同時テロ直後、海自隊員がエセックス警護
明らかに集団的自衛権に抵触


佐世保港中央部で弾薬などを積み込むエセックス(01年9月20日)

 9月14日、長崎新聞は2年前の米同時テロ直後、海上自衛隊が米軍佐世保基地の警備艇に海自隊員を乗艦させ、「米兵とともに米強襲揚陸艦『エセックス』周辺の警戒任務に就かせていた」と報道しました。共同通信社の配信によるもの。
 当時のエセックスは補修作業中で9月20日から弾薬やミサイルなどを積み込み、22日に整備点検を受けるため横須賀へ向けて出港しました。この3日間、自動小銃などで武装した米警備艇3隻がエセックス周辺で24時間態勢で警戒を続け、それぞれに海自隊員が一人ずつ、ローテーションで計28人が乗り込んだといいます。
 当時は自衛隊が在日米軍基地を警備する「警護出動」を新設した改正自衛隊法が成立する前です。テロ直後の米軍基地内や米艦は最高度の戦時態勢で、海自隊員が米軍指揮下で行動したことは明らかに集団的自衛権に抵触します。海上幕僚監部は「佐世保湾内での海自艦艇の安全運航を確保するための連絡官(通訳)が目的だった。防衛庁設置法第5条に基づく調査、研究の一環」と合法性を強調、と報道されています。
 またしても「防衛庁設置法」の濫用です。2年前の9月22日、エセックスの出港の際には、海上自衛隊は防衛庁設置法にもとづく「テロ対策による警戒監視活動」を名目に、護衛艦「はるゆき」を随伴させ、大村基地の哨戒ヘリ2機とともに周辺警備を行いました。そして11月9日、政府は、テロ特措法による「基本計画」の策定前に、佐世保から初めて自衛艦戦時派遣を強行しました。そのときの口実も「防衛庁設置法に基づく「調査研究」でした。目的のためには何でもありの姿勢には怒りをおぼえます。

[関係資料]
海上自衛隊の護衛艦が米国の空母「キティホーク」及び強襲揚陸艦「エセックス」に対して行った護衛活動等に関する質問主意書・答弁書