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ザ・マニア 快感生体実験』['86]【R15+指定版】
『処女のはらわた』['86]【R15+版】
『愛奴人形 いかせて』['86]【R15+指定版】
監督 滝田洋二郎
監督・脚本 ガイラ
監督 望月六郎

 先ごろ観た拷問貴婦人』['87]&『オーガズム 真理子』['85]を収録した「異常性愛」と題するディスクに併録されていた作品だ。ザ・マニア 快感生体実験』は、スカパー衛星劇場録画ではなく、WOWOWプラス録画で、『処女のはらわた』『愛奴人形 いかせても併せて録画されている。おそらくは、録画ディスクを提供してくれた映友が【みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ】に倣って編成してみたものなのだろう。


 本作もまたオープニングは、異常性愛ものにありがちな、村上リエ(木築沙絵子)と広川ツネオ(佐藤栄一)が恋人同士の極普通のセックスを愉しんでいる場面から始まり、リエのシャワーシーンやら、その友人モトコ(橋本杏子)のボールギャグを噛まされた拘束ファックなどを経て、次第に異常度が増していく運びになっていた。

 友だちからのビデオレターによるオフシーズンのリゾートホテルへの特別招待という実にタチの悪い手法によって収集した女性たちを拉致監禁し、トランプカードのデザインを刺青として施し、生きたまま蒐集するという点では、本作が想起させるワイラー監督のコレクター(The Collector)['65]やヒッチコック監督のサイコ(Psycho)['60]よりも生臭くて俗っぽいが、それゆえにロマンポルノに相応しい気もした。

 女性の股間を捉えるショットの多彩さと執拗さにしても、絡みや性戯の演出の濃厚さにしても、R15版とは思えない熱の入りようで、さすがは滝田洋二郎作品だと思った。そして、リエが悪気なく連れ込んだカップルのベッドシーンでのフミコ(高原香都子)の艶技が目を惹いた。

 最後は、なるほど、だから「スペードのクィーン」を引かせたばっかりに、ということになるわけだなとのオチに納得した。悪魔のコレクターたる偽支配人が殺害したのは、男ばかりだった。リエはスタンガンを使っても、殺しはしないに違いない。それはともかく、作品タイトルに言う実験とは、いったい何だったのだろう。


 翌日に観た『処女のはらわた』は、TOEIch録画だった。無音でオ○○コしてと言うのを撮ったりしているグラビア撮影場面から、WAMテイストを塗り込めたベッドシーンへと展開する本作は、性倒錯色の強い「異常性愛」という括りよりもグロテスクポルノのほうが相応しい気がした。さすがはガイラ作品だけのことはある。

 タイトルは、天使でも悪魔でも死霊でもない、処女の「はらわた」と来たわけだが、フィストファックではらわたを引き出されていたのは、痛~いと抵抗していたレイ(木築沙絵子)ではなく、全身で尽くしていたカメラマンから捨てられ、プロデューサーと思しき男の求めで座興のプロレス技を、裸に剥かれて次々と掛けられ悶絶して失禁し、発狂してしまった挙句にニンフォマニアになった女性スタッフだった。彼女を演じた萩尾なおみの腋毛も露わに怪演を重ねていた迫力に恐れ入った。

 WAMテイストどころではないグロテスクな業界の生態が描き出されていたわけだが、その乱痴気が呼び寄せたような泥縺れの異形の男の巨根に貫かれて悶絶した後、斬首に見舞われていたグラドル(川島めぐみ)の運命が哀れだった。呆気に取られたのは、怪物に犯されて体内に白濁液を注がれる性器内部が溪斎英泉の《枕文庫》の「傚解體新書寫」の如く画面に映し出されていたレイが、一夜にして大きくなった腹を抱えながら、今度はどんなのが出てくるの? 怖いけど、楽しみと呟いていたラストだった。ローズマリーの赤ちゃん['68]を意識したエンディングだったのだろう。そして、エンドロールに出てきたロケ先と思しき【協力:八ヶ岳ペンション閑古鳥】に笑った。


 最後に観た『愛奴人形 いかせては、十三年前に観た皆月['99]が、とても強い印象を残している望月監督作品だった。ちょうど四十年前の映画だが、丸い緑の山手線と南北に抜ける青の京浜東北線が同じ区間を並走する場面で始まり終える作品を観ながら、このダイヤは今も続いているのだろうかと、ふと思った。同時に、何故これが「異常性愛」という括りに入るのか合点がいかなかった。

 金融機関に勤めているとはとても思えないミズエ(森田水絵)の、ノンシャランとした浮遊感が人間離れしているとはいっても、人形ほどに無感情ではなく、ある種のコケットリーを漂わせた風情が、なかなか魅力的に映し出されていたように思う。五作品収録したディスクの二番目のタイトルオーガズム 真理子の真理子を演じた清里めぐみとも並び立つ美乳に目を奪われた。名前に覚えのない女優だったが、他にはどのような映画に出ているのだろう。

 その水絵に翻弄されるラジコンヘリが趣味のプレジャーボート管理人(坂元貞美)の別居妻(水木薫)と水絵の距離感が面白く、別居妻の愛人(中根徹)が“運転手兼愛人”と紹介されたことに対して、せめて逆に言ってくれないかなぁ、俺のプライド的にはというようなことを言っていたのが可笑しかった。

 すると、ディスクを提供してくれた映友がこれはね、65分と長くないから、ディスクのブランクがまだあったので入れただけ。佳作でしたね。あのころ僕は、ポスト片桐夕子に、清里めぐみと森田水絵を据えてました☺️もんね。と寄せてくれた。なるほど、それなら納得だ。彼が行くところも、人生の生きがいも無くした男女が何気なく交わることから少しだけ生きる気持ちを持たせるアンニュイな感覚のロマポはなかなか味がありました。と綴っている作品に「異常性愛」の色合いはなくて当然だった。
by ヤマ

'26. 1. 6. WOWOWプラス録画
'26. 1. 7. TOEIch録画
'26. 1. 8. WOWOWプラス録画



ご意見ご感想お待ちしています。 ― ヤマ ―

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