新型護衛艦=「ヘリ空母」
石川島播磨の子会社が落札


防衛庁平成15年度政策評価書より

 「はるな型ヘリ護衛艦」(DDH)の後継となる「13,500トン型ヘリ護衛艦」の1番艦の船体建造は石川島播磨重工業の子会社であるIHIマリンユナイテッドに決まりました。入札は他に三井造船、三菱重工業、ユニバーサル造船が加わりましたが、500億円という防衛庁の想定金額を大きく下回る472億円で、落札したと報道されています。石川島播磨は海上自衛隊が保有する4隻のヘリ護衛艦のうち3隻を建造した実績を持ちますが、01年度以降、IHIマリンユナイテッドは護衛艦の受注がなく、このままでは護衛艦製造技術の低下につながるので赤字覚悟での入札と見られています。
 過去10年間の実績では、護衛艦の建造は三菱重工業とIHIマリンユナイテッド(石川島播磨、住友重機浦賀造船を含む)のほぼ独占状態となっています。

IHIマリンユナイテッドは石川島播磨重工業株式会社の船舶海洋事業を母体として、住友重機械工業株式会社の艦艇事業を統合した会社で02年10月1日創立;住友重機浦賀造船は護衛艦「たかなみ」竣工後の03年4月に閉鎖)。ユニバーサル造船は日本鋼管と日立造船のそれぞれの船舶・海洋部門が統合し02年10月1日創立。

 この護衛艦は情報・指揮通信能力及びヘリコプター運用・整備能力等を向上させたヘリコプター搭載護衛艦で費用は約1,164億円。現有DDHが担っている護衛隊群の旗艦及び対潜中枢艦としての役割に加え、大規模災害派遣等の多様な事態に有効に対処できるとされています。進水は07年9月、就役は09年3月の予定。

 船型は空母のように艦橋が片側に寄せられ、前後の甲板がつながった全通甲板であり、海上自衛隊の護衛艦としては初めて砲を装備せず、ヘリコプター運用など対潜能力に特化した「ヘリ空母」となっています。ヘリは同時に4機までの発着艦が可能で、SH-60K対潜哨戒ヘリ3機(必要時にはそれに加えMCH-101掃海・輸送ヘリ1機を追加)装備しますが格納庫は1個護衛隊群の定数である8機程度を収納するスペースがあるといいます。

 射撃指揮装置はFCS-3改で、「試験艦あすか」に搭載されていたものの改良型。対空レーダーの機能を持つフェズド・アレイ・レーダーでいわばミニ・イージスシステムで艦橋周辺に4基装備することで全周を走査することができます。