日々のエッセイ   

 プールバッグを抱えた子どもたちの姿を、よく見掛けます。
 いよいよ、夏ですね。 水と遊ぶ機会など、大人になると
 ぐんと減りますが、プールに潜って水面を見上げたら、きっと
 こんな感じ? 

                    
  これは本物のプールではなく、金沢21世紀美術館のアート作品で、
 地下の部屋がプール内部に模して作られているのです。これなら、
 泳げない人だって、涼しい水中気分を味わえますね。

 デパートの一角で、ケーキのデコレーション・コンテストをやって
 いました。マジパンなどを使い、ケーキの上で楽しい物語世界が
 展開されていました。記念日にこんなケーキでお祝い、なんて
 いうのも、忘れられないイベントになりそうですね。でも、
 食べてしまうより、ずっと飾っておきたいケーキだから、食いしん坊
 には向かないかも?

                  
 
     先月末に開かれたギャラリーウシンでの、物語の展覧会も、
   無事に終了いたしました。物語の好きな方、地元の方、
   久しぶりに会う方、たくさんの方たちにお目にかかれて
   嬉しかったです。ありがとうございました。
 




 


  展覧会の内容は、
  こちらをクリック










  
  下の写真は、ちょっと見難いのですが、瓶の中に船の模型が入った
 “ボトルシップ”です。


                  
  習志野市(千葉県)のショッピングセンターに飾ってあったのですが、
 第一次世界大戦の時に、東習志野の収容所にいたドイツ兵捕虜が、
 収容所に野菜を届けに来ていた八百屋さんと親しくなり、その
 八百屋さんにプレゼントしたものらしいです。
 どこにでもある瓶の中に、細い棒や板を使って、精巧な大型船が
 組み立てられ、背景には港町の家並みまで、色鮮やかに作られて
 います。 これを作るのに、いったいどれだけの時間がかかったの
 でしょう? 何かに集中して、戦争の痛み、家族への想いを忘れよう
 としていた兵隊さんの姿が、瓶を通して映し出されるような思いです。

 
 夏休み、といえば、読書感想文の宿題がありますね。
 『夜の学校』(文研出版)は、
   第23回全国読書作文コンクール(全国学習塾
 協会・主催)の対象図書になっています。
 その他、県別の課題図書になっている地域
 (北海道・岩手・山梨千葉・埼玉など)もあります
 ので、「何を読もうかなぁ?」と迷っていたら、
 ぜひ、夏休みの思い出に、手に取ってみて
 くださいね。


  
 
 子どもの頃、本屋さんで見掛けた本で、読みたいと思いながら、
 買う機会を逃してしまった一冊に、先日、図書館で再会しました。
 ドイツの児童文学作家・ゲープハルトの『どこからかきた少女』(岩波
 書店)です。懐かしくて、借りてきました。 子どもの頃の本選びは、
 タイトルと表紙の絵が大きなポイントになっていましたっけ。
 堀内誠一さんが描く(もちろん当時は、画家さんの名前など知らな
 かったのですが)少女は、憂い顔で何かしら秘密を抱えている様子。
 表紙全体が黒っぽい中、少女の緑のワンピースが強い印象を残して
 いました。 読んでみたら、期待どおり、謎めいていて、夢のような
 お話でした。 厚い雲のたちこめたような挿絵でありながら、物語の
 季節が“夏休み”真っ盛りだったのが、意外でしたが。

                      
 街の子どもたちが遊ぶ小さな通りの、街灯の下に、いつのまにか
 やって来て、そこに一日じゅう座っている女の子。古ぼけた緑の
 ワンピースを着て、つまらなさそうに、じっとしている。街の子ども
 たちが話しかけても、ほとんど返事をせず、何も見えないような
 顔で、ただ座っている。 彼女は誰なのか、どこから来たのか、
 何を待っているのか・・・、
 子どもたちは空想を膨らませ、彼女を
 魔法使いやら、王様の娘だと噂し始める。
  とにかく不思議な魅力のある少女で、事実が少しずつ見えて
 きても、幻想のほうが本当の事のように思える人物なのです。
  街の子どもたちは、彼女を
スターのごとく崇めておきながら、
 生活のかけらが見えたとたん、奈落につき落とします。
世間って、
 そういう残酷なところがありますよね。
  少女を救ったのは、少女に恋する年長の少年。彼のさりげない、
 だけど最善の行いは、街の子どもたちを巻き込み、少女を再び、
 人気者に戻すのです。 ラストの、少女が消えた街灯の描写が、
 しんみりした余韻を残します。

                   
                      
  これは、誰かのセカンドハウス?
  よく見るとわかりますが、大きな樽で出来た家です。公園の
  片隅に建っていて、シンプルな構造が涼しげ。木の香りがするし、
  日陰にもなっていて、夏の遊び場にうってつけです。要らなく
  なった樽を使うのだから、リユース運動の一環にもなるし。


こちらも別の公園に立っていた
夏らしい様子のオブジェ(?)です。
ちゃんと麦わら帽をかぶっています。
今年の夏は暑そうなので、
帽子をかぶって遊びましょう。



    キラキラした思い出、
    見つかる夏になりますように。



       2013年  7月


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