佐世保寄港中の米原潜が火災
一歩間違えば大惨事にも


火災を起こした米原潜ラ・ホーヤ(7月29日)

 読売新聞ネット版7月28日付けは、佐世保基地に7月26日から寄港中の米原潜「ラ・ホーヤ」が28日の深夜に火災を起こしたことを報道しました。原潜の寄港は今回で231回目になりますが火災は初めてのことです。

 報道によると、電力供給のために外部から艦内に引き込んでいたケーブルが燃え上がったため、乗組員がすぐに電源を切り、消し止めたといいます。ハッチの周囲を損傷したが、原子炉への影響はなかったということです。港内では原潜は原子炉を停止することになっているので艦内で必要な電力は基地内のアイアン・コールドとよばれる6万6千ボルトの高圧電力やスチームを供給する施設から供給されることになっています。このケーブルが燃えたようですが、緊急な原因究明が求められます。

 また基地対策室の話として、「28日午前3時ごろ、市民から市消防局に「停泊場から煙が上がっている」と通報があった。消防局や市が基地に問い合わせたところ、午前11時40分ごろ、基地参謀長が市役所を訪れて事故を報告し、光武顕市長は原因究明と再発防止を要請した」ことを紹介しています。

 幸いにも「ボヤ」で済んだようですが、一歩間違えば大惨事にもなりかねない危険性が原潜にはあること、そしてそれが起こりうることを事実として示してくれました。同時に米軍から佐世保市への報告が8時間あまり後になったことにみられるように、米軍は事態の重大性を認識していないことが明らかとなりました。佐世保市の実施する「原子力防災訓練」にも「事故は起こりえない」として参加しない米軍と、それに追随して同じく参加しない外務省の姿勢が鋭く問われます。あわせてテロ対策を口実に、原潜の入出港情報を事前に公表させない外務省の姿勢も改めて問題にならざるをえないでしょう。

 この火災事故後、佐世保市のホームページで公開されていた原潜事故マニュアルが削除されているといいます。米軍の圧力か、はたまた自己規制か?


赤崎岸壁に接岸した米原潜ラ・ホーヤ(7月26日)

【関連資料】
佐世保港へ寄港した原子力潜水艦
核攻撃能力の認証を与えられた原潜の寄港状況
・原子力災害連絡体制
(下図:原潜事故マニュアル=佐世保市地域防災計画『原子力艦災害対策編』より)