「臆病窓」って知っていますか。おじさんは知らなかったのですが、1年ほど前におばさんがやっていたクロスワードパズルにあったのです。
家を建てると決めるずっと前から、家を建てるなら絶対に欲しいものが三つありました。一つは、おばさんの「最後の引っ越し」<2009年6月10日>に出てきたサニールームです。二つ目は郵便受けです。郵便受けはどこにでもありますが、室内から郵便物が取れる形状のものです。アパートやマンションのドアについていることが多いようですが、一戸建てではほとんど見かけません。
そして三つ目がこの宅配窓です。パソコンや周辺機器などはずっと前から通信販売を利用していましたが、最近では本などもインターネットで注文することが多くなりました。と言ってもそんなに頻繁に宅配が来るわけではありません。それでも前のアパートでは開けたドアを押さえて伝票を受け取り、不安定な姿勢でサインをしてから品物を受け取るのが結構大変でした。
それ以上に心配だったのが宅配や郵便配達を装った強盗です。インターホンから聞こえてくる声だけで顔の浮かぶ配達員もいましたが、初めての人なら本物かどうか分かりません。それでもドアを開けて品物を受け取るわけですので、絶対安全とは言い切れないでしょう。実際に何ヶ月か前にそのような事件があったと思います。
今は宅配窓がありますので、宅配物や郵便書留など直接受け取らなければならない場合は、まず宅配窓のガラス越しに相手を確認します。そして窓を開けて伝票を受け取り、サインをしてから品物と交換します。ドアを開ける必要もありませんし、下履きに履き替える必要もありません。初めて配達に来た人は、ドアが開かずに横から声がするので一瞬とまどった顔をしていましたが、2回目からはチャイムを鳴らしたらそのまま宅配窓の前に移動して待っています。
この宅配窓の大きさですが、柱などの関係で30cmくらいの幅しか取れなかったのです。上下の位置や高さにはかなりの自由度があったので、上下にスライドする上げ下げ窓で一番幅の狭いタイプにしました。もし幅にゆとりがあっても開口部を広く取るとそこから人が入ってくることができますので、その場合には人が入れないようにする工夫も考えていました。高さについては、床の高さがあるので、配達する人が差し出すのに高すぎず、こちらはしゃがまなくてもいいくらいの高さを測って決めました。
でも幅が狭いので、少し大きな荷物は窓から入りません。もともとは今の宅配窓とは別に、大きな荷物用に地面の高さで戸のような物をつけることを考えていました。もちろん室内側にも戸をつけて、両方同時に開けないと室内に入れないような構造にするのです。それなら室外側の戸を開けても家の中まで入ってくることはできません。ついでに台車のような物を設置すれば重い物でも無理なく入れてもらえます。でもそのスペースは取れなかったので、この案はあきらめました。
それで宅配窓から入らない荷物の場合には伝票のやりとりだけを宅配窓で行い、品物はドアの前に置いてもらいます。そして車が出てから中に入れるようにしていますが、アパートの時とは違い宅配窓から全貌を確認できるので、ドアを開けて受け取るにしても安心感があります。
最初に書いた「臆病窓」ですが、広辞苑(第5版)では「商店の戸前に設けて開閉できるようにした小窓。戸を閉じた後に来る客に金品を授受し、また来訪者のある時に様子をのぞき見るためのもの。」と書かれています。この言葉を知ったとき、「宅配窓」はおじさんのいつもの突飛な発想ではなく、昔から必要があって作られた物だと自信を持ちました。
おばさんも完成するまではきちんとしたイメージがつかめなかったようですが、使ってみると予想以上に便利だと、とても気に入ってくれてます。
もちろん宅配以外の応対にも使っています。これから新築やリフォームをする人は是非考えてみませんか。