8月24日、三菱長崎造船所で新型イージス護衛艦が進水し、「あたご」と命名されました。今後、艤装工事が行われ、07年3月に海自舞鶴基地に配備されることが決まっています。建造費用は約1450億円。また「あたご」型2番艦の建造も進められていて08年3月に佐世保配備となります。
「あたご」型は従来の「こんごう」型を基本に「ミサイル防衛」対応型として能力向上をはかったものです。アメリカの中国敵視政策に加担し、アジアでの軍事緊張を高めるものです。主な変更点は次のとおり。
- イージスシステムを最新型のベースライン7に変更し、「ミサイル防衛」用のスタンダード・ミサイル3(SM-3)の運用を可能とした。
- データリンクは最初からリンク11とリンク16を搭載。
- SM-3の発射が可能となったVLS(垂直発射機)では従来、装填用クレーンに当てられていた各3セル区画が廃止され、前方64セル、後方32セルに増加。
- この8月から海自に納入が開始された新型哨戒ヘリコプターSH-60Kを2機収用可能な格納庫を設置した。
- 主砲、マスト・煙突の形状を改め、ステルス性を向上させた。
- 主砲は対地攻撃を重視したアメリカ海軍制式の62口径砲に変更。
これまで海自イージス艦は山の名前をつけていましたが、今回も京都市にある愛宕山にちなんでいるといいます。
今回の艦名決定にあたっては、海自の内部募集でほぼ決定した当初案が旧帝国海軍の主力艦名だったことから軍国主義復活との批判を恐れ、白紙撤回して再募集したと報道されました(共同通信8月19日16時54分配信)。それによると「海上幕僚監部は今春、各地の部隊や出先機関から新型イージス艦の名前を募集。集約して候補名を絞ったが、海幕上層部から「待った」がかかり、5月になり異例の再募集をした」といいます。当初案は「旧海軍を代表する名前」(造船所関係者)の『やまと』?か、「多くの作戦に参加し戦後まで生き残った『ながと』」(海自幹部)とみられています。もっとも「あたご」も旧海軍時代に2代にわたって使われていた名前で、他の艦船の多くも“昔の名前で出ています”。過去の侵略戦争を反省せず、旧海軍の歴史と伝統を引き継ぐ海自の本質を物語っています。
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