竜ヶ岳( りゅうがたけ)1099静ヶ岳(しずがたけ)1089m                        [鈴鹿] 

 

 石槫峠への林道(旧国道?)の入口が分からず、かなり行き過ぎてから引き返す。八風キャンプ場入口の反対側に小さな標識があり、峠への林道に入る。一車線の狭い道を5キロほど走ると石槫峠。
 駐車スペースは7台程の車で既にいっぱいで、バックして手前の路肩に止める。さすがはセブンマウンテン。3連休明けのウィークデイでも登山者が多い。

 竜ヶ岳に登るのは38年振りでほとんど初めてのようなもの。前回登ったホタガ谷コースは今は廃道になったらしい。

石榑峠

 

 峠からはいきなりの急登で、脚が攣りそうになる。8月以来の山行で、脚が登りに慣れていない。
 しばらく登ると、花崗岩が風化した白い砂礫に覆われた場所に出て、視界が開けて竜ヶ岳の山頂部分が見える。後から気が付いたが、左の尾根上に重ね岩が見えている。

白い砂礫の尾根

 

カマツカ?の実

 

重ね岩 (右手後方は日本コバ)

 

 重ね岩まで登ると南側の展望が開ける。今日は良く晴れていて、逆光で霞んでいるが釈迦ヶ岳、御在所岳、雨乞岳などが見渡せる。イブネ、銚子ヶ口あたりは平坦な山が重なり合っていて、判別できない。
 桑名の町を隔てて伊勢湾の海面も良く見える。

 

 

 重ね岩を過ぎると周りの木がだんだん疎らになり、背が低くなってくる。これも下山の時に気が付いたが、周りの木はシロヤシオのようだった。
 ほとんどの木は葉を落としてしまっているが、まだ青い葉を付けているものもある。時期的にはまだ紅葉していてもいいと思うのだが、傷んだ葉を付けたものがわずかにあるだけだ。原因はよくわからないが、今年の紅葉は良くないようだ。
 10月は残暑の上に雨が多かったのが良くなかったのだろうか。

稜線上のシロヤシオ

 

左手前が静ヶ岳、背後に御池岳、遠く伊吹山、右手に大きく藤原岳

 

 竜ヶ岳山頂に広がる笹原の一角に出ると、吹き付ける風が一層強くなる。笹に覆われた緑の山頂まで、波打つようななだらかな笹原の峰が続く。
 今まで見えなかった北側の展望が開けて、お隣の静ヶ岳、その向こうに軍艦のような御池岳、幅広い藤原岳、そして御池と藤原の間に伊吹山が遠く顔をのぞかせている。
 左手には琵琶湖に続く滋賀の平野が広がっている。琵琶湖方面は靄っていることが多いが、今日は良く見えている。

笹原の向うが山頂

 

竜ヶ岳山頂 御嶽

 

 笹原の中の道をうねうねとたどって山頂に到着。正面に御嶽が見え、その左手に乗鞍岳、さらに左手にぼんやりと白く見えるのは槍穂連峰だろう。
 御嶽の右手には恵那山が丸く見え、御嶽との間の白い峰々は中央アルプス、恵那山の右手の白い峰は南アルプス。と思ったのだが、家に帰ってカシミールで確認してみたら、恵那山の左手には中央アルプスの他に 仙丈や北岳などの南ア北部の山が、恵那山の右手には荒川岳、赤石岳、聖岳などが見えていたのだった。
 平野の真ん中には名古屋駅周辺の高層ビル群も見えている。

 山頂から見下ろす北東側の笹原にはシロヤシオが点々と生えていて、花の季節には牧場に遊ぶ羊に見えることで有名で、紅葉の季節には赤い羊になるはずなのだが、今年はただの葉っぱの落ちた木にしか見えない。残念!次は白い羊を見に来よう。

 

左に静ヶ岳、奥に御池岳、その手前に銚子岳

 

赤い羊は現れず

紅葉の谷

 

山頂を振り返る

 静ヶ岳に向かうために笹原の斜面を下る。昔と比べると笹原の丈が低くなったような気がする。これも鹿の食害の影響か。

 宇賀渓への下山路と分かれ、左に折り返すように治田峠への道に踏み込む。鈴鹿主稜線の道ではあるが、登山道から踏み跡に変わった感じを受ける。登山者も少なくなり、静ヶ岳往復の間に出会ったのは2組4人だけだった。
 静ヶ岳への稜線は二重稜線のような感じで、気持ちのいいテン場になりそうなところが何か所もある。水場は無いがこんなところで夜を過ごしたら、さぞ気持ちがいいだろう。

 

静ヶ岳への稜線の黄葉

 

稜線のミズナラ

 

 最低鞍部を越えて登りにかかると、二重稜線の窪地に水が溜まった池があった。落葉樹林に囲まれた静かな池で、とても雰囲気がいい。
 雨の後にだけできる池かと思ったが、静ヶ岳の山頂で出会った人の話ではいつも水が溜まっているとのこと。
 水に映る青空は本物よりも青く、黄葉したミズナラとのコントラストがひときわ美しい。

 鈴鹿の山中には稜線上やその近くに幾つかの池があるが、この池はトップクラスの感じのいい池だと思う。銚子ヶ口の水舟の池よりも周囲が広葉樹で明るく、三池岳のお菊池よりも大きい。

林道中美濃線にでる。右が登山道入り口。

 

水に映るミズナラ

 

印象派の絵のような

 池からひと登りで静ヶ岳への分岐になる。分岐の近くにも小さな池があり、この辺りも感じがいい。

 ミズナラやシロモジの黄色い葉が多い尾根道を登り、いくつかコブを超えると静ヶ岳の山頂に到着。分岐から思いのほか距離があり、稜線から外れた名前の通り静かな山頂だ。

静ヶ岳への尾根

 

 山頂の北側は樹林に覆われて展望は利かないが、南側はやや開けて御在所方面が見渡せる。梢越しに竜ヶ岳も大きく横たわって見える。
 山頂にいた二人連れの会話をカップヌードルを食べながら聞くともなしに聞いていると、
「下から眺めると三池岳あたりは見えていても、竜ヶ岳の山頂付近は雲がかかっていることが多いんだよな。」
「竜は水を呼ぶというから、それで竜ヶ岳なんじゃないかな。」
 いつも鈴鹿の山を見上げている地元の方のようで、説得力のある話だと感心する。

 

静ヶ岳山頂

 

静ヶ岳から眺める竜ヶ岳

 ここから先、銚子岳まで足を延ばす予定だったが、犬の散歩ができる時間に帰らなければならないし、また同じ道を戻ってこなければならないのでここから引き返すことにする。
 静ヶ岳と竜ヶ岳の間のこの稜線の道は、鈴鹿主稜線の中でもとりわけ気持ちのいい道ではなかろうかと、帰り道でもそう感じながら歩いていた。

リンドウ

 

竜ヶ岳、静ヶ岳ルートマップ


[山行日] 2019/11/5(火)
[天気] 快晴     2019年11月の天気図(気象庁)
[アプローチ]

東海環状・大安IC (R421号) → 石榑トンネル出口 (林道、約5.5km) 石槫峠      [約26km]  
・2019年3月17日に東海環状自動車道が大安ICまで延びて、また鈴鹿が近くなった。
・石榑トンネルを出てすぐに右折して林道(旧国道?)に入る。小さな標識があるが見にくい。
・石槫峠に7台程の駐車スペースあり。満車の場合は戻って路肩駐車。

[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
0:40 8:35 石槫峠 出発    
9:15 重ね岩 0:05  
0:35 9:20  
9:55 竜ヶ岳山頂(1099.3m) 0:10  
1:20 10:05  
10:20 治田峠分岐    
10:50 最低鞍部    
11:05 セキオノコバ    
11:25 静ヶ岳山頂(1088.5m) 0:30  
1:05 11:55  
12:05 セキオノコバ    
12:50 治田峠分岐    
13:00 竜ヶ岳山頂 0:20  
1:00 13:20  
14:20 石槫峠 到着   全行動時間
4:40     1:05 5:45
 
[地図] 竜ヶ岳 (1/25000)