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| 『テキサスの五人の仲間』(The Big Hand for the Little Lady)['65] 『スティング』(The Sting)['73] | |||||
| 監督 フィルダー・クック 監督 ジョージ・ロイ・ヒル | |||||
| 賭博映画と言うよりは“引っ掛け映画”というカップリングで、今回の合評会の課題作は、両作とも既見作。主宰者がそれを狙ってのものとも思えないが、ちょうど、アイリスインで始まる『テキサスの五人の仲間』を観て、アイリスアウトで終わる『スティング』を観たわけで、なかなかいい塩梅だった。 先に観た『テキサスの五人の仲間』は、五年ぶりの再見だから、思うところにほとんど違いはない。奇しくも、当時の拙日誌でも今回のカップリング作である『スティング』に言及している点が面白かった。引っ掛け賭博ではなく、真剣賭博ならこの日誌でも触れた『シンシナティ・キッド』と『ハスラー』のカップリングということになるかな、などと思った。 やはりノーブルで真面目な賢夫人から一変した鉄火肌の女賭博師の貫録を最後に鮮やかに見せるメアリーことルビーを演じていたジョアン・ウッドワ-ドが素晴らしい。彼女が主演したポール・ニューマン監督作『レーチェル レーチェル』['68]を観てみたくなった。 そのポール・ニューマンがやけにかっこよかった『スティング』は、九年前に再見した際も日誌を綴っていないが、当時のメモに「高校時分に土電で観て以来の再見だから、43年ぶりか。最後に、あっと言わされた面白い作品だった記憶との対照で言えば、その顛末は知っていても、当時はさほど意識しなかったと思われる、映画制作の現場を意識した仕掛け作りがなんとも愉快だった。 オーディションをやり、衣装を合わせ、大道具小道具を仕込み、ブザーを鳴らして本番スタートとやっているばかりか、テープを繰りながらフェイクレースの実況を選んでいるさまは、まるでフィルム編集をしているかのように映ってきた。この映画そのものが大いなるフェイクを仕掛けているんだぞとの暗示だったのかも(笑)。そういう現場を仕切るディレクターたるゴンドルフ(ポール・ニューマン)がやたらかっこよかった。」と残している作品だ。 結局、最初から最後まで騙され続けたロネガン(ロバート・ショウ)とスナイダー刑事(チャールズ・ダーニング)は、カネに目が眩んですっかり間が抜けてしまっていたということだろう。それにしても、フッカーを演じたロバート・レッドフォードがやたらと走らされている映画だった。駆けだしの詐欺師という役処ゆえかとも思ったが、アメリカでも新米のことを駆けだしと言ったりはしない気もする。対照的に大物詐欺師ゴンドルフはジンを水に入れ替えて酔態を演じ、ロネガンを手玉に取るわけで、堂々たる貫録だった。1936年、世界恐慌下の50万ドルとは現在の如何ほどなのだろうとAIに訊ねたら、約1,200万ドル(約18億円)に相当するとのことだった。それなら、あのくらいの大仕掛けも費用的にはできなくはない気がする。 同世代の男四人が集まった合評会では、予想に反して支持作が『テキサスの五人の仲間』のほうに集中したことに驚いた。断然『スティング』としたのは主宰者一人で、他の三人ともが『テキサスの五人の仲間』のほうを推した。ちなみに両作とも初見ではなかったのが僕と主宰者で、残るメンバーはそれぞれ二作とも初見、『スティング』のみ既見とに分かれた。カップリングをした主宰者が指摘していたように、こういう最後にサプライズを仕込んだ作品は、どうしたって初見時のインパクトが大きいから複数人が初見だった『テキサスの五人の仲間』のほうにアドバンテージが働いたのかもしれない。 それに対しては、両作ともが初見だったメンバーから『スティング』は少々仕掛けが複雑すぎて解りにくかったのに対して、『テキサスの五人の仲間』は直線的で分かり易く、最後の逆転劇に自然な爽快感が湧いたとの意見が出て、面白かった。一般的には、凝った作劇による観客をも巻き込んだコンゲームの見事さから『スティング』の評価のほうが高くなりがちだが、確かに少々盛り込み過ぎのような気はする。殺し屋絡みのエピソードは、省いていたほうがよかったのかもしれないと僕も思った。 加えて彼からは『テキサスの五人の仲間』にしても、大逆転勝利だけで充分であって、あの後のネタ晴らしは要らない気がしたとの意見も述べられたが、これについては、上述したようにジョアン・ウッドワ-ドのラストの激変カットがあってこその御見事作品だと僕は思っているし、邦題の“五人の仲間”が、博奕打ちから詐欺師チームに転換するところにこそ本作の妙味があると思っていたので、いささか驚いた。 だが、『テキサスの五人の仲間』のほうを支持する理由として、登場人物の描出における人間的妙味が優っているという意見には同意だ。『スティング』は仕掛けと話の面白さで見せているけれども、登場人物は概ね、そのための役割を果たす形で登場していて、人物的魅力には乏しいと言えるかもしれない。そんななか、唯一人の『スティング』推しとなった主宰者から、最も惹かれるキャラクターとして両作を通じ、大仕事の経験はないがガッツのあるエリー・キッド(ジャック・キーホー)の名が挙がったことに意表を突かれた。一番のキャラと言われて彼を推す『スティング』ファンというのも、かなり珍しいように思う。 僕は、当然のようにしてメアリーことルビーだ。五年前の日誌にも「ポーカー勝負のスリリングさや賭博の神髄を捉えた映画としては、同年作の『シンシナティ・キッド』や邦画の『麻雀放浪記』['84]のほうが観応えがあるように思うし、大博奕にまつわるどんでん返しという点では、『スティング』['73]のほうが周到にできていたように思うけれども、本作での騙しの神髄は、ポーカー的なブラフの裏に仕込んだ大仕掛けのトリックではなくて、独身主義者の葬儀屋トロップ(チャールズ・ビックフォード)や、結婚に冷ややかで娘の婚礼よりも博奕のほうが大事な大地主ドラモンド(ジェイソン・ロバーズ)の女性観を一変させたメアリーの存在にあったところが洒落ていた気がするとともに、演じたジョアン・ウッドワードがなかなか素敵だった。」と記している。 | |||||
| by ヤマ '26. 9.13. ムービープラス録画 '26. 9.14. DVD | |||||
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