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臨床心理学という心理主義への批判




 札幌・江別の「のっぽろカウンセリング研究室」です。心理主義とは何か? 大雑把に言うと、フッサールの頃は物事を何らかの心的作用として把握しようとする態度のことでした。いまは(たとえば)不適応の問題をすべて心の問題に還元して、心を囲い込もうとする考え方のことを、批判的に言い表す表現のようです。

 私たちの職業であるカウンセリングは心理主義の最たるものである、社会の問題であるはずのものが心の問題にすり替えられてしまった、そんな心の専門家などいらない、と言うのが心理主義批判の論理であるような気がします。

 考えてみましょう。確かに私たちのなかには、心的現実のみ扱う立場があります。精神内の出来事のみ取り上げて分析するのです。その意味で言えば、臨床心理に対する心理主義批判は的を射ているのでしょう。

 また、心理主義批判には、プロフェッショナリズムへの批判も含まれるようです。大事なのは専門家然とした態度とは異なる、日常的な援助こそが大切なのだと言うわけです。なるほど、悩みを抱える人の周囲にいる人間の援助こそ大切なわけですし、大学教育を受けたカウンセリングの専門家だけでなく、短期的な講習を受けてカウンセラーとして自律する方々も決して少なくありませんから、その意味で、なるほどその通りであると思います。

 ここからは私の考えです。私も、いわゆる心理主義には批判的な考えをもつ人間です。心の問題として精神内に囲い込むのではなく、肉体的・社会的・文化的な視点も含めて、精神内と精神間の絡み合いとして、人間の営みを捉えて行く必要があるでしょう。心理を超えて、社会や文化へと通じる視点です(生理・心理・社会モデルと言う医学モデルのことではありません)。さらに、専門家づら(プロフェッショナリズム)への批判も同感です。なぜならば、カウンセリングのディレッタントでありながら、素晴らしい実践を行う人たちを多数知っているからです。

 アンチ臨床心理、つまり心理主義批判の方々と類似する意見をもつ私は、いま大学で教育にたずさわっております。これは大いなる矛盾です。私としては、教え子のなかからクライエントにとってよき心理臨床家が育つことを、ただ、ただ、ひたすら願いつつ、毎日を生きて行くことだけです。札幌・江別の「のっぽろカウンセリング研究室」でした。



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