『サヨナラの引力』(Once We Were Us)['25]
『トイ・ストーリー5(吹替版)』(Toy Story 5)['26]
監督 キム・ドヨン
監督 アンドリュー・スタントン

 午前中に観た『サヨナラの引力』は、折しもいわゆる回顧に耽っていたところでタイトルに惹かれて観てみたところ、思いのほか悪くない観心地だった。今更ながらに映画マーケットが女性中心になっているのは、日本のみならず、世界的な現象だなと改めて思わされる仕立てが施されていたように思う。

 色褪せない2008年の長距離バスのなかでの出会いの日々から、二人が別れて十年(チラシ裏面の記載による)が経つ2024年の“色彩を失くしている現在”の機内での再会が交互に描かれる。通常、過去の回想場面がモノクロで、現在がカラーになるのとは、逆転しているところが目を惹く。そのせいか、モノクロの2024年が色彩を取り戻すのは、いつだろうかと思いながら観ていたら、どうやらそういう趣向ではなさそうだと思ったところで現れ、意表を突かれた。だが、そこまで引っ張るのなら、シンドラーのリスト['93]の少女の服のごとくゲームのなかだけにしておいたほうが良くはなかったか?と思った。他方で、ムン・ガヨンの演じたジョンウォンの造形がなかなか好かった。


 夜になって観た『トイ・ストーリー5』は、シリーズもののなかでも、取り分けアニメーション映画のシリーズものを好まない僕においては例外中の例外で、シリーズ全作を劇場公開時に観ている映画だ。'96年【高知松竹】、'00年【松竹ピカデリー3】、'10年【TOHOシネマズ3】、そして、'19年【TOHOシネマズ6】。第一作からだと三十年になる。先ごろ観たプラダを着た悪魔2免許返納!?と違って、キャストが年を取るわけではないが、キャラクターが経年の波に洗われるなか時代にそぐわなくなってくる可能性はあるように思う。

 それも考慮に入れてなのか、前作トイ・ストーリー4から七年になる本作は、ウッディ【声:唐沢寿明】&バズ【声:所ジョージ】の物語ではなく、ジェシー【声:日下由美】&ボニー【声:天野叶愛】が主軸を担う物語であった。同日に観た『サヨナラの引力』でも想起した女性市場への目配せを強く感じたのだが、それ以上に、頻りと凝らされていたように感じるポリティカル・コレクトネスが少々鬱陶しく感じられる部分のほうが強かったように思う。そして、遊びを通じて想像力を育むはずだった玩具が、創造力ではなく受動性と処理能力に長けたハイテク玩具に取って代わられ、玩具遊びの本質が変容しつつある状況を炙り出していたように思う。いずれにしても「映画は時代を映す鏡だ」との持論を再認識させてくれるカップリング観賞となった。
by ヤマ

'26. 8.11. キネマM & TOHOシネマズ5



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