![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/93/477295a579b829b409ff44d38f55b3e4.jpg)
(写真は、須賀川を訪れたときの芭蕉と曽良)
前回の「白河の関」に続き、今回は「須賀川」です。
芭蕉は、 白河の関を越えた2日後に、「須賀川宿」に入ります。
芭蕉は、ここ「須賀川」で、「相楽等躬」(さがら とうきゅう)を訪ねますが、等躬から大いに歓迎されたこともあり、須賀川に7泊もしています。
当時の須賀川は、奥州街道の宿場町で、宿場としての問屋などの機能はもちろん、この地方の
タバコを集荷する商人などが集まり活況を呈していました。
芭蕉が須賀川を訪れた頃は、こうした繁栄の中で、等躬らの俳諧をはじめとする文化が開花
していました。
芭蕉が、等躬宅に着くと、直ぐに、等躬に「白河の関越えでは、どんな句をお詠みになったのですか」と尋ねられます。
「長い道のりを旅してきて、身も心も疲れ、白河での詩人たちの感慨が身に沁み、俳句を詠むまでに思いが巡りませんでした。」と前置きして詠みました。![](m_0199.gif)
”風流の 初めや奥の 田植うた”
(白河の関を越えたら聞こえてきた陸奥の田植え歌、それが奥州路に入って風流の最初のものだ。)
(注)相楽等躬
本名を相楽伊左衛門といい、中世の白河領主・結城氏の子孫で、須賀川の代官の家柄でした。
等躬は、問屋の仕事をしながら、その商業活動のために、江戸へ度々出かけていました。
その間に、江戸での俳諧活動に参加し、芭蕉とも交流がありました。
その後の等躬は、奥州俳壇の宗匠の地位にあり、芭蕉に多くの情報を提供して、
芭蕉の「みちのく歌枕の地」探訪の旅を助けました。
次に、芭蕉は、等躬の友人で等躬宅の近くに庵を結んでいた隠世の僧「可伸(かしん)」を訪ねます。
町の片隅でひっそりと暮らすこの僧に芭蕉は心惹かれ、その心境に感じ入って句を詠みます。
”世の人が 見つけぬ花や 軒の栗”
(西方浄土にゆかりあるという栗の花は、これといって人の目を引くところはないが、それは世俗を
捨てて、ひっそりと暮らす主人の人柄そのものだ。)![](m_0140.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/fa/7f6661b3b681dd7fe35d779d51a18c36.jpg)
我々のパック旅行のバスは、福島県の「須賀川」に到着しました。![](cars_train.gif)
須賀川は、中世には、二階堂氏が支配していましたが、伊達氏に滅ぼされました。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0211.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/7b/9be4be7755d114f0932b008865785443.jpg)
二階堂氏が支配していた時代の須賀川城の本丸跡には、写真の二階堂神社がありました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/de/d68579ec2d46de2092968e6fb3811988.jpg)
須賀川の町自体が、須賀川城を破壊して作られたそうで、現在は、お城の痕跡は何もありません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0211.gif)
江戸時代に入ると、須賀川には代官が置かれ、城下町というよりも、宿場町、町人町として栄え
ました。
町の中心部にあったという、芭蕉が宿泊した当時の「等躬宅」は現在は残っていませんが、
等躬の菩提寺の「長松院」に等躬の墓があります。
ツアーバスは、先ず、等躬の墓があるという下の写真の「長松院」へ向かいます。![](cars_train.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/1c/ae09a2473e95baa0ef94a2195d7c2c73.jpg)
入口の大きな石柱から入って行くと、本堂の左手に、下の写真の等躬の句碑がありました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/d8/16893dfeb52e0f32bbf5293dfd9646bd.jpg)
”あの辺は つくばね山哉 炭けふり” (等躬)
(等躬が知遇を受けていた磐城平藩主を訪ねた際に、炭焼きの煙が盛んに立っているのを
目にして、あの辺りが筑波山かな、と詠んだ句だそうです。)
案内に沿って本堂の裏手に向かいます。
本堂の裏手には、写真の真新しい巨大なピラミッド型の墓(?)がありました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/7b/aadcb0c6c6648ea6c52f2d64894befe1.jpg)
その巨大なピラミッドの裏手に、相楽家の代々の墓が並び、その中に下の写真の「相良等躬の墓」がありました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/77/2a67b89a6cbc7e33c6d44de3c62fda5e.jpg)
バスツアーは、長松院を出て、「十念寺」へ向かいます。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/body_walk.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/4c/3111f91b3a571025692b61e1a249ee33.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/8d/82b249b1a0a3e7f64b2e81a762ca362b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/24/2d3b46134532268656e293697d4ab5cf.jpg)
(”風流の 初めや奥の 田植うた”)(句意については、上記の「奥の細道の旅・ハンドブック」の
等躬宅についての記述をご参照)
十念寺の境内には、上の写真の「芭蕉の句碑」があり、その左手に下の写真の「市原多代女
(たよめ)」の辞世の句碑がありました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/ec/108ebf671e4aa0b89741b9bb3740766c.jpg)
”終に行く 道はいづくぞ 花の宴”
多代女は、須賀川出身の江戸末期女流俳人で、芭蕉の句碑はこの多代女によって建立された
そうです。
バスツアーは、十念寺を出て、「可伸庵」(かしんあん)跡へ向かいます。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/body_walk.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/b0/c71f96e692a93c91306098c62f044f51.jpg)
可伸庵は、NTT須賀川の裏手の狭い路地にあり、小さな休憩所と栗の木と芭蕉の句碑があり
ました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/4f/2eedb1dce90c97504dd39b0487c16c31.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/99/79666bfe74e24096ef587d7195599661.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/66/44a1c865631cdc17a255489fcbac12cc.jpg)
”世の人が 見つけぬ花や 軒の栗”
(句意については、上記の「奥の細道の旅・ハンドブック」の可伸庵についての記述をご参照)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/07/c54e4465f6bb9e68a1b6c033c44e1fb6.jpg)
可伸庵から須賀川のメインストリートに出ると、芭蕉逗留300年を記念して建てられたという
上の写真の「芭蕉記念館」がありました。
芭蕉関連の掛け軸を展示し、奥の細道の放映を行っていました。
須賀川を発った芭蕉は、途中、「石河の滝(乙字が滝)」に立ち寄ってから郡山へ向かっています。
我々のバスツアーも、石河の滝に立ち寄ります。![](cars_train.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/af/f8a7c9de308cbc135dec33eacc5bce73.jpg)
バスを下りて、細い道を進むと、階段の下に「滝見不動堂」が見え、滝の音が響いて聞こえます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/26/41ef70a4f3c7dc1d510e0c1a031f6992.jpg)
滝見不動堂の右手に、「石河の滝(乙字が滝)」が見えました。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cat_4.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/c2/9b34e3e06ca72d2d046ff02921e8270c.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/ef/84beef67372a02f8172d0b690e675b9c.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/7d/ae69ae078210bbfc8e0c69d82afb47c6.jpg)
滝見不動堂の脇の杉木立の中に、写真の芭蕉と曽良の像と芭蕉句碑がありました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/46/1890c347ca4558a1478eaef7f70c9065.jpg)
”五月雨(さみだれ)は 滝降り(ふり)うづむ みかさ哉”
(この五月雨の降り方では、さぞや石河の滝は、水嵩に耐えかねて埋まったようになっていること
であろう。水嵩(みかさ)は、”みずかさ”つまり水量のこと。)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/a0/b42e52fe467c22dc21672570ba338f40.jpg)
|
![]() |