『ゲット・アウト』(Get Out)['17]
監督・脚本 ジョーダン・ピール

 レイシズムを扱った社会派ドラマと思いきや、オープニングからずっと不穏な空気の漂うマッドドクター一族たるアーミテージ家によるホラーだった。黒人写真家クリス・ワシントン (ダニエル・カルーヤ)の恋人である白人女性のローズ・アーミテージ(アリソン・ウィリアムズ)から、最後にお祖母ちゃんと声を掛けられていた黒人メイドのジョージナと黒人庭師ウォルターが祖父母の脳を移植されていたのだとしたら、中高年の白人女性のパートナーになっていた黒人の失踪ミュージシャンは、誰に体を乗っ取られていたのだろう。フラッシュに反応して豹変するあたりからすれば、ローズの父ディーン脳外科医(ブラッドリー・ウィットフォード)による脳移植ではなく、ローズの母ミッシー(キャサリン・キーナー)による催眠療法までだったのかもしれない。

 オバマに3選の機会があれば、彼に入れたというアーミテージ家に招かれたクリスが、あからさまではない分よけいに気持ちの悪さを覚えているパーティ場面が秀逸だった。

 すると旧知の映友女性がこの白人のオバサンの旦那さんじゃないですかね? だいぶ前ですけど、確かにそう思ったような記憶が。催眠療法とは、全く想起しませんでしたが、そうかもね。」と寄せてくれた。八年前の公開当時に「面白かったです!拾い物、お薦めです。裕福な白人軍団の中に、「タナカ」と紹介されていた日本人がいました。「名誉白人」扱いのつもりでしょうね。この中に居る、つーことは、喜べないかと。とのコメントを寄せてくれた。その彼女の映画日記に記されているとにかくアーミテージ家に着いてから、観ていて居心地悪いのなんの。観たいのだけど、帰りたくなるような、ムズムズ感。これは、クリスの感情を体感しているのでしょう。差別と思えばそうだけど、考えすぎと言われれば、それまで。それがず~と続くのですから、クリスも私も体に悪い。が真骨頂の作品だったように思う。唯一の味方というか拠り所にしていたローズが残していた過去の釣果を示す写真を見つけたときのクリスが気の毒だった。おそらくトラウマになって、白人女性との恋は、もう出来なくなったに違いない。公開当時に彼女が好事家としても深読みできるし、一般的にも面白い、小品佳作なんですよー。これはアメリカしか作れない作品という点でも、お薦めなんです。高知に行ってほしいなぁ。と言っていた作品をようやく観ることができて良かった。

by ヤマ

'26. 1. 5. BSプレミアムシネマ録画



ご意見ご感想お待ちしています。 ― ヤマ ―

<<< インデックスへ戻る >>>