進む自衛隊の戦争準備
邦人救出や特殊部隊の輸送訓練

 海上自衛隊は11月7日から16日の予定で今年最大の演習を行なっています。米海軍第7艦隊の約10隻が加わる日米共同訓練も合わせて実施されます。「情勢緊迫段階から我が国防衛に際しての海上諸作戦等について演連する」目的で、米国の通信システムとの情報共有が可能なイージス艦「きりしま」などの主力艦艇約80隻、情報収集機EP−3やヘリコプターなどの航空機約170隻、海自隊員の約6割にあたる約2万5千人が参加する大規模なものです。

 11月8日、この演習の一環として海上自衛隊大村航空基地で「邦人救出」訓練が行われました。県内では2000年に佐世保の崎辺地区で行なわれた「邦人等輸送訓練」に次ぐものです。これまで邦人救出には航空機のみだったものが、周辺事態法と併せて成立した自衛隊法の一部「改正」で1999年から艦船の使用が可能となっています。
 新聞報道によると、この訓練には海上・陸上自衛隊員ら約1000人が参加し、大村航空基地を「紛争で混乱する外国の空港」と想定して約300人の在外邦人をヘリで輸送艦に移し、1泊後に「安全な第3国の港」と見立てられた佐世保港まで輸送するものだったといいます。
 邦人役の50人は外務省職員役の海自隊員から出国手続きや身体検査を受けた後に輸送ヘリに搭乗。陸自隊員は小銃や盾、防弾チョッキで完全武装した誘導隊として周辺を警戒し、輸送ヘリまで邦人を警護。2機のヘリは西彼大島町沖合に停泊する輸送艦「くにさき」に50人を輸送。「くにさき」の車両格納庫は仮居住区として300人分の毛布が敷き詰められ、翌9日に海自佐世保基地の立神桟橋までの輸送訓練が行なわれました。

 また11月10日には、同じ輸送艦「くにさき」が、そのまま立神桟橋で、陸自佐世保相浦駐屯地に配備されている西部方面普通科連隊の隊員140人と高機動車など車両34台を収容しました。新聞では11日から1週間ほど輸送訓練が行なわれ、「くにさき」は護衛艦6隻とともに日本近海を航海すると報道されています。
 西部方面普通科連隊は有事即応の対テロ特殊部隊でいわば陸自版「海兵隊」。輸送艦「くにさき」には2隻のLCACが搭載されており、まさに「海兵隊」の有事展開訓練に他なりません。昨年11月の日米共同統合演習でも同連隊は、部隊を目的地に展開させる想定での海上輸送訓練に参加しています。

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