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| 『免許返納!?』['26] | |||||
| 監督 河合勇人 | |||||
| あたご劇場で観た『免許がない!』['94]はサッパリどころか妙にタチが悪いと思ったような記憶があるが、それから三十二年、『プラダを着た悪魔2』の二十年を遥かに上回るのだから、とても2を掲げられるスタッフ・キャストの結集は望めず、作中の重要なエピソードとして設えられているのみだったが、長年にわたって映画と親しみ、愛好してきた映画好きの琴線に触れるものが細やかに折り込まれていて、思いのほか面白く観ることができた。 古希を迎えたパーティでの自身の発言から、心ならずも免許返納を迫られることになった南条弘(舘ひろし)の歳周りを後二年も経たないうちに迎えることになっているからか、各地に熱烈なファンを持つ南条とは雲泥の身の程ながら、妙に親近感が湧いたのかもしれない。僕自身は、週一ないし二でやっているバドミントンを続けている間は、免許を保持しようと思っているが、半年ほど前に亡くなった母に原付免許の返納をさせるのに、後期高齢者になってから十年の歳月を要したことを思うと、七十五歳で返納すべきかと思ったりもしている。 本作で、何と言っても効いていたのは配役で、全員が当て書きなのではないかと思うほどに嵌っていたような気がする。そういう芝居が面白くないわけがない。最も気に入ったのが、若い頃の出演作の話をする南条に「母が生まれる前のこと…」と言って何の邪気もなく水を差していた元天才子役のマネージャー川奈舞(西野七瀬)と南条弘との凸凹コンビだ。また、極妻風ポスターに「そこに仁義はあるんかい」との惹句が入っていた、南条を君付けで呼ぶ大御所女優の加藤麗子(大地真央)も気に入った。 場面としては、やはり「スナックしずえ」で往年のヒット曲の歌唱をリクエストされて渋っていた南条が、カウンターにいたママ(南野陽子)の様子を観て、黙ってカラオケの選曲ボタンを自ら押して歌い始め、しずえを招く場面が好かった。八年前に観た『終わった人』['17]で演技賞を受賞した当時の舘ひろしのコメントを思い出させるような設えも効いていたように思う。 筋立て的には御都合主義そのものながら、「映画なんだから、いいじゃないか」という台詞を上手く劇中に嵌め込んで繰り返す形で、作り手からのイクスキューズを巧みに入れているように感じて、にんまりさせられた。そして、古希を迎えてなお余生どころか、川奈や役者仲間の尾崎誠(宇崎竜童)の遺児である来宮亮(黒川想矢)といった若者にさえ、新たなステージへと導く影響力を行使している姿に感心させられた。我が子たちが成人した二十年くらい前から“余生”を公言し、道楽者を自称している僕とは、やはり雲泥の違いだとつくづく思う。 | |||||
| by ヤマ '26. 7.29. TOHOシネマズ3 | |||||
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