イージス艦こんごう長崎入港
「ミサイル防衛」用改修工事か

 2月25日午後、海自佐世保基地配備のイージス護衛艦「こんごう」が長崎港に入港し、三菱長崎造船所向島岸壁に接岸しました。護衛艦「ありあけ」も接岸し、これで佐世保基地からインド洋へ戦時派遣され、帰国した護衛艦10隻(延べ)が長崎港へやって来たことになります。三菱長崎造船所の佐世保基地の補完ぶりがいっそう際立っています。

 とりわけ今回は単なる点検修理ではなく、イージス護衛艦の「弾道ミサイル防衛」用改修工事のためと見られます。

 政府は04年度から4年間での「弾道ミサイル防衛」システム導入を決定し、07年度からの運用開始を目論んでいます。そしてそのための自衛隊法の一部「改正」案を通常国会に提出しました。すでに04年度予算に1068億円、05年度予算案に1442億円が計上されています。この中には、イージス護衛艦の改修工事費約200億円がそれぞれ含まれており、04年度に「こんごう」、05年度に「ちょうかい」の改修が行われるといわれています。


防衛庁「防衛力整備と概算要求の概要」より

 海自保有の4隻のイージス護衛艦のうち3隻を三菱長崎造船所で建造し、残る1隻も佐世保に配備されている関係上、長崎造船所で点検修理を行なっているなど、長崎造船所はイージス艦を知り尽くしているといえます。またミサイル防衛に対応できる2隻の新型イージス艦の建造も手がけています。
 したがって予定されている4隻のイージス艦の改修工事は三菱長崎造船所で行われるとみるべきでしょう。

 現在のイージス艦用のスタンダード・ミサイルはSM2−ER(Extended Range)ですが、これを「弾道ミサイル防衛」用のSM3(現在開発中)も発射できるようにVLS(垂直発射システム)とイージス・システムを改修することになります。また現在建造中の新型イージス護衛艦には最初から、SM2ブロックIVからSM3に対応できる構造だといいます。

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