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『雨に濡れた欲情』(Miss Sadie Thompson)['53] | |||||
監督 カーティス・バーンハート
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四ヶ月ほど前に『コルドラへの道』['59]で、初めてリタ・ヘイワースを映画で観て、確かに魅力はあるにしても、これがマリリン・モンローに先立つセックス・シンボルとして戦時下において兵士たちを奮い立たせた女優かと訝しんでいたら、貸してくれたものだ。 太平洋戦争後も間もない南の島の浜辺で寛ぐ四人の兵士たちで幕開けた本作では、セクシーで子供好きで♪悪い事は見ざる言わざる聞かざるよ♪と唄も歌うショーガールのセイディを演じていて、後年の『バス停留所』['56]でのマリリン・モンローを想起させることに驚いた。 リタが演じた刑事事件で追われる過去を持つセイディは、マリリンの演じたシェリーのような天真爛漫さに欠けていたが、荒くれ兵士を率いるオハラ軍曹(アルド・レイ)のみならず、「私は生涯をかけて堕落と戦っています。悪を見分ける目はある」と嘯く道徳主義者の民間人実力者デイヴィッドソン(ホセ・ファーラー)を惑わせ、魅了していた。 前日に観たばかりの『ブルックリンでオペラを』['23]で始末に悪い金科玉条男だったトレイ(ブライアン・ダーシー・ジェームズ)と重なって映るデイヴィッドソンの人物造形が目を惹き、あろうことか彼の説教がオハラに落胆したセイディの心を捉え、彼女の逃避行を悔悛させる運びにすっかり驚いていたら、マクフェイル医師(ラッセル・コリンズ)が看破していた「頑迷な者は自らの強迫観念の対象を攻撃する」との言葉通りデイヴィッドソンが馬脚を現し、手中に収めたと勘違いして迫ったセイディに拒絶されて自分を失っていた。結局のところ、作品タイトルのミス・セイディ・トンプソンとは何者だったのだろう。セイディが「シカタガナイ」という日本語を使っていたことが印象深い。 女優としてのリタは『コルドラへの道』とは見違えるように感じたから、特典動画として収められていた出演作予告編にあった『上海から来た女』と『ギルダ』を観てみたくなった。それにしても、本作に『雨に濡れた欲情』などという邦題をつけた頓珍漢ぶりには恐れ入った。 推薦テクスト:「やっぱり映画がえいがねぇ!」より https://www.facebook.com/katsuji.yagi/posts/pfbid0t5aauFWf4hJXfm6C2DYho JNYHPwgqKHdwwY6SiMfywKkFRYnHANhw7hTibmMGx4ol | |||||
by ヤマ '24. 9.21. DVD観賞 | |||||
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