知り合いの息子さんが今年3月に大学を卒業したそうです。県外の大学だったので自宅を離れての生活です。我々の世代では下宿生活と表現するところですが、マンションで下宿生活というのはピンときませんね。それはさておき、当然マンションでもインターネットを活用していたそうですが、インターネットの接続料は一度も払ったことがないそうです。
通常はプロバイダ(インターネット接続業者)と契約をしてIDやパスワードをもらって接続しますよね。その息子さんも当然プロバイダと契約するつもりだったようですが、最初にパソコンを設定していたらインターネットに繋。それで4年間、プロバイダと契約しないままでインターネットを使えたというのです。
そうです、無線LANのいたずら(?)なのです。マンションの隣か上下か、とにかく近くの部屋の無線LANの親機に電波で繋がり、そこからインターネットに繋がっていたということです。
無線LANの場合には周囲に電波が飛び交っているわけですから、電波は誰でも受信することができるのでしょう。ただ勝手に利用されないように電波として送信される前に暗号化していて、受信しただけでは解読できないのだと思います。この息子さんの例だと、暗号化されていなかったということでしょうか。何とも無防備なことですね。
でも、きちんと暗号化していても解読されると意味がなくなってしまいます。雑誌に「無線LANに盗聴の危険 WEPキーを10秒で解読」(日経PC21 2009年1月号 P.19)という記事がありました。それによると「WEP」という暗号化方式の場合には、わずか10秒程度でパスワードを見破る方法が発見されたと紹介していました。また暗号化方式については、「WEP」の弱点を克服した「WPA」や「WPA2」という暗号化方式が登場しているとしながら、「企業でも57%がまだWEPを使用している」(日経ネットワークが2008年4月にウェブで行った調査)とも書かれていました。
先の息子さんの例では、親機の持ち主は接続料が余計に請求されるわけでもないので、他人に利用されていたことに全く気が付かなったのでしょう。この場合は親機の持ち主に実質的な被害が及んでいないのですが、全く誰か分からない人に自分専用のはずのLAN環境に入り込まれているわけですから、パソコンのファイルを盗み見られたり、パソコンそのものを乗ったられたりという可能性が十分にあったと思います。
なぜこの話を紹介するかというと、おじさんは家庭での無線LANを完全には信用していないからなのです。きちんと対策をしておけば問題ないのでしょうが、先の企業への調査では半数以上が対策ができていないということです。解読の技術も進歩するでしょうから、対策のためにはソフトの更新だけでなく、機器本体の更新も必要になるかもしれません。そこまでの対策ができるかというとその自信が持てないのです。
ここまでは家造りとは直接関係ありませんが、次回に家庭内LANでのおじさんの対策を紹介します。