首領Yが「Beost」と呼んでいるクルマです。わりとインチキなBe-1です。
■Be-1スーパーターボについて
Be-1の車体にマーチスーパーターボのエンジンを載せ代えたクルマ。
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<概要>
■Be-1について
昭和62年から63年までの2年間、限定1万台で生産された日産パイクカーシリーズ第一弾。
もともとはモーターショーで参考出展されたコンセプトカーであったが、その斬新さと懐かしさが融合したスタイリングと手軽でありながらも存在感のあるイメージが評価され、限定車として生産された。
ベースには初代マーチ(K10型)を用い、エンジンはノンターボ仕様のマーチをエンジンをそのまま流用する一方、ボディは部分的に樹脂パネルを採用するなど、ショーカーにほぼ忠実な内外装で市販された。
カラーバリエーションは発表当初は黄色、白、赤、青の4色で、ノーマルルーフとキャンパストップの2車種を用意。ミッションは5速マニュアルと3速オートマを用意した。
販売価格はパワステ/エアコン/カーステ無しのノーマルルーフで5MT/129.3万円であり、これは当時のマーチコレット(ほぼ同一装備のマーチ)の81.8万円に比べ割高であったが、発表と同時に注文が殺到し、約2ヶ月で完売となった。
また、月生産台数は当初400台であった(のちに600台に増産)ため、流通市場ではプレミアが付き、一時は300万円を越える価格で売買されるなど、その人気はとどまるどころか拍車をかけることとなった。
また、若い女性や若年層に支持されたBe-1は、Tシャツ、パーカー、バッグ、時計、財布といったグッズも販売され、青山には「Be-1ショップ」が開店、その知名度を一気に広げることとなった。
■マーチ・スーパーターボについて
平成元年にデビューしたマーチのホットモデル。 それまでマーチには「マーチターボ」というスポーティーモデルがラインナップされていたが、日産が国内ラリー向けに販売していた「マーチR」を流用する形で「マーチターボ」より更にスパルタンなモデルとして販売を開始した。
マーチスーパーターボは、その名前のとおり、「スーパーチャージャー」と「ターボチャージャー」のツインチャージャーエンジンであるMA09ERTを搭載している。
このエンジンは国内ラリーのBクラス(1600cc未満)に参戦すべく開発されたエンジンで、当時のレギュレーション(規定)でツインチャージャー搭載エンジンの排気量変換が1.7倍であったため、もともとの4気筒987ccエンジンをボアダウン(内径を細くする)して排気量を930ccとしている。(930cc×1.7=1581cc であるため、Bクラスとなる)
マーチスーパーターボは競技用というわけではないため、競技用車であるマーチRと異なった味付けをしている。
具体的には、ショックアブソーバ、スプリング、ギヤ比などであるが、これらを一般ユース向けにした反面、外観や内装などについては他のマーチと一線を画すスパルタンなものになっている。
(もともとマーチRはスーパーターボは後期型で、マーチRは中期型(外観や室内の品質が若干異なる)だったため比較しても始まらないが)
特にフロントフェイスは特徴的なデザインを採用しており、見るからにスパルタンなイメージを演出していた。
■Be-1へのMA09ERTエンジン換装
Be-1(E-BK10)は初代マーチ(E-K10)と基本コンポーネントを共用するパイクカーであるため、最初に搭載されているMA10エンジンからマーチスーパーターボ(E-EK10)に搭載されているMA09ERTエンジンを載せ換えた車体は結構多い。
エンジンのマウント部や基本的な構成は同じであるため、ある程度の知識と設備があれば可能であるものの、実際の載せ換えでは、エンジンルームがマーチより狭いことや、電装系(ハーネス類)、バキューム配管関係をそっくり入れ替える必要があり、結構やっかいである。
このため、実際に載せ換える場合、中途半端にエンジン&補器類を移植するのではなく、エンジンルーム内をそっくり交換するイメージでおこなうと良いようである。
Beostの場合、エンジン載せ換えにあたり、エンジン本体&補器類だけではなく、燃料タンクやマフラーも一緒に移植している。
また、トランスミッション、デフケースもエンジン載せ換えの一環として一緒に載せ換えるのだが、このとき、ドライブシャフトがMA10とMA09ERTで異なるため、ドライブシャフトと共にナックルアーム&フロントブレーキASSYも移植することになる。
早い話、エンジンを載せ換えるというより、スーパーターボ(マーチR)にBe-1の車体を差し替えるといった感じになるようだ。
また、MA09ERTはターボ&スーパーチャージャーのため、ボンネット下にインタークーラーがあり、スーパーターボ(マーチR)のボンネットにはフードバルジが装備されている。
このため、インタークーラーがBe-1のボンネットに干渉するため、Be-1のボンネットにインタークーラーを逃げる加工が必要になる。
Be-1スーパーターボの多くはボンネットにフードバルジを設置するか、あるいはインタークーラーの位置を変更するなどして、ボンネットとの干渉を避ける処理をしている。
■エンジン換装に伴う改造車検
MA10SエンジンからMA09ERTエンジンに載せ換えることにより、エンジン型式は当初の「MA10」から「MA09」に変更になり、このままでは車検に通らない。
このため、Be-1スーパーターボではエンジン載せ換えに伴う構造変更の申請が必要になる。
実際の申請では、「原動機(エンジン)」、「動力伝達装置(トランスミッション、デフケース、ドライブシャフト)」の2種類について一緒に構造変更申請をすることになる。
もっとも、マーチスーパーターボ(EK10)とBe-1(BK10)はどちらもマーチ(K10)の同系車種であるため、その旨を記載することで比較的簡単に申請書を作成することができる。
Beostでは2004年3月、改造申請の提出&受理され、無事、車検を取ることができた。
ちなみに、構造変更した車体の型式は従来の「E-BK10」から「E-BK10改」となる。