中 国 航 空 史

Engineの歴史の前に、あまり日本では中国の航空史は知られていないので少々概略を以下に記す。中国の長い歴史の中では飛行に関する故事は多数ありまた火薬を使用した飛翔兵器も多い。Fig1, 2。

　

Fig1 中国古代の故事より［6］　　　　　　　　　　　　　　　　　Fig2中国中世の飛び道具［6］

　　　　　　　　　　　　　　

現代［6］［7］［9］

１．中国人の初飛行

1909年９月２１日清朝からの海外留学生であった冯如（ピンルウ）　（Fig 3）がアメリカ　カリフォルニア州オークランドで自ら設計製造した航空機（Fig 4）で高度４．６m、飛行距離805ｍの飛行を行った。これが中国人による初飛行であり冯如は中国の航空の祖としてどの資料でも第1ページに登場する人物である。日本の航空の祖である徳川大尉は1910年12月の飛行なので冯如の飛行はそれよりも1年早い。冯如は辛亥革命後広東軍政府の飛行隊長に任命され、１９１２年８月２５日広州での中国本土初飛行を行ったが操縦系統の不具合で墜落死し、中国航空史初の航空機事故犠牲者となった。

　　　　　　　　　　　　　　　　

Fig3［6］　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Fig 4-1［6］

　　　　　　

Fig 4-2 ［6］　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Fig 4-３　［6］

２．中国本土での初飛行

１９１１年４月６日奏国镛（ズオグオヨン）（Fig 5）がCaudron（高�ｺ隆）機（Fig 6）をフランスから持ち帰り北京南苑飛行場で中国本土での航空機の初飛行を行う。奏国镛は1904年にフランスに渡り初めは騎兵科を学んだがその後清朝政府の命令で飛行学を学んだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

Fig5［6］

　　　　　　　　　　　　　　　　　

Fig6［6］

３．中国本土で中国人が設計製造した航空機の初飛行

1913年10月潘世忠（Fig7）により中国国内で設計製造した“1号”機（Fig8）の初飛行が行われた。1914年には80馬力のエンジンを推進式に搭載した“枪车”（チャンチ、槍機という意味）の初飛行にも成功した。これは機首に機銃を備えていたため中国初の武装航空機となった。潘世忠もフランスに留学し機械工学と飛行学を修め、中国航空黎明期にその発展の中心であった南苑航空学校の航空機械教官と修理工場長を1913年9月から務めた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

Fig7［6］

　　　　　　　　　　　　　　　　

Fig8［6］

４．中国での初民間航空

1918年北京政府において交通部が設立され民間航空が企画開始される。1920年には英国よりHandley Page（亨得利 佩季）0/７型機（Fig9）を購入、1920年4月24日“京漢”号と名付けられ英国人パイロットにより北京天津間の試験飛行が成功し続いて、5月8日に正式に北京発天津着便を午前、天津発北京着便が午後に運航された。これが中国初の民間航空飛行となる。なおHandley Page 0/7は複葉2発の第1次世界大戦で活躍した爆撃機から発展した民間機で24人の乗客を乗せることが可能でヨーロッパでも活躍した。

　　　　　　　　　　　　　　　　

Fig9［6］

５．本格的な航空機製造へ

以上のような初期の努力から1920年代は本格的な航空機製造を模索し、1924年9月軍事飛行学校創立、1934年南京政府と米国との契約に基づき年60機の生産能力を持つ中央杭州飛行機製造工場（Fig10）がほぼ80人の体制で操業開始し1937年には1000人規模まで成長した。また1935年イタリアとの契約に基づき中央南昌飛行機製造工場操業開始した。航空機の研究に関しては1935年南京大学に試験部分直径1.2m、最大流速55m/secの風洞装置が稼働開始、1936年清华大学で独自設計の試験部分直径1.5m、最大流速53m/secの風洞装置（Fig12）が稼働開始した。このように日中戦争前小規模ながら航空産業の発展はあったが、降着装置、Engine等の主要航空機部品は自給できる体制にはなかった。

　　　　　　　

　　　　　　　　Fig10［6］　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Fig11［6］

　

　　　　　　　　　　　　　Fig12［6］

６．日中戦争

1937年から日中戦争が勃発、その当時日本の航空機製造能力は1年1000〜1500機であるのに対し、中国はまだ300機程度であった。1937年8月に中国ソ連不可侵条約が結ばれ、ソ連から軍事援助を受けることになりI-15, I-16戦闘機777機を含む1250機の航空機の供給を受け、ソ連から多数の軍事顧問、志願航空兵が中国に渡り、これがソ連と中国の航空に関わる関係構築のスタートになる。また米国の義勇航空隊Flying Tigersも中国本土で日本との戦闘に参加、またインドー中国内陸部への輸送に大量のC-46等の米軍輸送機が投入された。一方B-29も昆明を基地に日本への爆撃を行うなど、第2次世界大戦中米軍の大量の航空機が中国本土で活躍した。［6］［7］［9］

７．中華人民共和国成立後の航空機Engine産業

1949年10月1日中華人民共和国が成立、国防は重要な国の施策となり1953年5月国家方針として“十五”計画が立案され1957年までに航空工業建築総面積を355万�u、主要設備を1952年と比較し5.5倍の1.1万台、航空工業人員を1952年と比較し3.3倍の10万人にするという目標が立てられた。1949年10月時点では航空人員は2300人、航空機113機、Engine1278台、飛行場40か所、航空機に関する製造工場12か所の規模であった。Engine産業の重要な拠点となる沈阳（瀋陽）が中国共産党と中国国民党との内戦から1948年11月に解放される中で, 1951年より次の3か所がEngine修理施設として操業を開始し、1年間に戦闘機、爆撃機の4種類のEngineを337台ほど修理する実績を上げた。哈尔滨航空発動機修理工場は旧日本陸軍731部隊の所在地に建設された元々はソ連軍の前線車両修理工場であったが、1956年までには航空機修理工場3棟、航空機Engine修理工場3棟を完成させるに至り、1951年から1960年には90名程のソ連技術者が技術支援を行った。

株洲航空发动机厂　: 株洲航空発動機修理工場

哈尔滨航空发动机厂: 哈尔滨航空機発動機修理工場

沈阳航空发动机厂　: 瀋陽航空発動機修理工場

修理技術を習得した後、製造技術の把握のため1954年から株洲航空発動機修理工場ではソ連製のM-11ΦPを基礎とした5気筒星形160馬力、初級練習機用Piston Engineの製造に成功した。Fig13はソ連人技術者とM-11ΦPの製造成功を祝う記念写真である。続いて1958年は同じくソ連製のAШ-62NPを基礎とした9気筒星形1000馬力、一段Supercharger付のPiston Engineの試作に成功した。このEngineは”活塞5”と命名され1986年まで生産されている。さらにソ連製のAИ-14Pを基礎とした9気筒星形260馬力の”活塞6”の製造に成功した。

哈尔滨航空発動機修理工場では1958年からソ連製の AШ-82Bを基礎とした14気筒星形1700馬力、2段Supercharger付のPiston Engineの製造に着手し”活塞７”として生産される。この”活塞７”は1500台が生産され8か国に200台が輸出もされている。

中国は1950年代に主な爆撃機、輸送機としてTu-2、Il-12, Il-14、C-46を保有しEngineとしてАШ-82ФН, АШ-82Т, R-2800が装備されていたが、それぞれ互換性がない上機体が長期に使用されていたためEngineを新品に交換する必要もありEngineに関する需要は大きかった。1960年代に入るとEngineに関する需要はさらに高まったが、海外からの部品供給が停止するなどして飛行不能となる機体が発生する事態に至った。そのため”活塞７”を基礎としてАШ-82ТのGearboxを使用するEngineの製造を決定した。その新しいEngineは”活塞８”（Fig14）と命名され、”活塞７”の部品を94.3%使用し、5.7%の部品は新設計とし、1850馬力を発生した。1963年10月にテストを完了し生産が開始された。この”活塞８”は1980年までに1300台が生産されその内195台は中国民航でも使用された。この”活塞８”は海外からの支援が絶たれる中で中国の独自性が活かされた設計が行われたEngineで中国航空産業の大きな前進となった。活塞とはピストンの意味で“ホウサイ”と発音する。

このように中華人民共和国は国家成立間もない時期から“大躍進“に伴う社会的混乱期にかけて、１60馬力の自動車並みの小さなEngineから始まり1850馬力の世界に比するクラスのものまで航空用Piston Engineに関わる設計、製造に関する経験を急速に積み上げていく。［9］

　　　　　　　　　　　　　

Fig13［9］　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Fig14

その後上記の3工場の他に次の3工場が建設される。

西安航空发动机厂 ; 西安航空発動機工場　が1958年から建設開始され、涡喷-5甲 WP-5Aの生産を開始する。

成都航空发动机厂 : 成都航空発動機工場　が同じく1958年から建設開始され、1959年にはRolls Royce Derwent Vのソ連版コピーであるРД-500の生産試作を行い、1962年からは涡喷−6　WP-6の生産を開始する。

贵州航空发动机厂　: 貴州航空発動機工場が1965年から建設開始され、1968年から部品製造を開始。この工場は比較的高地にあるためEngine試験装置の校正に苦労することになるが内陸部の工業発展に寄与し、涡喷-7 WP-7の生産を1970年から開始する。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Fig15　贵州航空发动机厂［6］

また1960年代中期には四川、株洲、旡锡の3か所に航空発動機研究所が設立される。四川にはチャンバー内で高高度の条件を作りその中でJet Engineを運転試験する高空チャンバーも備えている（Fig16,17）。この試験設備は大きなチャンバーを大出力のレシプロEngineで減圧しながら低温に維持しその雰囲気の中でJet Engineの運転を可能とする非常に大きな施設であり、Jet Engineの開発には不可欠な試験施設であるが世界でも数少ない施設である。

　　　

　　　　　　　　　　　　Fig16　四川高空チャンバー施設全景［6］　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Fig17高空チャンバー［6］

現在の主なEngine製造拠点は次のとおりである。（WP:Pure Jet, WS:Turbo Fan, WJ:Turboprop）

A. 沈阳黎明航空发动机公司 ;　主要生産Engine WP-14, WS-10（推力30000lb、Thrust Vectoringも装備する中国ライセンスSu-27装備Engine）

1979年に沈阳航空发动机厂と沈阳航空发动机設計研究所を合併し沈阳航空发动机公司となり, 2001年12月に沈阳黎明航空发动机(集団)有限責任公司（AVIC Shenyang Liming Aero-Engine(Group) Corporation LTD.）に再編された。現在技術を含む間接スタッフ1200人、現場スタッフ17000人の規模であり以下で述べるように沈阳は中国のJet Engineの開発、製造を当初からリードしている企業である。

B. 西安航空发动机公司 : 主要生産Engine 　WP-8、WS-9（推力12000lb,　Rolls Royce Speyの中国ライセンスEngine）

C. 贵州黎阳航空发动机公司 : 主要生産Engine WP-7, WP-13（推力11000lb　FC-1装備Engine）

D. 株洲南方发动机公司: 主要生産Engine　WJ6, WJ9, WS-11

E. 中航工业哈尔滨东安发动机（集团）有限公司　： 主要生産Engine WJ5　(中国版An-24, Y-7輸送機装備Engine)

F. 成都发动机（集团）有限公司　: 主要生産Engine　WP-6、WS-15 (中国ステルス戦闘機J-20装備Engine)

WP-5

涡喷-5 WP-5はソ連のBK-1Φ（VK-1F）の技術資料をベースに中国で初めて生産された遠心式Compressor Jet Engineである。“涡喷”の中国語読みはウーペンとなるのでWPと西側では呼称される。沈阳（瀋陽）航空発動機修理工場（Fig18）には1951年から1956年にかけて70名程のソ連人技術者による支援が行われ、まず1951年からYak-15に装備されたJumo004のソ連版コピーРД-10およびMig-9に装備されたBMW003のソ連版コピ−РД-20、さらにMig-15に装備されたRolls Royce Neneのソ連版コピーРД-45、合計で約2000台の修理実績を重ねる。Engine以外に燃料補機等の修理の経験も積み重ねた。РД-10、РД-20の2つのWebは中国に現存する貴重な両Engineを示すものである。Mig-9は朝鮮戦争にも参加し、Mig-9自体中国で保有していたが、Yak-15、РД-10はソ連のみでしか運用されていないのでどのような経緯で沈阳で修理することになったかは推測が出来ない。ただこれから中国はドイツで開発された軸流式Engineおよびイギリスで開発された遠心式Engineの両方の型式に関わる経験を早い時期から積んでいたことになる。

修理工場から沈阳航空原動機製造工場へ組織改編された後、国家中央から1957年までにはWP-5の製造を完成させるという指示が下った。Jet Engineの製造にはPiston Engineと違い耐熱合金の製造技術、精密加工技術等が必要であったが、ソ連の技術資料の中国語への翻訳を1954年から開始、1956年半ばには5800lbの推力を発生する試作を完了し、1956年内に40台の生産を完了した。本Engineは歼-5（中国版Mig-17）に搭載された。歼は殲滅という意味だが、中国語読みではジアンとなるのでJ-5と西側では呼称される。この涡喷WP seriesはその後の中国のJet Engineの主流となる。

沈阳航空機原動機製造工場ではその後1957年にはBK-1Aを基礎に涡喷-5 WP-5と68％の部品を共有する涡喷-5甲 WP-5Aの生産にも成功し、II-28に装備された。1958年にはРД-45の生産にも成功し、その年に30台の生産を完了した。このEngineはMig-15に使用された。РД-45はRolls Royce Neneのほぼ純粋なソ連製のコピーで初期型のMig-15に装備され、BK-1Φ（VK-1F）はNeneにソ連が独自の改造をCombustor,　Turbineに施しAfterburnerを追加したEngineであり1950年代初頭に登場したMig-15bis（改修型）に装備された［9］。

沈阳航空発動機修理工場は早くからEngine設計室、Engine設計研究所を設立し、1958年2月に毛沢東も工場の視察を行っている。現在では中国のJet EngineのHometownとなり航空機本体および航空機Engine製造企業として活躍している。涡は河南省の川の名前の一部であり、Rolls Royce社では川の名前をEngineの名称に使用しているが、中国でも意図的にRolls Royce社に源を発したEngineに川に関係のある漢字を使用したのか、またはこの漢字は渦という意味もあるのでたまたま偶然に使用したのか興味深い。

　　　　　　

Fig18　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Fig19［9］

Fig16は毛沢東が沈阳航空発動機製造工場を視察している場面であり、どの書籍にも掲載され有名な写真である。

Fig20　

Fig20は上海航宇科普中心に保存されるWP-5である。コピーなのでRolls Royce　Neneと外観は同じである。実質的な世界のJet Engineの歴史はNeneを基礎にしているということになる。NeneよりCombustor, Turbineの改造、大型化が図られている。

上海航宇科普中心　WP-5　実物詳細

1A

WP-5の完成後、直ぐに中国独自設計のJet Engine製造計画が立案され1956年に準備開始、WP-5を参照に推力3500lbを発生する喷发1A(Fig20)が1957年に完成した。喷发1Aは歼教-1(Fig22)に搭載され1958年7月26日に飛行試験が成功した。Engine、機体とも設計、製造は成功したが技術者に実践的な経験が不足しており、基本的不具合も多かった。機体　歼教-1は沈阳飞机設計室（瀋陽航空機設計）で設計され、アメリカ、イギリス、ソ連で航空学科を修めた3人の設計技師が中心に作業にあたったが、その他は平均22歳でほとんどが大学卒業直後で実践的経験者はほとんどいない状況でこの訓練機は設計された。しかし空軍の戦闘機パイロット養成課程が初期課程から直接MIｇ-15に移行する方式に変更されたため結局歼教-1は不要となり計画は中断された。

Fig21［9］

Fig22

WP-6、WP-6A

涡喷−6　WP-6　（Fig23）はソ連のRD-9Bを基礎にして製造された軸流式のJet Engineであり5700lbの推力を発生し、中国版Mig-19　歼-6（J-6）に2台装備された。推力はWP-5とほぼ同様であるが、重量が30%減し、最大直径も48%したので高速飛行に適したEngineであったが、部品点数は2521種となり46%増加し新たな生産設備が必要となった。1958年からソ連の技術資料を入手しその年には試作を行った。ただしこれは“大躍進“に伴った過度な成績主義に基づいて進められた試作だったので、完成はしたが要求性能は満たすことは出来なかった。最終的に1961年の試験で要求性能を満足し72台の生産が行われ、1963年9月にはWP-6を装備した歼-6（J-6）の飛行試験も完了した。このEngineも需要が多かったころから成都航空発動機工場でも生産が行われることとなり、沈阳航空発動機工場から研削技術、精密加工技術、高温合金技術100項目に及ぶ技術項目を学び大量のWP-6を生産する。このEngineの当初の使用寿命は100Hrと非常に短く、1965年に200Hrに延長されたがCombustorに欠陥があることが明らかとなり再び100Hrに短縮され、1975年には安定燃焼、空中再始動性能向上、推力増加を伴う改修が成功し再び200Hrに延長された。（4−71型Combustorから4−76型Combustorへの改修）このCombustorの不具合究明を行ったが成都航空発動機工場であり、その実績が評価され1984年からPW社のJT8DのCombustorを製造することになる。［9］

　　　　　　　　

Fig23

軍の要求により歼-6（J-6）を基礎に攻撃機 強-5(Q-5/A-5)を開発するに伴い、WP-6を基礎に新たなEngineを開発することとなった。攻撃機は搭載量が多いので推力増加が求められ沈阳航空発動機工場で試作を開始し、Compressor1段のAirfoilの再設計を行い推力を1000lb増加した涡喷−6甲　WP-6Aが1966年に完成したが、Engineの安定作動領域が狭まり飛行性能にも影響を及ぼす問題が発生、その対策としてInlet Guide VaneをVariable Statorへ変更しBleed Systemも改良した。その結果1979年10月中国独自のEngineとして涡喷−6甲　WP-6Aは強-5I (Q-5I/A-5I）のEngineに正式採用された。この強-5 (Q-5/A-5)という機体は代替機が無かったため1958年から2012年まで生産された。

WP-7

涡喷-7　WP-7はソ連のР-11Ф-300（R-11F-300）を基礎にして製造された2軸の軸流式のJet Engineで8700lb（After Burner使用時は13000lb）の推力を発生し、超音速飛行が可能な中国版Mig-21　歼-7（J-7）に装備された。CompressorはLow Compressor2段、High Pressure 4段の計6段、Turbineは計2段、Combustorは10個のCanで構成されている。1963年に試作準備が沈阳航空発動機工場で開始され、組織の1/3の技術者を動員しまた沈阳航空发动机設計研究所も各種分析、試験の支援を行い入念な準備を行い、その結果ソ連元資料に1097項目にわたる不具合を確認し修正を行った。GH46高温合金を初めとする多数の新合金の製造にも成功し1965年初頭試作開始し、10月に第1号Engineが完成、1966年12月生産開始となる。このEngineでは製造技術と原材料技術が融合し全ての部品の製造が国内で賄えるようになり、中国にとって新たなステップへ進んだことになった。1970年には贵州航空発動機工場で生産が行われることとなる。

　　　　　　　　　　　　　　　

Fig 24

　　　　　　　　　　　　　　　

Fig　25

歼-７（J-7）の高高度飛行性能を高め、高速、上昇率の向上を図った歼-8（J-8）の計画が進められ、当初は大出力のEngineを開発し1台搭載する案もあったがリスクが高すぎるためWP-7の推力を増加した涡喷-7甲　WP-7A を開発することとなった。涡喷-7甲　WP-7Aは中国独自設計のJet Engineと位置づけられ推力増加のためTurbine入り口温度の上昇が必要であり、高温材料の開発、新たなTurbine Blade　Cooling技術の開発が必要となった。Turbine Blade Coolingはその当時採用しているEngineも少数で最高機密に属する技術であった。中国科学院沈阳金属研究所、航空材料研究所、航空工業研究所、冶金鋼鉄研究所が共同でTurbine Bladeの開発を行い、1966年1月Cooling Holeを9個備えた鍛造で製造されたBladeが完成、1966年4月12日沈阳航空発動機工場で涡喷-7甲　WP-7A の運転に成功し、推力はWP-7に比較し12.8%増加した。また1966年9月Cooling Holeを3個備えた鋳造で製造されたBladeが完成、1966年12月運転に成功した。鋳造Bladeの方がCooling Holeも少なく構造も丈夫なため正式採用され1969年7月涡喷-7甲　WP-7A を装備した歼-8（J-8）は初飛行を行う。歼-8（J-8）は単発のMig-21を双発Engineにした機体で後期型はMig-21特有の機首のAir Intakeが機体横側の2つのAir Intakeに取って代わった。

その後贵州航空発動機工場ではAfter BurnerのCoolingの改善、高温軸受、耐高温合成オイル、その合成オイルに応じたSealを採用し推力がWP-7Aに対し6.1%増加したWP-7Bを1978年に完成させた。After BurnerのCoolingのさらなる改善を行い使用時間を100時間から200時間に延長したWP-7乙Bを1981年に完成させた。

上海航宇科普中心　WP-７A 実物詳細

WP-8

涡喷-8 WP-8はソ連のРД-3M（AM-3）を基礎にして製造された2軸式のJet Engineで重量3100�s、直径1.4m、19000lbの推力を発生し、中国版Tu-16　轟炸六型(H-6)に装備された。Engine自体が大きいため1台のWP-8を生産するため高級合金15ｔ、非鉄金属9.5tおよび高圧水圧鍛造工作機械が必要であり同種のEngineを生産できる国は1950年代まだ少数であった。1958年に計画は開始されるが中ソ対立のため1961年一時的に試作が停止、1967年四安航空発動機工場で完成した。

回りの人物と比較し、当時としては大きなEngineであることが分かる。

Fig 26 WP-8　［9］

このH-6はFlying Testbedとして使用されているため胴体下部に被試験EngineのPodを見ることが出来る。

Fig 27　WP-8を装備したH-6　［9］

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参考Web/資料

［1］中国涡喷系列

［2］『台湾』10月31日10点31分歼31 全球首张清晰歼31腾空震撼大图！！！

［3］WP5 First Turbojet Engine

［4］Klimov VK-1

［6］中国航空史　大象出版社

［7］中国航空　北京航空航天大学出版社

［8］55 ЛЕТ ПЕРВОМУ В СССР КРУПНОСЕРИЙНОМУ ТУРБОРЕАКТИВНОМУ ДВИГАТЕЛЮ

［9］当代中国的航空工業　中国科学社会出版

［10］中国涡喷系列　涡喷 -6 （ WP-6 ）

［11］ WP-6涡喷六发动机