「われはなァ、三成…
徳川を想うぬしを壊してしまいたいのよ」
笑いながら放ったわれの言葉に放心したように力の抜けた三成の体を指先で辿っていく
「…ぎょ、ぶっ」
三成の声はひどく震えていた
触れる度に強張っていく体は、われの全てを否定しているようだった
「っ、ぁ!」
苛立ち紛れに三成の胸の飾りを口に含み舌先で転がせば噛み殺したような声を上げる
自分の上げた声に驚いたように一層身を固く震わせる
もうすでに徳川に体を許したのだろうか?
丹念に快感を教え込まされたのだろうか?
三成の反応にそんな考えばかりが頭をよぎる
傷付けている筈なのに、まるでわれが傷付けられているようだと思ってしまった
「刑部、刑部っ…、違うんだ…」
うろたえたように、縋るように、泣きそうな顔をする三成に、
泣きたいのはわれの方だと怒鳴りたくなる
だが、なぜ泣きたいのか
なぜこんなにも傷付いているのか
われには分からなかった
分からぬものを言葉にする術を、われは知らぬ
だから、口をつぐむ以外に出来ることは無かった
「っ…、刑部、私はっ、家康を想ってなど…」
「…徳川を庇うとは、短い間に随分と懐いたものよな」
苦し紛れに吐いた言葉はわれの胸にこそ突き刺さる
幼い頃よりわれ以外に友と呼べる者もいなかった三成
ずっとずっと、われと三成の二人だけだと漠然と信じていた
だが三成はわれと違い病に掛かることも無く、
不器用なところを除けばとても素直で心優しい者なのだ
今までに友が出来なかったのは一重にわれのせいだと頭では理解しているのだ
だが、三成が側で笑うことが心地良く、三成が他に流れることを拒んだ
われと三成だけの閉じた世界を作ろうとした
三成は何も悪くないと知っている
徳川も、何も悪くないと分かっている
それでも、得体の知れないこの激情を止める方法をわれは知らなんだままだ
「違うっ!私は、家康とは本当に何もっ…」
「三成、黙りやれ」
「っ、本当にっ、家康を想っては」
「黙れ、と言っておる」
「っ」
三成の口を手のひらで塞ぎ厳しく睨み付ければ、
叱られた子供のように眉を下げ、今まで堪えられていた涙がぼろぼろと零れ落ちた
初めて目にする三成の涙に息が詰まる
それでも、もうこれ以上徳川の名を呼んで欲しくなかった
怯えても、恐れても、嫌悪しても、蔑みながらでも、
何だっていいから今だけはわれだけを考えていればいいと思った
怒りと悲しみと罪悪感でぐちゃぐちゃになった頭でそれだけを願った
こんなことをして、これからも側に居ることなど出来はしないのだ
だからこそこの一瞬を三成に刻み込んでしまいたかった
癒えない傷となり、三成の心に生涯残ってしまえばいいとさえ思う
徳川の人柄を考えれば傷付いた三成をきっと支えてくれる
どんなことがあろうと、あの男は三成の側に居続けるだろう
笑って、優しさで包み込み、三成を生かしてくれる
そうやっていつかまた三成も笑えるようになるのだろう
ならばわれは、傷でいいから、三成の中に残りたかった
われの生涯は三成よりもずっとずっと短い
われは三成が死ぬまで友でいられることは無い
朽ち果て、記憶の残骸になるのだ
忘れ去られたくない
三成に忘れられるのは、何より辛い
だから、忘れられないほどに深い、三成の傷になってしまいたかった
「……っ」
拳を握り締め、声も無く大粒の涙を零す三成を眺めた
われの勝手で三成を傷付けている
それがあまりにも苦しい
それでも、止まることは出来なかった
泣かせてしまった身としては泣くなとも言えず、
黙って三成の目じりを伝う涙を舐め取った
親猫が仔猫を舐めるようにことさらに優しく触れることしか出来なかった
「…刑部」
掠れた声で名を呼ばれる
潤んだ瞳でわれを見る
悲しみに染まったそれらにひどく胸が締め付けられた
罪悪感を、躊躇を振り払うように瞬きし、
もう止めることなど出来ないと、もう一度己に言い聞かせるように心の中で呟いた
「…軽蔑してくれてよいぞ、三成」
その声を合図に、三成の下帯に手をかけた
三成はびくりと体を震わせ、全身に力が入ったが、さしたる抵抗は無かった
ただ、唇を噛み締め、ぼろぼろと涙を零すばかりだった
三成の下帯を取り去り、だらりと萎えた雄に触れる
数度扱いても硬さを持たないそれを口に含んだ
「刑部っ!?駄目だ、汚いっ!」
驚いたように目を見開き叫んだ三成を無視し、形を確かめるように舌を這わせる
裏筋を辿り、鈴口に舌をねじ込ませ、唇はきつくすぼめ竿を刺激する
手のひらで玉をやわやわと揉みしだき、何度も三成の雄を口から抜き差しする
次第に硬さを帯び、先走りを零し出すそれに幸福を感じた
「んっ、ふ、ぁっ…」
甘い吐息を吐きながらも、われを雄から引き離そう三成が身をよじる
頬は林檎のように赤く染まり、その顔は確かに快感を感じている
「や、めてくれっ…、いやだ……こんな、のはっ」
それでも三成の口からは拒否の言葉しか出ることは無い
止まらない涙を溢れさせたまま、われを拒否する言葉を放つ
快感に身悶えし、控えめな声を上げながらも、
われから与えられる快感に嫌々と首を振るのだ
「刑部っ、も、出るっ…ぅあっ、嫌だぁっ…んんっ!」
びくびくと体を痙攣させ吐き出された精
口の中に広がる温かな苦さとしょっぱさ
「っ…、すまない……ぅっ、うぅっ…、すまないっ、刑部…」
謝罪の言葉と共に先程の比ではなくぐすぐすと泣きじゃくる三成を無視し、
三成の足を強引に開き固く閉ざされた穴に口の中に吐き出された精を舌を使い塗りこんでいく
「ぁっ、もう、…もう、やめてくれっ…」
本音を言えばこのまま入れてしまいたいが、
見るからに狭そうな穴にはこのままでは入りそうも無い
固く強張った穴を解すように何度も何度も舌を這わせた
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