声ノーモア・ミナマタ訴訟弁護団

提訴1周年における声明

 私たちは,昨年10月3日,チッソ,国,熊本県に対し損害賠償を求め,熊本地方裁判所にノーモア・ミナマタ国賠訴訟を提起し,さらに第6陣まで追加提訴しました。提訴から1周年を経過した現在,1100名を優に超える原告が裁判に立ち上がっています。

 私たちは,本日,はじめて熊本市内において開かれ参加者が500名を超えたこの提訴1周年集会において,水俣病の全面的な解決を図るためには司法救済制度の確立を目指す他に途はないことを,改めて確認しました。

 一昨年10月に言い渡された水俣病関西訴訟最高裁判決後も国は認定基準を見直しませんでした。その結果,認定審査会は委員の選任ができず,未だに開催されていません。環境省が導入した新保健手帳の制度は,水俣病とは認めないままに医療費の補助だけで終わらせようとするものであり,全く不十分なものでした。水俣病患者は,訴訟するほかに救済を受ける途はなかったのです。

 また,熊本県の提案している第二の政治解決策が極めて不十分なものであることは,私たちが今年6月11日の1000人集会でも確認したとおりです。

 先月には,環境大臣が設置した「水俣病問題に係る懇談会」による提言が発表されました。この提言は,環境省のこれまでの水俣病対策が不十分であったことを批判し,今後は恒久的な対策が必要であることを厳しく指摘するものです。

 私たちが求める司法救済制度による正当な解決とは,まさに水俣病患者の恒久的な救済を確立するものに他なりません。つまり,司法救済制度とは,チッソ,国,熊本県の責任を明確にし,原告らを水俣病患者と認めたうえでの,正当な救済内容すなわち損害の賠償,医療費・療養手当の支給を,裁判所での手続を利用して次々に勝ち取っていくというものです。

 私たちは,憲法上公正な紛争解決機関と位置付けられ,水俣病患者の権利を正当に認めてきた司法の場こそ,全面解決を図るに相応しい場であると確信します。
 今度こそ,全面的な解決を図らなければなりません。
 私たちは,あくまでも司法救済制度による正当な解決を求めて断固闘っていく決意です。

 私たちは,「全ての水俣病患者の救済なしにノーモア・ミナマタはない」ことを強く訴えます。

 国民の皆様のご理解とご支援を心よりお願いします。

                            2006年10月25日            

                   水俣病不知火患者会

ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟原告団

ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟弁護団