2隻目の新型イージス艦も
三菱長崎造船所が受注


 新型イージス艦のイメージ(防衛庁平成14年度概算要求書より)

 防衛庁は、ミサイル防衛に対応した2隻の新型イージス艦の建造を進めていますが、2隻とも三菱長崎造船所が受注していたことがわかりました。おそらくそのうち1隻は佐世保配備となり、全6隻のイージス艦のうち半数が佐世保を母港とすることになりそうです。また現有のイージス艦のミサイル防衛用への改修工事もおそらく三菱長崎造船所が一手に引き受けるものとみられます。

「ミサイル防衛」は現実には不可能という科学者集団の指摘もあり、最近アラスカに「配備」された最初の迎撃ミサイルはまだ稼働できる状態にはありません。この「ミサイル防衛」は軍需産業には莫大な利益を保障し、いまアジアで起きている「軍事的対立から平和的共存へ」の流れを逆行させ、いたずらに軍事的緊張をつくり出すものでしかありません。

 建造される艦名は進水まで未定なのでそれまでは、計画された年度(元号)と艦種記号で表現します。イージス艦はミサイル護衛艦(駆逐艦)に相当し、記号はDDG。
 14DDGは今年4月5日に起工、05年8月進水、07年3月竣工予定。
 15DDGは05年4月起工、06年8月進水、08年3月竣工予定。
 建造費は14DDGが1,453億円、15DDGが1,389億円で計2,842億円(予算ベース)。このうち米国より購入するイージス・システムが各750億円といわれます。

 現有の「こんごう」型イージス艦と比べた主な強化点は以下のとおり。

  1. 基準排水量が7,250トンから7,700トンに
  2. ヘリコプターの格納庫の新設(哨戒ヘリ2機搭載)
  3. ステルス性の向上 角張った形状の煙突、主砲のシールドのステルス化、ヘリ格納庫は平面を複雑に構成したものに変更
  4. ミサイル垂直発射システムの数90(前部29,後部61)から96(前部64,後部32)に
  5. 砲を対空重視の127mm砲から、対地重視のマーク45モード4に
  6. 対艦ミサイルをハープーンからSSM-1Bに
  7. CIWSをブロック1Bに(昼夜探知能力の向上と、低速またはホバリングした航空機および水上目標へ対処可能)
  8. イージス・システムは最新のものに。データリンクは最初からリンク11とリンク16を搭載。

 現有の4隻のイージス艦は横須賀に1隻、佐世保に2隻、舞鶴に1隻が配備されています。建造は佐世保に配備の「ちょうかい」を除いてすべて三菱長崎造船所です。その「ちょうかい」も長崎造船所で点検・修理が行われています。

 新型イージス艦は、老朽化して退役する2隻のミサイル護衛艦「たちかぜ」「あさかぜ」代替艦として計画されたものです。「あさかぜ」は現在、佐世保に配備されていることもあり、イージス艦6隻体制の中で、3隻が佐世保という事態が予想されます。それは新型イージス艦が、(事実上、北朝鮮の)弾道ミサイルに対応したイージス艦であることからもありうることです。

 一方、現有イージス艦については04年度予算で1隻分の改修と迎撃ミサイルの購入が認められ(340億円)、今後4隻すべてがミサイル防衛対応となります。改修工事についても、イージス艦を知り尽くしている三菱長崎造船所が一手に引き受けるとみていいでしょう。