く、また製品へのクレームが相次いでいることなど、長崎を代表する企業の実態に驚きました。

 「受注数も下がり、累積赤字解消のため、昨年4月から再建運動が始まりましたが、会社の方針は5年後に4千人台まで人減らしをすすめ、技術をもった社員をさらに減らし、下請けと派遣労働者の使用という無理なコストダウンでは技術の継承・再建にはつながらない」と錦戸さんは話しています。

 護衛艦の定期検査は現在5年に一度となっていて、そのときは船の中の機材をほとんど陸揚げして分解し、日頃見えないところを見る。再度組み立ててテストするのに、通常の護衛艦で6ヶ月、イージス艦だと9ヶ月かかるといいます。通常は年1隻程度ですが、04年度はなんと4隻の定期検査を行なっています。これは04年に竣工した豪華客船ダイヤモンドプリンセス、サファイアプリンセスの赤字を埋めるために急きょ行なったものだそうです。
 ヨーロッパでは豪華客船の建造期間は5年だが、受注を取るため3年の建造としました。1隻目の赤字は必至で、2隻目以降で黒字を生み出す予定でしたが、火災を起こし赤字に。

 三菱重工業全体としては軍事契約実績は第1位で、03年度は2位の川崎重工業の約2倍にあたる2,817億円を受注していること、そのなかでも長船の占める割合は重要であり、その動向を知ることはとても大切だと実感しました。

 また北朝鮮がミサイル「ノドン」を発射した98年9月1日、NHKは午前から午後のニュースで、イージス艦「こんごう」の映像を流しながらニュースを伝えていたが、そのとき「こんごう」は長船のドック内にいたという事実を示し、マスコミの世論誘導は様々に行われるので注意が必要と強調されました。

 同時多発テロ事件が起き、修理中の「くらま」が急きょ予定を3日早めて出港することになりました。インド洋への出港準備です。本来ならば立神岸壁に船体を移動させてCIWS(高性能マシンガン)の修理を行なう予定でしたが、船長不在のためにクレーンを移動させて八軒家岸壁で修理を行なうということもありました。

 軍需企業を外からではなく、内から見てきた人の話はとても貴重で知らないことがたくさんありました。