ワンゲルアルバム

春合宿偵察 奥美濃 冠山
昭和53年(1978年)1月14日(土)〜1月16日(月)

偵察(2回目) 能郷白山
昭和53年(1978年)3月4日(土)〜3月6日(月)

奥美濃(根尾能郷から能郷白山へ
奥美濃の山並み


1月14日(土) 志津原 ・・・ 田代 ・・・ 峰越林道

志津原 6:05起床 7:40発
ワカンをつける 8:46着 9:05発
河内 10:18着 10:35発
田代 11:50着 12:30発
標高750m 14:02着 14:20発
峰越林道サイト地 15:50着  

13日の夜22:00志津原着、テント泊まり。
橋より先の林道は除雪なし。入山者がいるらしく、トレースがある。雪はざらめ。朝のうち小雨。足跡は途中で消え、ラッセル。天気晴れ。風なし。河内に電話電報の家屋がある。ただし、人はいない。田代はキャンプ場になっている。
田代尾根の取り付きが不明瞭。薮をこぎ登ると、やがて登山道らしきものに出る。左右の展望がきく高度感ある登高。ラッセルがきつい。峰越林道のサイト地はかなり雪がある。よく締まる雪で、テントの設営が楽。ラジオは大阪NHK第2が明瞭に受信できる。

1月15日(日) 峰越林道・・・ 冠山・若丸山往復 ・・・ 田代

峰越林道テントサイト 5:30起床 7:05発
冠山 8:44着 9:05発
若丸山 10:40着 11:03発
冠平 12:20着 12:35発
峰越林道テントサイト 13:25着 14:05発
田代 15:25着  

朝はさすがに気温が低く、雪もクラストしてほとんど沈まない。少し林道を歩いて、ひとしきり急登に喘いだ後、尾根に出る。曇りがちながら無風で展望もよい。田代尾根ノ頭から冠山までは山稜漫歩。表面はクラストしているが、よく沈む。冠山のトラバースを慎重に通過する。冠山への最後の登りはワカンなしの方がいいのではないかと思われる急斜面。程よくクラストしている。
冠山の山頂は狭い。南側は絶壁で見下ろすと吸い込まれそう。山頂に腰を下ろし、行動食のカンパンを頬張りながら展望を満喫していた。カメラは・・・? リーダー(PL)、サブリーダー(SL)とも持って来なかった。好天に恵まれ景色を眺め楽しんでいるのに、写真に残せないのはもったいない。申し出により次からカメラを持たせてもらうことになった。
冠平の標識がある平地は、絶好のサイト地。所々やせた尾根もあるが、ツアースキーでもできそうな平坦な稜線が若丸山まで続く。若丸山には三角測量の櫓が高く聳え立っていて、遠くから目立つ。若丸山から見ても、能郷白山はかなりの大きさ。
曇りがちなのでそれ程遠望できないが、見渡す限り幾重にも山並みが続く。奥美濃の山深さは予想以上だった。それに、誰にも出会わない。山稜には自分たちの通った跡だけが白い筋となって残っているのみ。
来た道を引き返す。最後はシリセードで林道に着く。ツェルトを撤収して、田代まで下山する。田代には犬を連れた猟師がいた。

1月16日(月) 田代・・・ 志津原 ・・・ 稲荷

田代 6:00起床 8:15発
大黒橋 9:30着 9:50発
志津原 11:00着 11:25発
稲荷 12:10着  

雪が降る。手がかじかむ。あれだけラッセルで苦しめられた林道だが、帰りは少しあっけない感もした。河内には猟師が入っていた。熊を獲るのだそうだ。林道は所々ごくわずかだが、水が流れて雪が消えているところもある。小さな雪崩のデブリもある。
志津原到着。ワカンを外す。ワカンを付けていた4ミリのナイロン細引が芯だけになってささくれている。ワカンの麻縄に巻いたビニールテープがほとんど剥がれている。ラッセル三昧の山行を象徴するかのようだ。
志津原から稲荷までロード。雪が降ったりやんだりする。稲荷でバス待ち。武生で打ち上げ。満員の急行に乗って帰阪。とても3日間だけと思えないような充実した山行だった。20歳の自分にとっては思いで深い成人記念日になった。

深雪のラッセルにも使う山スキー用の竹ストック

偵察(2回目) 能郷白山

3月4日(土) 能郷・・・ カラホラ谷出合

能郷 6:00起床 7:30発
カラホラ谷出合 10:20着  

雨。風はなく、気温も高め。比金谷出合まで林道は除雪されている。工事があるようで、ひっきりなしに乗用車や軽バスなどに追い抜かれる。ざらめ雪で、あまり沈まない。4人ほど先に入山者があるようなワカンのトレースがついている。カラホラ谷出合の砂防ダム横にある生コン製造所の中に雨を避けてツェルトを張る。風が少し出てくる。積雪量は2mまで。

3月5日(日) カラホラ谷出合 ・・・ 能郷白山・イソクラ往復

カラホラ谷サイト地 5:00起床 6:50発
前山の手前の稜線 7:35着
能郷白山 9:30着
イソクラ 10:30着
能郷白山 11:20着
前山の手前で昼寝 11:45着
カラホラ谷サイト地 13:20着  

尾根の取り付き点は、能郷白山の標識がある。天気晴れ、微風。固くクラストした急斜面をアイゼンならぬワカンのつめをきかせて快調に高度を稼ぐ。尾根の途中に1人用のツェルトが張ってあり、傍にスキーが立ててあった。スキーで少し登った跡もあった。後方かなり離れて人影が2〜3つ見えた。
見晴らしの良い稜線の上に出る。下降の時ポイントになる所で、樹の幹にまる5の赤ペンキ印と赤いビニールテープの印がある。前山はかなり間近で、イソクラと能郷白山は頂上付近が雪煙を巻き上げている。前山あたりは旧雪の上に薄っすらと新雪が積もっていて、樹氷が発達していた。ここの急斜面ではアルミ・ワカンの短いつめが十分にきかせられず一苦労した。

前山に続く雪の稜線
見晴らしの良い稜線

何もない広く円い頂部を通って少し雪庇の出たゆるやかな尾根を行く。途中、テントサイトの跡があった。最後にひとしきり急坂を登りきると、広くゆるやかな頂部の能郷白山に到達する。
相次ぐガスの去来で東側は全く展望が得られないが、ガスの切れ間に加賀白山、御嶽山、はるかかなたに北アルプスや中央アルプスが見える。三角点の櫓は半分ほど埋もれていた。山頂の祠も埋没しそうな状態だった。

能郷白山の山頂
能郷白山の山頂  はるか御嶽山を望む

イソクラまで往復。全行程ラッセルなし。予想以上に早く踏破できたので、前山を下る前に大休止した。雪の上に寝転んで、小鳥のさえずり、風の吹き抜ける樹氷のざわめきに耳を傾ける。陽のあたる顔や手に暖かさを感じる。樹氷の白さと澄みきった空の青さが印象的だった。

陽だまりに冴える樹氷
大休止

前山の下りで2人、さらに3人、1人と登山者に会った。雪質も下がるに従って変化する。カラホラ谷出合付近では、ほとんど水の粒のようなざらめ雪だった。シリセードで下ると、周りの雪も小さく雪崩のように流れる。夜、星空がきれいに見える。

3月6日(月) カラホラ谷出合・・・ 能郷

カラホラ谷サイト地 6:00起床 9:00発
除雪した林道 9:40着
能郷 10:25着  

快晴。今日、山頂に立てばと思うと、少し残念な気もする。バスは13:00発だから、のんびりと支度する。知らぬ間に、カラホラ谷が雪崩。昨日通った尾根取り付き付近がデブリで埋まっていた。
ほどよくクラストしていてワカンなしで快適に能郷谷を下る。途中、小型軽トラックに便乗させてもらう。10分でバス停。

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