☆☆ インデックスページへ ☆☆
[本ページの最終チェック日 : 2024/4/7]
(2017年4月18日アップロード)
またまた、「デラム・ジャズ」の話題である。
コンテンツ #2 で紹介したデラムレーベルの「英国ニュージャズ」の作品の多くが、オリジナルリリースとほぼ「同時代」に、国内盤としてキングレコードからリリースされたことは「知る人ぞ知る」といった感じの話だろうか。
ここで「知る人ぞ知る」と書いたことについては二つの意味がある。一つは、リリースされたのはもう 50 年近くも前のことだけれど、マニアの間では「それなりに知られた話」だということ。そして、いま一つは、最近、これらの国内盤(いや「日本盤」!)が内外のオークションなどで、時に英国オリジナル盤を上回る高値でセールされていて、「業界内」ではまさに「知る人ぞ知る」的な「物件」であるらしいということだ。
「デラム・ジャズ」の国内盤については、スペシャルコンテンツ SP#3 の中ですでに紹介済みなのだが、本コンテンツではもう少しマニアックに、もろもろの細かなデータを書き連ねておきたいと思う。
コンテンツ #2 で紹介したデラムのアルバムは全部で 15 枚あるが、マイク・ウェストブルックの第 1 作と第 2 作、ジョン・サーマンの第 1 作及びグラハム・コリアーの作品の計 4 枚の国内盤リリースは確認できないので、ここで紹介する「キングレコードのデラム・ジャズ」は計 11 枚である。規格は、「 DL 」、番号は、「 3001 」から「 3011 」までの連続番号となっている。
発売時期は 1970 年 7 月から 1972 年 7 月にかけての 2 年間で、当初はほぼひと月に 1 枚だったが、「 3007 」以降は不定期となった。発売順はほぼ英国オリジナル盤の番号順である。
モノラル盤のリリースは確認できない。「 3008 」までは、オビに「ヨーロッパ・ジャズ・シリーズ」とある。すべての作品にライナーノーツの書かれたインサートが添付されている。「オビ付き」なのは言うまでもない。定価は全作品 2,000 円だったようだ。
以下、国内盤の番号順に紹介する。
1. 英国オリジナル盤のタイトル、規格・番号など(末尾の カッコ内の数字 はコンテンツ #2 におけるアイテム番号)
2. 国内盤のタイトル(少し長めの「キャッチフレーズ」を含めて)、規格・番号、発売日(キングレコードのカタログによる)、ライナーノーツ執筆者など
の順に記す。
A.
1. JOHN SURMAN - HOW MANY CLOUDS CAN YOU SEE? (DML/SML-R 1045) (P1969) (7)
2. 話題沸騰!ヨーロッパ・ジャズの黎明 ジョン・サーマン・デビュー! (DL 3001) (P1970) (1970-7-10) (木全信)(オリジナルスリーブデザイン)
デラム第 2 作がわが国での「デビュー作」となったサーマン。「当時の業界」のムードを思い起こさせる?!タイトル。ちなみに「ザ・トリオ」のデビュー作の日本語タイトルが『問題児ジョン・サーマン』なのは知られている?とおり。国内盤オリジナルスリーブデザイン。
検索サイトでライナーノーツを執筆している木全さんの訃報記事( 2016 年 7 月 29 日付日経サイト)に行き当たった。
B.
1. MIKE WESTBROOK CONCERT BAND - MARCHING SONG VOL.1 (DML/SML 1047) (1969) (3)
2. 話題沸騰!ヨーロッパ・ジャズの黎明 マイク・ウェストブルック/マーチング・ソング 1 (DL 3002) (P1970) (1970-7-10) (岩浪洋三)
ウェストブルック作品は第 3 作からのスタートとなった。「 3001 」と「 3002 」は同時リリースだったようだ。「キャッチフレーズ」も同じ。
C.
1. MIKE WESTBROOK CONCERT BAND - MARCHING SONG VOL.2 (DML/SML 1048) (1969) (4)
2. 話題沸騰!ヨーロッパ・ジャズの黎明 マイク・ウェストブルック/マーチング・ソング 2 (DL 3003) (P1970) (1970-8-10) (岩浪洋三)
ボリューム 1 のひと月後にリリースされたボリューム 2 。
D.
1. ALAN SKIDMORE QUINTET - ONCE UPON A TIME (NOVA (S)DN 11) (P1969) (13)
2. アラン・スキッドモア・クインテット/ワンス・アポン・ア・タイム (DL 3004) (P1970) (1970-9-10) (瀬川昌久)
突如割り込んできた?「ノヴァ・シリーズ」のアラン・スキッドモア作品。
英国オリジナル盤のセンターレーベルは「デッカ/デラム−ノヴァ」だが、国内盤は他と同じ「デラム」(詳細は ここ で) 。
E.
1. THE JOHN CAMERON QUARTET - OFF CENTRE (DML/SML 1044) (P1969) (12)
2. イギリス・ジャズ界の秘宝登場!! ジョン・キャメロン/オフ・センター (DL 3005) (P1970) (1970-10-10) (和田栄司) (未所有)
当時のキャメロンの位置づけがこのようなキャッチフレーズに反映されたのだろうか。
※オビ付きの写真が入手できないため、オビなしの写真を掲載。
[ 2019 年 8 月 13 日追記 ]
オビ付きの写真を入手したのでスリーブ写真を更新。
F.
1. MICHAEL GIBBS (DML/SML 1063) (1969) (9)
2. 栄光のブリティッシュ・オールスターズ マイケル・ギブスの壮挙 (DL 3006) (P1970) (1970-11-10) (岩浪洋三 - 下記追記参照) (未見・未所有)
ギブスの作品は第 1 作からリリースされた。「ブリティッシュ・オールスターズ」! まあ、そういうところなのだろうか。
[ 2024 年 4 月 7 日追記 ]
これまでにもたびたび貴重な情報をお寄せいただいている広島の I さんから本アイテムのライナーノーツ執筆者が、岩浪洋三とのご連絡をいただいた。下の一覧表にも加筆した。
G.
1. MIKE WESTBROOK CONCERT BAND - MIKE WESTBROOK'S LOVE SONGS (SML 1069) (1970) (5)
2. マイク・ウェストブルック/ラブ・ソング (DL 3007) (P1971) (1971-3-10) (瀬川昌久)(オリジナルスリーブデザイン)
「 3006 」から間をおいてリリースされた本作は、言わずと知れたマニア垂涎?の「ジャパニーズ・イシュー」。国内盤オリジナルスリーブデザイン。
スペシャルコンテンツ SP#3 でも触れたけれど、タイトルが「ソングス」から「ソング」に変わっている。
H.
1. HENRY LOWTHER BAND - CHILD SONG (SML 1070) (P1970) (14)
2. チャイルド・ソング/ヘンリー・ローザー (DL 3008) (P1971) (1971-2-10) (木全信)
「 3007 」よりひと月前にリリースされたらしい「 3008 」。
I.
1. MICHAEL GIBBS - TANGLEWOOD 63 (SML 1087) (1970) (10)
2. イギリス・ジャズ&ロック・シーンに君臨する天才アーティストのリーダー・アルバム第2弾! マイケル・ギブスの世界 (DL 3009) (P1972) (1972-5-5) (岩浪洋三)
1 年以上の空白期間を経てリリースされたギブスの第 2 作。「キャッチフレーズ」が長い! 本作以降、オビに「ヨーロッパ・ジャズ・シリーズ」の記載が無くなった。
J.
1. JOHN SURMAN, JOHN WARREN - TALES OF THE ALGONQUIN (SML 1094) (1971) (8)
2. ブリティッシュ・ジャズの最高峰ジョン・サーマンが盟友のジョン・ウォレンと組んだ最新LP! アルゴンキン族の物語/ジョン・サーマンとジョン・ウォレン
(DL 3010) (P1972) (1972-7-5) (悠雅彦)
「アルゴンキン族」がキーワードか。「キャッチフレーズ」がさらに長くなった。
[ 2024 年 4 月 7 日追記 ]
当方所有の本アイテムがプロモ盤のため不明だったセンターレーベルのデザインが、前作までと同様の「赤白の DERAM レーベル」であることを、アイテム F の追記でも書いた I さんから教えていただいた。下の写真を参照のほど。
K.
1. THE CHITINOUS ENSEMBLE - THE CHITINOUS (SML 1093) (1970) (15)
2. イギリスのプログレッシブ・ミュージックへの期待を一身に担ったポール・バックマスターの野心作!! 組曲「キティナス」 ポール・バックマスター(音楽監督)とキティナス・アンサンブル (DL 3011) (P1972) (1972-7-25) (今野雄二)
シリーズ最終作?のオビには「プログレ」の文字が躍る! 解説もかの今野雄二だ。
本盤のセンターレーベルは「 DSS レーベル」。アイテム I までは「 デラムレーベル」であることは確認済み。アイテム J についても上の追記で記したように「 デラムレーベル」とのこと。センターレーベルについては下の写真を参照のほど。
以上の内容を「国内盤(日本盤)− 英国オリジナル盤 対照表」として以下にまとめてみた。
国内盤 (日本盤) | 英国オリジナル盤 | |||||||
規格・番号 | アーティスト・タイトル・キャッチフレーズなど | リリース日 | ライナーノーツ | 備考 | アーティスト / タイトル | 規格・番号 | 録音年 | |
DL 3001 | 話題沸騰!ヨーロッパ・ジャズの黎明 ジョン・サーマン・デビュー! | 1970.7.10 | 木全信 | ヨーロッパ・ジャズ・シリーズ | JOHN SURMAN / HOW MANY CLOUDS CAN YOU SEE? | DML/SML-R 1045 | P1969 | |
DL 3002 | 話題沸騰!ヨーロッパ・ジャズの黎明
マイク・ウェストブルック/マーチング・ソング 1 |
1970.7.10 | 岩浪洋三 | ヨーロッパ・ジャズ・シリーズ | MIKE WESTBROOK CONCERT BAND / MARCHING SONG VOL.1 |
DML/SML 1047 | 1969 | |
DL 3003 | 話題沸騰!ヨーロッパ・ジャズの黎明
マイク・ウェストブルック/マーチング・ソング 2 |
1970.8.10 | 岩浪洋三 | ヨーロッパ・ジャズ・シリーズ | MIKE WESTBROOK CONCERT BAND / MARCHING SONG VOL.2 |
DML/SML 1048 | 1969 | |
DL 3004 | アラン・スキッドモア・クインテット/ワンス・アポン・ア・タイム | 1970.9.10 | 瀬川昌久 | ヨーロッパ・ジャズ・シリーズ | ALAN SKIDMORE QUINTET / ONCE UPON A TIME | NOVA DN/SDN 11 | P1969 | |
DL 3005 | イギリス・ジャズ界の至宝登場 ジョン・キャメロン/オフセンター | 1970.10.10 | 和田栄司 | ヨーロッパ・ジャズ・シリーズ | THE JOHN CAMERON QUARTET / OFF CENTRE | DML/SML 1044 | P1969 | |
DL 3006 | 栄光のブリティッシュ・オールスターズ マイケル・ギブスの壮挙 | 1970.11.10 | 岩浪洋三 | ヨーロッパ・ジャズ・シリーズ | MICHAEL GIBBS | DML/SML 1063 | 1969 | |
DL 3007 | マイク・ウェストブルック/ラブ・ソング | 1971.3.10 | 瀬川昌久 | ヨーロッパ・ジャズ・シリーズ | MIKE WESTBROOK CONCERT BAND / MIKE WESTBROOK'S LOVE SONGS |
SML 1069 | 1970 | |
DL 3008 | チャイルド・ソング/ヘンリー・ローザー | 1971.2.10 | 木全信 | ヨーロッパ・ジャズ・シリーズ | HENRY LOWTHER BAND / CHILD SONG | SML 1070 | P1970 | |
DL 3009 | イギリス・ジャズ&ロック・シーンに君臨する天才アーティストの リーダー・アルバム第2弾! マイケル・ギブスの世界 |
1972.5.5 | 岩浪洋三 | MICHAEL GIBBS / TANGLEWOOD 63 | SML 1087 | 1970 | ||
DL 3010 | ブリティッシュ・ジャズの最高峰ジョン・サーマンが 盟友のジョン・ウォレンと組んだ最新LP! アルゴンキン族の物語/ジョン・サーマンとジョン・ウォレン |
1972.7.5 | 悠雅彦 | JOHN SURMAN, JOHN WARREN / TALES OF THE ALGONQUIN |
SML 1094 | 1971 | ||
DL 3011 | イギリスのプログレッシブ・ミュージックへの期待を一身に担った ポール・バックマスターの野心作!! 組曲「キティナス」 ポール・バックマスター(音楽監督)とキティナス・アンサンブル |
1972.7.25 | 今野雄二 | 「 DSS 」センターレーベル | THE CHITINOUS ENSEMBLE / THE CHITINOUS | SML 1093 | 1970 | |
[英国オリジナル盤と「ジャケ違い」の A と G についてはオビ無しとオビ付きの写真を、その他のアイテムについてはオビ付きの写真を載せておきます。]
[別ウィンドウは設定していません。パーソネル等はコンテンツ #2 の英国オリジナル盤のスリーブ写真をクリックして参照してください。]
A. -
*
*** G. -
*
B.-
*** C. -
*** D. -
*** E. -
F. -
*** H. -
*** I. -
*** J. -
K. -
******
******
******
******************************(アイテム K のインサートより「ヨーロッパ・ジャズ・シリーズ」のリスト、アイテム I 以降も掲載されている。)
***(センターレーベルのいろいろ)
1. -
*** 2. -
*** 3. -
*** 4. -
1. 「 DL 3010 」まではこのレーベル(「 DL 3009 」の例)。アイテム J の追記を参照のほど。
2. 「 DL 3011 」はすっかりデザインの異なるセンターレーベルになった。
( 写真は 「 https://www.discogs.com/The-Chitinous-Ensemble-Chitinous/release/9727016 」( 2017年4月18日閲覧 ) による。)
3. プロモ盤のホワイトレーベル(「 DL 3007 」の例)。
4. センターレーベルに『 見本品 』のスタンプが捺印されたもの(「 DL 3002 」の例)。
(2017年4月)
[ 追補 1. (2024年4月7日アップロード) ]
アイテム F 及び J の追記で記載した新しい情報を追加した。
両方の情報をいただいた I さんに改めてお礼を申し上げます。
★☆★ コメントありましたら ★☆★
Copyright ©2017-2024 NISHIZAWA Kunikazu. All rights reserved.