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| 『ウンタマギルー』['89] | |||||
| 監督・脚本 高嶺剛
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| 三十六年前に自分たちで上映しながら、あいにく観る機会を逃していた宿題映画だ。照屋林助たちが家地でウチナーグチの風刺歌を奏でるアバンタイトルから、頭を槍に貫かれた男が浜辺を歩くタイトルバックに続く、素晴らしい導入部を観ながら、これは『祭りの準備』['75]に匹敵する土着性を宿した傑作かもしれないと思っていると、タマミ(桂木梨江)の行水を想起させるマレー(青山知可子)の行水シーンが出て来て、吃驚してしまった。 1ドルが80円を切ったピーク時には及ばないまでも円高基調が続いていた時期の作品ながら、どうも同時代ではなさそうに思いながら観ていたら、沖縄の日本への復帰前夜の時代設定だった。本土復帰とは言わず日本復帰と言っていた。沖縄返還の翌年に円が変動相場制に移行して、1ドル360円から一気に100円ほど円高に振れ、さらに1ドル200円を切った二十歳のときに僕は三週間の欧州旅行をしたのだった。 復帰派と独立派とに分かれていた激動の時代を描いていて、義賊となったギルーに昨秋観た『宝島』['25]のオン(永山瑛太)のことを思い出した。ウンタマギルーというのは、運玉森に潜んだ島尻ギルー(小林薫)のことだった。 後半、妙に失速を感じて『祭りの準備』には及ばない気がしたものの、豚の化身を演じた青山知可子に観惚れてしまった。異界と現実世界が地続きになっているような神秘と不思議の土地柄の魅力をまさに体現しているような佇まいだったように思う。キジムナー(宮里栄弘)の空手踊りに瞠目し、ウチナーグチで歌う♪インターナショナル♪に恐れ入り、片金玉のアンダクェー(エディ)に笑った。 | |||||
| by ヤマ '26. 4. 6. WOWOWシネマ録画 | |||||
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