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『ソング・サング・ブルー』(Song Sung Blue)['26]
監督・脚本 クレイグ・ブリュワー

 劇中に登場する楽曲の全てが判るほどに熱心なファンではないけれども、大半の曲に聴き覚えがあり、LPレコードも持っている程度には好みのシンガーであるニール・ダイアモンドの代表曲を作品タイトルにしている映画だ。予告編で観たヒュー・ジャックマン【ライトニングことマイク】の声質のよく似た歌唱に吃驚したうえに、早々にそのタイトル曲が歌われ、その後にNGDBの歌唱で思い出深いOh Boyまで出てきたものだから、すっかり御機嫌になったことも手伝ってか、なかなか感慨深い映画だった。

 チラシの裏面に「ある夫婦の感動の実話」と記された本作の驚くほどにアップダウンの激しいドラマティックな物語のどこまでが事実に沿っているかはともかく、過酷な試練に見舞われる生における“感情の浄化”を描いて実に感動的な作品だったように思う。よく出来た音楽映画はやはり好いと改めて感じた。

 実際のニール・ダイアモンドと初めて会えることになっていた夜にマイクが歌っていた圧巻のライブステージでのHolly Holyに痺れ、葬儀場面でサンダーことクレアを演じていたケイト・ハドソンが歌っていたI've Been This Way Beforeに感銘を受けた。

 それにしても、ケイトは味のある見事な役者になったものだ。彼女の持つ母譲りの明るさと逞しさを活かしたクレアの人物造形に、大いに感心した。二人で歌う僕の好きなPlay Meもなかなか素敵だった。

 エンドロールでは実際のライトニング&サンダーのステージ動画が出てくるかも、などと思っていたが、写真画像が一枚出てきただけだった。本作で繰り広げられたライブパフォーマンスからすると見劣りが免れなくて、配慮されたことなのかもしれないと思い直した。

 すると、本作の元になったグレッグ・コーズ監督による十八年前の同じタイトルのドキュメンタリー映画['08]がネットで視聴できることが判り、観てみて驚いた。オープニングのクローズアップショットも、クレアの見舞われた事故による左足の膝下からの切断も、レイチェル(エラ・アンダーソン)の出産場面も、タイ料理のレストランと思しき場所でのライブも、最後の葬儀も、おまけに Song Sung Blueを歌ってエンディングを迎えることばかりか、最後に映し出される写真画像が一枚だけというところまで、元となったドキュメンタリー作品に沿っていて本当に驚いた。本作は、トリビュートバンドを描いたトリビュートムービーだったわけだ。そして、その一枚の写真画像は、本作のライトニング&サンダーではなく、クレア・サルディーナとニール・ダイアモンドとがハグをしているものだった。そのうえで、本作で最も僕に響いてきたヒュー&ケイトの歌う♪Play Me♪も♪I've Been This Way Before♪も元作のドキュメンタリーには出てこない歌だったことが感慨深い。
by ヤマ

'26. 6. 6. キネマM



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