髙木陽光　ocarina

　　オカリーナの原型は古く、紀元前からあったとされています。現在のような西洋音階を持つ陶器の笛としてまとまったのは1850年代で、イタリア、Budrio（ブードリオ村）のGiuseppe Donati（ジョゼッペ・ドナーティ）という人によって作られました。そのため、日本ではオカリナと短く発音しますが、イタリア語ではオカリーナに近い発音になります。
　1928年にはレル民族楽器研究所が、12穴オカリーナを完成させ、世界的に愛用されるようになりました。現在は、日本のオカリーナで13穴のものもあります。
　以上述べてきたものは単管式ですが、現在はそれだけではなく、２管式のダブル・オカリーナ（2オクターブちょっとの音域）や３管式のトリプル・オカリーナ（約3オクターブの音域）等も作成されており、広い音域が必要な楽曲等で、私も使用しています。
　オカリーナには、イタリア式の舟型とは別に、イギリス式の円形のものもあり、こちらは指穴が約６つほどと、イタリア式より少なく、指穴の組み合わせによって演奏が出来るようになっていて、半音階も出ます。
　さらにお土産屋等で見られる民族系オカリーナもあり、こうした楽器は西洋音階が出ないものがほとんどですが、その地域の音階になっていたり、特殊な演奏方法により、西洋音楽を演奏することも可能です。
　さらに素材も土だけではなく、紙や木、竹、プラスチック等があります。

　オカリーナ教室を担当して、10数年程経ちますが、小学生から70歳を超える方々まで幅広く指導してきました。その中で感じた事は、適切な指導の下であれば、年齢や音楽経験に応じて、無理なく楽しめるということです。
　オカリーナは、吹けばとりあえず音が出るため、尺八等の音がなかなか出ない楽器に比べ、初心者にとって演奏しやすく感じ、モチベーションを持続させやすいからです。すぐに良い音が出るわけではありませんが、楽器がそれぞれの方々のレベルに応じて楽しませてくれるのです。また単管は、音域も狭いため、覚える運指も少なくてすみます。
　また最近は、健康がブームになっています。オカリーナは健康を維持するためにも利用されています。
　音楽を演奏する事や譜面を見て指を動かすこと自体が、脳の活性化につながり、日常生活ではあまり行われない深呼吸を適度に行うことが健康に良いということは、呼吸法や医学書などで周知のことです。
　健康ブームのため、TV等でかぎ指健康法や呼吸法が紹介されましたが、習慣として長続きしている人はどれぐらいいるでしょうか？
　クラスには、音楽が好きだ、オカリーナが好きだといった音楽的な事から、脳の活性化や心肺機能の強化などの身体的なことまで、幅広い目的をもって参加されている方々がいます。
　クラスでは、ちょっとしたことで息切れしなくなった、楽しくてしょうがないなど、音楽であるがゆえに、良い習慣が無理なく続けられ、気がつくと文化人にもなっているという、工夫次第で一石二鳥以上になります。