塩名田宿から八幡(やわた)宿まで3キロ、八幡宿から次の望月宿までも3キロと、この宿場間は、中山道では最も短い距離ですが、これは、塩名田宿から望月宿までの間が、かなりの悪路だったからだそうです。
今では、道路が整備され、悪路のイメージはありませんが、江戸時代には、上り下りの坂が多く、ここで休息する大名も多かったようです。
そのためか、八幡宿は、脇本陣が4軒もありました。
八幡(やわた)宿に入ると、すぐに八幡(やわた)神社があります。
旧名を高麗社といい、渡来した高麗人を祀った社だといわれているそうです。
境内に足を踏み入れると、その門の立派さ、そして見事な彫刻に驚きます。
八幡宿の町並みは、下の写真の様に老朽化した依田家の本陣の門が残るくらいで、宿場町の昔の面影は何もありません。
広重の浮世絵は、八幡宿の手前を流れる中沢川に架かる板橋を描いています。
竹藪の背後は、浅間山で、対岸の丘の上に茶屋が見えます。
人物は、手前から老人の旅人、農作物を天秤で担ぐ農夫、竹籠を背負った子供、タバコをくわえた農夫、赤子を背負った女です。
八幡の宿場町を出て、国道と分かれ、浅間山を背景に、田んぼの中を百沢集落へ向かいます。
百沢集落に入ります。
写真は、百沢の道祖神です。
地元では、「祝言道祖神」と呼ばれており、珍しい宮廷貴族の装いをして酒を酌み交わしている「双体道祖神」として人気があるそうです。
長野県には、変わった道祖神が色々とありますが、この百沢の道祖神は、その中でも特にユニークな道祖神です。
百沢集落を出て、瓜生(うりゅう)坂へ向います。
国道に旧道入口の表示があり、山を巻く様に、山の中の坂道をどんどん上ってゆくと、瓜生坂一里塚跡があります。
広重の「望月」(次の宿場町)は、この一里塚付近で描いたのだそうです。
更に上ってゆくと、ようやく瓜生峠の頂上に出ました。
下の写真の様に、頂上の木々の間から、次の宿場町の望月が一望出来ます!
ここから先は、望月宿へ向けて下り坂となりますが、けもの道の様な狭くて細い急坂です・・・
大丈夫かな・・・
瓜生峠の坂を下り切ると、鹿曲(かくま)川の手前に、長坂の石碑群がありました。
そして、鹿曲川の橋を渡れば、もう望月宿です。
八幡宿から望月宿までは、約3キロです。
ここで、この八幡宿のあとの工程について、ハタと、重大な問題に気付きました!
今回の一人旅は、この八幡宿のあと、中山道を、望月宿→芦田宿
→長久保宿→和田宿と進み、和田宿から横浜へ帰宅予定です。
すると、次回の一人旅は、和田宿→下諏訪宿と進む行程になりますが、
何と!
和田宿から下諏訪宿への行程は、22キロもあります!!
しかも、22キロの行程には、中山道で最も厳しい和田峠越えの山道も含まれます!
厳しい山道も含めて22キロの行程は、私の足では1日では絶対に無理ですし、もし、山道の途中で日没になったり、道に迷ったりしたらアウトです!
どうしたら良いのだろう?
ピンチです!!
でも、一人旅の皆さんはどうやって和田峠を越えているのだろう?
そこで、インターネットで”和田峠越え 一人旅”で検索してみました。
すると、
・「気ままな旅人」さんの場合
下諏訪駅からタクシーで和田峠の上り口まで行く。
⇒なるほど、全体の1/3の距離はタクシーか・・・
30分近く上ったところで急に道が分からなくなった。
消えかけた道をかろうじて上って行く。
⇒怖い〜!何だか一人での峠越えは不安だな・・・
・「ひとり歩きの中山道さん」の場合
下諏訪駅から和田峠方面へ向かうバスは夏の間(7/30〜8/18)
だけで1日1便しかない。
東餅屋でバスを下車して歩き始める。
⇒う〜ん!私が歩く時期は、1日1便のバスも無いのか・・・
・「日帰り峠越えさん」の場合
下諏訪駅からタクシーで和田宿側の唐沢まで行き、覚悟して
歩きはじめる。
当日の行程: 5.4km (4 時間20 分)
⇒う〜ん!タクシーを利用して、毎回小刻みに峠を
踏破する作戦ですね・・
それにしても、1日に歩けた距離がわずか5.4kmか〜、
う〜ん、和田峠は厳しいな〜・・・
皆さんのどの方法もね〜・・・
これは、という方法がありませんね〜・・・
峠の途中からタクシーを呼ぶ案も、私の携帯は、山中では圏外が多いからな〜・・・
そうだ!
以前のバス旅行でご一緒した方から頂いた”中山道歩き旅行社”のパンフレットを持ってきていることに気付きました!
⇒クラブツーリズム社・中山道を歩くNO19.:1泊2日で34,000円
1日目:歩行12キロ=和田峠入口〜和田峠浪人塚、
2日目:歩行8キロ =和田峠浪人塚〜下諏訪宿
上記の様に、この旅行社は、和田峠越えを2日に分けて歩いています。
なるほど、峠越えを2日に分けて、1日目の夕方は、峠越えの途中までバスが迎えに来て、翌朝はその地点までバスが送ってくれる訳だ!
これならイケる!
ツァーの案内者に付いて歩いて行くだけだから、道に迷うこともないし!
素晴らしい解決策だ!
とりあえず、電話で予約しました。
ただし、このツァーの団体として、歩いて和田峠を越えたとなると、私の売りである「中山道”完全”踏破の”一人旅”」の”完全””一人旅”に疑問符が付くかもしれません・・・
でも、そんな事も言っていられません。
面子にこだわって危険を冒すよりも、ここは安全を取ることにしました。
(ツァー参加で道を覚えてから、もう一度、一人で、和田峠を
歩き直す事も可能ですしね。)
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