米原潜の慣例厳守を求めよ
平和委員会などが佐世保市長へ申し入れ

 11月11日、前日に寄港した米原潜ポーツマスは、放射能測定体制のとるために慣例化されてきた「24時間前の自治体への事前通知」を無視して佐世保港を出港しました。出港情報の通知が外務省から佐世保市へあったのは出港の19時間半前で、「米側の運用上の理由で連絡が遅れた」といいます。佐世保市はこれに口頭で抗議しました。
 テロ事件以降、米軍は自治体に原潜の入出港情報の事前公表を控えさせています。その自治体に対しても、これまでの慣例を破るというのはあまりにも住民の安全を軽視するものです。
 11月12日、佐世保平和委員会などは佐世保市長に対して、米軍に出港時の「慣例」を厳守させ、さらには入港時と同じような「取り決め」にまで発展させるよう申し入れました。


佐世保市長 光武 顕 様

米原潜事前通知無視の出港について

 米原潜ポーツマスが、またしても事前通知の慣例を無視して出港したと報道されています。
 出港時の事前通知は、入港時の事前通告のように取り決めではないものの、この間「慣例」として定着した日米両国間の制度となっています。またそれだけの重大な根拠が、歴史的にも、実態的にもあります。
 米原潜が安全という神話は絶対に成り立ちません。だからこそ、佐世保市は米原子力艦船防災マニュアルも策定し、一定の制約の中で、そのための防災訓練もおこなっているのです。市民の安全を守ることを第一義とする自治体にあっては当然の対策です。
 その大前提になる「事前通告」を再三無視する米国政府にたいし、外務省を通じて佐世保市長はただちに抗議されたとのことです。私たちもまた米国にたいし強く抗議するものです。同時に、佐世保市の行動について、自治体の責務を果たす努力として率直に評価します。その上で、なお自治体としての不十分さを明らかにして以下の申し入れを行ないます。
 いうまでもないことですが、問題の大前提は、「慣例」を無視する米国と、その米国にたいし毅然と主張できない日本政府にあることは念のために申しそえておきます。
 「入港時とちがい、取り決めでない。単なる慣例だから、強く外務省、米国にいえない」という佐世保市の態度は不十分であり、これではいつまでたっても「慣例」は守られないといわなくてはなりません。
 ことの本質は、佐世保市民の安全の問題です。市民の安全が、米軍の運用の都合で左右されていいのかという問題です。ましてや、佐世保市当局のなかに、出港時の事前通告は米軍の善意で行われているという外務省の言い分を容認する姿勢が垣間見えることは重大です。
 特に米軍は、佐世保基地を「遠征攻撃群」の拠点して、新たに発足しようとしています。このままでは、出港時の「慣例」が無視されていくだけでなく、入港時の「取り決めの空洞化」が危惧されます。
 市民の安全が、米軍の運用によって絶対に左右されてはならない、入港時も出港時もまた、市民の安全という点では全く同じです。出港時の通告もまた入港時と同じく守られるべきだという立場を再確認すべきです。
 「慣例」だから強くいえないというのであれば、「慣例」を「取り決め」にまで前進させるように、日本政府にたいし、佐世保市は求めるべきです。

2003年11月12日

原水爆禁止佐世保協議会 理事長 山下千秋
佐世保市平和委員会   会長  町田 勇
日本共産党北部地区委員会委員長 中尾武憲