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| 『同胞』['75] | |||||
| 監督 山田洋次 | |||||
| 先ごろ『故郷』['72]を観たので、十二年前に観た『家族』['70]と併せて家族三部作とも呼ばれているらしい本作を観ることにしたものだ。 故郷の次は、♪ふるさと~、ふるさと~♪で始まり終わる作品だった。『故郷』が石船による埋め立て作業を目撃して着想した物語ではないかと感じられたように本作は、地元青年会(当地では「青年団」と呼ぶ)による統一劇場のミュージカル公演の取組形式を知ったことから着想された物語のように感じた。いずれも、男はつらいよシリーズで地方ロケをするなかで目撃した光景のような気がする。 ふるさときゃらばんの公演は、ちょうど三十年前に『男のロマン女のフマン』を観たことがあるが、その元となった統一劇場の公演を観たことはない。このときの主催は、RKC高知放送と劇団ふるさときゃらばんの連名となっていた。1995年には既に青年団活動は、70年代のようにはいかなくなっていたのだろう。それはともかく、統一劇場の公演料が65万円ということに驚いた。1975年なら、僕が高校三年生の時分だ。まだ、観劇を趣味にするに至っておらず、観劇料金が如何ほどだったか判らないが、映画料金は一般前売り800円(当日1000円)だったから、本作での観劇料金とほぼ同じということになる。いくら学校の体育館公演とはいえ、3幕11場の生演奏によるミュージカル公演をわずか65万円で打てるとは驚くほかなかった。 だが、当の統一劇場が出演しているのだから、この公演料に間違いないのだろう。風俗的なところでは、東京に出た佳代子(市毛良枝)がananを腕に挟んでいたのが目を惹いた。翌年に東京に出た僕には、かなり懐かしい光景が垣間見られた。 劇団の組織部員として岩手の人口7500人1700戸の松尾村での公演をオルグする河野秀子を演じた三十路半ばの倍賞千恵子も、青年会会長を演じた二十代後半の寺尾聰も、なかなか好演だったように思うけれども、ちょっと素直に観られない部分も感じないではなかった。 | |||||
| by ヤマ '25.12.21. BS松竹東急よる8銀座シネマ録画 | |||||
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