声ノーモア・ミナマタ訴訟弁護団



2008年12月19日「与党PTのチッソ分社化容認に対する抗議声明」
2006年10月25日「提訴1周年における声明」
2006年9月1日「緊急声明」
2006年8月27日「司法救済制度による正当な解決を求める声明」
2006年8月11日「声明」
2006年6月11日「司法救済制度による正当な解決を求める声明」
2006年4月17日「声明」
2005年10月3日「声明」


声   明

 本年は,水俣病公式確認から50年目に当たります。しかし,救済を受けないまま放置されている被害者が多数存在しています。私たちは,本日,現地調査を行い,このことを再確認しました。

 一昨年10月に言い渡された最高裁判所・水俣病関西訴訟判決後,4300人を超える人が認定申請をしています。しかし,環境省は,認定基準を改めようとしていません。認定審査会は委員の選任ができず,未だに再開されていません。

 最近になり熊本県は,平成7年の政府解決策による解決を提案しました。しかし,平成7年の政府解決策は,国,熊本県の責任を前提としておらず,患者を水俣病と認めないもので,補償内容も不十分です。最高裁判決により司法判断が確定した以上,これを踏まえて解決がなされるべきです。

 水俣病の歴史は,被害を無いものにしようと画策する加害者側と,これに抗する患者側の激しい闘いの歴史でした。行政は,患者側に立つのではなく,むしろ患者の前に立ちはだかり,正しい救済を妨げてきました。行政は,幕引きのための場当たり的な施策を行い,水俣病を終わりにしようとしてきました。しかし,場当たり的な施策では,全面的解決を図ることはできなかったのです。

 行政は,失敗の歴史を真摯に反省すべきです。環境省は,司法判断を尊重して認定基準を全面的に改めるべきです。行政は,不知火海沿岸の全ての住民の健康調査を実施すべきです。

 昨年10月以降,1100人を超える被害者がチッソ,国,熊本県に対し損害賠償を求め,熊本地方裁判所に提訴しました。私たちは,水俣病患者の権利を正当に認めてきた司法の場こそ,全面解決を図るに相応しい場であると確信します。司法の場で,司法救済制度による早期救済が実現することを強く望みます。

 私たちは,公害の根絶と環境保全のためには,公害の原点といわれる水俣病問題の解決が不可欠だと考えます。

 私たちは,ノーモア・ミナマタを合い言葉に,全ての水俣病被害者が救済されるまで,ともに闘っていく決意です。国民の皆様のご理解,ご支援を心よりお願いする次第です。

                            2006年8月27日            

                 水俣病現地調査実行委員会